2014年08月11日


これほど,嘘がまかり通る世の中は初めてだ。しかも,嘘も積み重ねてつけば,真実になると,為政者がうそぶくという国は,たぶん他にはない。

(消えた年金記録は)最後のお一人にいたるまできちんと年金をお支払いしていく。

(フクイチは)アンダーコントロール…。

消費税は全額社会保障財源に回す。

最近では,こんな感じだ。コイズミ時代も,目につく嘘が一杯あったが,ここまで,嘯くというのは,初めてだ。何一つ,実行されたことはない。

海外派兵はいたしません

日本の原発は世界一安全

日本が再び戦争をするような国になるというようなことは断じてありえない

等々もまた,その類の空証文であることは間違いない。

うそ

とは,語源的には三説ある。

①中国語「迂疎」からきたとするもの。「迂疎」とは,とうざけるべきものという意味。

②「ウ(大いなる)」+「ソ(そらごと,そむくこと)」で,大きなそらごとの意。

③「うそぶく」の語幹「うそ」から来ている。真実でない意。

「噓」は,

吹く気を急に吹き出すを吹といい,緩きを噓という。

意味としては,

嘯く,
ふうっとため息をつく,

となる。「うそ」に当てた,「噓」は,国字,

口(言葉)+虚(実がない)

実のない言葉,つまりうそ,とした。

要は,

嘘とは事実に反する事柄の表明であり,特に故意に表明されたもの

を言う。嘘というのは,

意図的に騙す陳述を指していて,たんなる不正確な陳述とは異なる,

のである。ためにしているといっていい。

噓には,5タイプあるという(J・M・ウィルソンらによる),

①自己保護のためのうそ 罪や避難,不承認を避けたり,罰の悪さをさけるため
②自己拡大のうそ 現実よりも自分を良く見せようとする。注目や承認をえるためのほらの類
③忠誠のうそ ある人を守るためにその人の違反行為などをかばうためにつく
④利己的なうそ 物質的な利益をえるためにつく
⑤反社会的・有害なうそ 態とその人をけなしたり非難したりして,その人を傷つけるためにつく

等々と,今日,我が国の為政者がなしている詐欺行為は,こんな可愛げのあるものではない。

麻生副総理は,

「ナチス政権下のドイツでは,憲法は,ある日気づいたら,ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口,学んだらどうかね」

と言ったとされている。まさに,いま進んでいるのは,この手口である。

詐欺とは,

他人を騙して,錯誤に陥れたり,財物をだまし取ったり,瑕疵ある意思表示をさせたりする行為,

という。解釈改憲の説明に使った例(米艦は,邦人を救助のために載せたりしない等々)と言い,機雷の掃海行動(ホルムズ海峡にはほとんど公海はない)といい,詐欺同然の言説で,

錯誤に陥れている

のである。つじつまの合わないこと,論理の破綻は,外から見ての話で,

虚構
作り事
絵空事

を意図的に持ち出し,その中にいる人間には,破綻はない。どうせすべて嘘で,言ったこと自体を,ひょっとすると覚えていないかもしれない。嘘を言ったこと自体を別に取り繕う必要も感じていない。何はともあれ,まず結論ありきで,口先三寸,ただ並べ立てている理屈は本当はどうでもいいのかもしれない。

例の広島で批判されたにもかかわらず,また長崎でもコピペしたことに見られるのは,一見無謬で押し通すように見える。しかし実は,そんなことはどうでもいい。自分の言いたいことをただ一方的に言う。被爆者から異見を示されても,「見解の相違」で押し通す。議論を積み重ねるとか,意見を交換するとか,人の意見を聞いて正すというようなことはまるで必要を感じていない。ブルドーザーのように,押し通していくとしか見えない。

まず,戦後のレジームを壊すことありき,そのための既成事実をひとつひとつ確実に積み重ねている。為政者がおのれを押し通していくことで,実はひとつひとつ現実が出来上がっていくことを知っている。それが確実に進捗していくところが恐ろしいところだ。

これ程の詐術に欺かれるのは,国民の側の責任である。

こんなに世間中で騒がれているのに,未だに振り込め詐欺に欺かれるのと,どこかシンクロしてしまうのは,僕の錯覚なのだろうか。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
中島義明他『心理学辞典』(有斐閣)





今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 05:26| Comment(0) | 政治 | 更新情報をチェックする