2014年08月17日

機微


僕は朴念仁で,機微に疎いので,がさつとか,不躾とかと言われる。

機微と言うのは,

容易には察せられない微妙な事情,趣き

あるいは

微かな兆し

の意味だという。

人情の機微を察する

が語源で,

機(物事の働き)+微(かすか)

ものごとに微かに現れるか現れない兆し,

のことといって言い。

「幾」は,

「幺二つ」(細かい糸)+戈(ほこ)+人

で,

人の首に武器を近づけて,もうわずかで届きそうなさま,

わずか
細かい

という意を含むとされる。

「機」は,

木製の仕掛けの細かい部品,
僅かな接触で噛み合う装置

のことらしい。で,「機」には,

はた,機織り機 「機杼」
部品を組み立ててできた複雑な仕掛け 「機械」
物事の細かい仕組み 「機構」
きざし,事が起こる細かいかみあい 「機会」
人にはわからない細かて事柄,秘密 「機密」
勘の良さ,細かい心の動き 「機知」「機転」

といった意味がある。

では,「微」は,というと,

「微」のつくりの方は,

「-線の上下に細かい糸端のたれたさま」+「攴」(しるし)

で,

糸端のように目立たないようにすること

「微」は,

それに「彳」(いく)を添えて,

目立たないようにしのびあるきすること

という。だから,

かすか,ほのかではっきりみえない
身分が低い,目立たない
小さくて,目立たない
ほんの少し,わずか
ひそかに

といった意味になる。

しかし,人情の機微に触れる ってどういう意味なのだろう。なんとなく,

(微妙な)気持ちが分かる
酸いも甘いも噛み分けた
情に通じた

といった意味で,漠然と,

世事に通じる,

といった意味で使われ,

人間通
とか
人間観察力にすぐれる

ということとはずれていくような気がする。

心の綾
とか
心のデリカシー

という言い方をされることがある。

なんとなく,下町のおばさんの風情になる。しかし,下手をすると,

空気が読めない,

の類と同じ,同調圧力に変わる可能性を秘めている気がする。

そうそう人の心の奥底などわかるものでもないし,勝手にわかってもらったって,当人だって迷惑に違いない。

そういうと,きっと,

機微のわからないやつ
機微に疎いやつ

と言われるだろう。その瞬間に,同調圧力になっていることに,言っている本人が気づかない。

これは,人に強要するものではない,

黙って分かった(ふりをする)

というような,

忖度というか,惻隠の情

を言っているだけなのではないか。わかったら,わかったなどと言わないのが,

機微

というものだ。

そもそも,人の感性レベルは,人によって違う。その違いが個性というものだ。どこかに,

あるべき感じ方

などというものはない。そういうことを言い出したら,右向け右と同じことをしていないと納得できない,おのれの没個性に気づくべきだろう。

参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)





今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 04:58| Comment(0) | 世情 | 更新情報をチェックする