大丈夫?という声掛けの危うさ

「大丈夫?」というと,苦しそうに急き込んでいた母が,「大丈夫じゃない!」と苦しそうに返してきたのを初めて聞いたときは,びっくりした。そういうこと言う人ではなかったからだ。あわててナースコールを押すと,ちょっと見ただけで,医師を呼びに走った。それからは,何回か,同じ問いかけし,同じ応えが返ってくる,それもそのうち出来なくなった。そんな思い出が蘇る。 正直,見かねて,だれもが,ついつい…

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欠点をリソースとみなす

器用でもない,気もきかない,やることなすことうまくいかない,仮にそうだとしよう。 それをどう受け止めるのだろう。まずは,そのことを率直に語った真率さを,まずはポジティブにとらえるだろう。相手が問題といったことは,単なる言いかえではなく,真のリフレーミングにするには,それを心底プラスと受け止めなければ,単なるおためごかしに過ぎない。その率直さに,自分を何とかしたいと真実思っている姿勢と,…

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表現ということについて~自分の表現史

面倒な理論はともかく,表現というのは,かつて吉本隆明が『言語にとって美とは何か』で,自己表出と指示表出と概念化した考え方に強く影響されている。しかし実際に小説を論じようとしたとき,その理論は使わなかった。というより,自分にとって,表出の構造よりは,強く文体に関心があったせいかもしれない。 恥ずかしながら,かつて文学青年であったなれの果てで,古井由吉の「木曜日に」の文体に衝撃を受け,芥川…

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怒りを表現する

昔から怒りっぽく,怒りで散々な目にあっていたとしよう。 そのとき,どう怒りをコントロールするかという話になるのだろうか。たとえば,論理療法でいうように,イラショナルビリーフがあるからだと。たしかにそれもあるかもしれない。だが,怒りがその人の価値にかかわることだとしたら,それをコントロールすることは,その人の何かを矯めることになる。 確かに激昂した状態で,冷静な判断は下せないし、瞬…

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「自分の好きな場所」から見えたこと~幻の場について

 昨日,ある勉強会で,フォーカシングのワークをする機会があった。ずいぶん前にフォーカシング基礎コースというのを受けたことがあるが,そのとき,自分が遠い山道をひとり,ただずんずん歩いているイメージを得た記憶はあるが,あとはほとんど忘れてしまっていることに気づいた。そのため,初心者と同じ心境で,ワークに取り組んだが,その中で,自分にフィットしたのは,  自分の好きな場所をイメージして感じて…

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PC移設の理不尽~PC体験史

ホームページをFront pageで作成してきたが,2003の後マイクロソフトが提供をやめてしまい,それがXPを買い替えるのをためらわせてきた大きな理由であった。ところが,ついにWindows8がでるというのであわてた。問い合わすと,7では対応する,という。そこであわてて7を購入した。しかしわたしのような,パソコンに詳しくない人間にとっては,買い替えをためらわせる理由が,もうひとつある。それ…

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会話のずれ

発話の意味は,受け手の反応によって明らかになる,という。 それは,自分が喋ったことがどう受け取られたかという意味でもあるが,そうシャツチョコばらなくても,その受け取られ方で,話し始められた会話の意味が変わっていく,と考えてもいい。それが,実は会話の楽しみなのかもしれない。受け手は,話し手の会話の中から,自分が刺激を受けた部分に焦点を当てるから,当然少しずつ話の焦点がずれるが,極端な場合…

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質問を効果的に使う~土俵の効果

質問については,コーチング的な意味と位置づけについては,例えば,次のようなことが言えるし, http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/prod06432.htm またコーチング的対応とそうでないやり取りとの違いは, http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/prod064301.htm とまとめることができる。 で…

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お酉さん由来記~ちょっと整理してみました

毎年酉の市に行っているわりには,よくその由来を知らない。ただ商売繁盛の神頼みと思っていっていたが,そもそもは,18歳で上京した年,同じ下宿の先輩につれられて,出かけたのが出発点。その時は夜遅かったにもかかわらず,すごい人だったことが記憶にある。その後二十年くらいして,いまは疎遠になった先輩とたまたま浅草で飲んでいて,酉の市に出くわし,再訪した。そこで熊手を買ったため,爾来お返しするという名目…

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死について~あるいは生き方について

友人が,前立腺癌を宣告されて6年。本人は,痛みも苦しみもなく,普通にすごしてこられたことに感謝している,と淡々と言う。本来は免疫力の強い体質という結果が出たとかで,発見が遅れなければ,完治したのではないか,という感想を言っていた。すでに「癌は外へ出ていて」(という言い方をした)転移している。その中で,苦しみなく過ごせてきたことを言っているらしい。 検査数値が高くなると,これが見納めか,…

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『希望のつくり方』について~希望と夢の間をゆく

玄田有史『希望のつくり方』(岩波新書)という本は,タイトルが「ちょっと」と感じさせるもので,面映ゆくて,外でカバーを付けたまま読むのがためらわれて,積読の憂き目にあっていた。それが,ふと昨日目に留まり,読み終えた。久しぶりに,頭の中が活性化し,脳内の広範囲が点滅しているのがわかる,どういうか,読みながら,いろいろなことを考えさせてくれた本だ。読んでみていただくしか,この興奮は伝えにくい。 …

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笑顔の効果~ユーモアのある光景

「絶望の反対は,なにか?」 普通に考えると,希望ということになる。だが,ある女性歌手は, 「絶望の反対は,ユーモアではないか。」 と答えたという。辞書では, 「上品なオシャレや諧謔」 「社会生活における不要な緊迫を和らげるのに役立つ,婉曲表現によるおかしみ。」 とあるそうだ。(『希望のつくり方』) コトバ的には「希望」が妥当なのだろうが,その伝でいくと,絶望の底から,ふっと…

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老化とともに幸福感が強まる?~『脳には妙なクセがある』から

池谷祐二『脳には奇妙なクセがある』について 正直いって,本書は,『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な私』やアントニオ・R・ダマシオ『生存する脳』に比べると,焦点が一点に収斂していないせいで,読むほどに脳が沸騰するという体験はしなかったが,反面連載したものをまとめたという性格もあり,多様な脳に関する最新研究情報をもらったという印象が強い。一回ではもったいない気がするので,何回かに分け…

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コミュニケーションにかかわる脳の機能~『脳には奇妙なクセがある』からⅡ

引き続き,池谷祐二『脳には奇妙なクセがある』について かつてコミュニケーションを拒絶されたと受け止めると,脳にとっての衝撃は,実際に殴られたのと同じだといわれていると,読んだことがあるが,例えばこんな実験がある。 三人でバレーボールの練習をしている。初めは三人でボールを回しているが,そのうち被験者にボールが回らなくなる。自分以外は目の前で楽しく遊んでいるのをながめている,そん…

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ひらめきと発想の脳機能~『脳には奇妙なクセがある』からⅢ

引き続き,池谷祐二『脳には奇妙なクセがある』について 直感とひらめきの違いについて,池谷さんはこんなことを言っている。 ひらめきは思いついた後に,その答えの理由を言語化できる。直感は,本人にも理由がわからない確信。ただなんとなくとしか言いようがないあいまいな感覚。根拠は明確ではないが,その答えの正しさが漠然と確信できる。しかし「直感は意外と正しい」という。ヤマ勘や思い付きではない…

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神秘体験の脳的根拠~『脳には奇妙なクセがある』からⅣ

引き続き,池谷祐二『脳には奇妙なクセがある』について 自分は神仏の加護は信じたいので,我が家には,荒神様もあるし,神棚もあるし,お札も結構貼ってあるし,小さいながら仏壇もある。年の初めには初詣もする。その程度の習慣に従っているだけだ。ご利益以上のものを得たいとも思わないし,神を近くに感じたこともない。その代り金縛りにもあわず,神秘な体験もまったくない,スノッブそのものの小市民だ。それを…

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行動化の脳機能~『脳には奇妙なクセがある』からⅤ

引き続き,池谷祐二『脳には奇妙なクセがある』について 人は学んだとことの1/2から1/3を,8時間後には忘れている,という。成りたい自分をイメージすれば,夢はかなう,という人がいる。そして現実にそうなったという人も一杯いる。だが,たぶん,ただ夢見ただけでも,強く思っただけでも,ないはずで,そのことを実現できた人は意識していない,そんな気がしたいた。 脳は出力することで記憶する。そ…

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防衛的悲観と防衛的楽観~第四回ポジティブ心理学コーチング勉強会に参加して

一昨日,福島規久夫コーチの主催される, 第四回ポジティブ心理学コーチング勉強会 (http://www.facebook.com/home.php#!/events/366695360085500/) に,前回に続いて,参加しました。 招待いただいた,案内には,こうあります。 「 今回の勉強会では、楽観主義と悲観主義に加え、その中庸的なタイプの人に関して考察し、どうコーチング…

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ボディサイコセラピーと身体のトレーニング~身体の意識と無意識

JCAK主催の「カッコよく・ラクに歩ける・実践的な歩き方第二弾」に参加し,プロフェッショナル・ランニング・コーチの小田英男さんに,ウォーキングとランニングの指導を受けたが,それと前後して,贄川治樹さんのボディサイコセラピーにも,「ボディサイコセラピー入門」の第三回と第四回,産業カウンセラー協会東京支部での「ノンバーバル・コミュニケーションをカウンセリングに活かす方法」と計三回参加したので…

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宇宙の中の第二の地球を探す~『もう一つの地球が見つかる日』について

タイトルにつられて,レイ・ジャヤワルダナの『もう一つの地球が見つかる日』を読み始めた。映画『アバター』をはじめ,SFでは地球外生命体,エイリアンや異星人の住む惑星は,定番になっている。しかし,本書は,プラネットハンターたちの栄光と悪戦苦闘を,描いている。著者は,「アースツイン(地球の双子)の発見もそう遠いことではない」という。すでに,太陽系外惑星の数は,750を超え,2012年中には10…

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