2017年12月12日

うんぷてんぷ


「うんぷてんぷ」は,

運否天賦,

と当てる(否はぴとも訓む。)。

http://ppnetwork.seesaa.net/article/455466721.html?1512936982

で触れた,「のるかそるか」とちょっと似ているが,

人の運不運は天のなすところである,

という意で,

運を天にまかす,
命は天に委ねる,

という意味から,

一六勝負,

と似ているようでいて,成行きに任せる,もっとはっきり言うと,

ケセラセラ,

に近く,どこかやけくそではあるが,悲壮感はない気がする。『日本語源広辞典』には,

「運否(運,不運)+天賦(展が与える)」

として,

「運不運は天が与えるものだ。人間の力ではどうすることもできない」

としている。和製漢語らしい。

「いちかばちか」は,『広辞苑』は,

「(もとカルタ博奕から出た語)運を天にまかせて冒険すること」

とするが,『大言海』は,

「一か罰(ばち)かなるべし。博徒より出たる語なると思はる。壺皿に伏せたる骰子(さいのめ)に,一が出るか,失敗(しくじ)るかの意と云ふなるべし。出たとこ勝負,出たら出たら目,などと意通ふ。一擲賭乾坤と云ふ語あり」

と,サイコロ賭博のことだとする。確かに,『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/i/ichikabachika.html

は,

「一か八かは博打用語で、『一』 は『丁』、『八』は『半』の各漢字の上部分をとったもので、丁半賭博などの勝負を意味していた(ここでの『丁』『半』は奇数・偶数ではなく、漢字のみをさす)。 『一か罰か』の意味 でサイコロの目が一が出て成功するか、外れて失敗するかといったサイコロ賭博説や,『一か八か釈迦十か』といったカルタバクチの用語説もある。」

と二説を挙げる。これだと分かりにくいが,『日本語源広辞典』は,この二説をこう説明している。

「説1は『一か八か』です。三枚のカルタばくち,二枚で一と八でカブ(九)の時,三枚目は,釈迦の十が出るのは希である。そこでつぶやく言葉『一か八か釈迦十か』が語源とする説です。
 説2は,壺に伏せたサイコロばくちで,丁半の文字の上部が隠語,丁(一の意),半(八の意)が語源です。そこで,つぶやく『一か八か』『丁か半か』が,語源となったというのです。いずれもハチにはバチ(失敗)の意が掛けてあるのだそうである。」

「三枚のカルタばくち」というのは,『日本語源大辞典』によると,

「めくりカルタで一から十までの札四十枚を用い,順にめくって手札との三枚の札の合計の末尾の数字が九を最高点とするもの。」

とある。これを見る限り,「バチ(失敗)」かどうかは別として,サイコロではなく,カルタに軍配を挙げたくなる。サイコロ賭博には,

一六勝負,

という言葉があって,

サイコロで一が出るか六が出るか,

を賭ける。『大言海』には,

「博奕に,壺皿に伏せたる簺目(さいのめ)に,一が出るか,六が出るか,何れかに賭けて勝負を決すると云ふごなり」

とある。「一六勝負」という言葉があるのに,「一か八か」という言葉はないだろう。

このサイコロ博奕の最高なのは,たぶん,

乾坤一擲,

という言葉だろう。「一六勝負」や「一か八か」は,

サイコロを投げて,天が出るか地が出るかを賭ける,

に比べると,ずいぶんしょぼい。

http://kotowaza-allguide.com/ke/kenkonitteki.html

に,

「『乾』は『天』、『坤』は『地』、『乾坤』で『天地』の意味。『一擲』はさいころを投げること。天地をかけて一回さいころを投げるという意味から、自分の運命をかけて、のるかそるかの勝負に出ることをいう。韓愈の詩「鴻溝を過ぐ」の「竜疲れ虎困じて川原に割ち、億万の蒼生、性命を存す。誰か君王に馬首を回らすを勧めて、真に一擲を成して乾坤を賭せん」から。」

とある。『易経』に,

「乾為天,坤為地」

とあるところから来た。因みに,韓愈の詩『過鴻溝』は,

龍疲虎困割川原
億万蒼生性命存
誰勧君王回馬首
真成一擲賭乾坤

で,漢楚の戦いをうたったもの。

「劉邦(前247~195)と項羽(前232~202)とは協力して秦王朝を倒すが、その後、二人は天下の盟主となるために激烈な戦いを展開して、結局勝負がつかない。詩にいう『龍は疲れ虎は困しむ』状態におちいり、そこで二人は『天下を二分して互いの領土としよう』と約束しあった。その境界線が題名にある『鴻溝』で、以西を漢(劉邦の国名)、
以東を楚(項羽の国名)と取り決めたのである。」

と,

http://www2.odn.ne.jp/kotowaza/BBS/KANSI/14-kenkon-itteki.htm

にある。「乾坤一擲」は,

一擲乾坤,

とも言うが,似た言葉に,

梟盧一擲(きょろいってき),

とも言う。「梟盧」とは,ばくちのこと,であるらしい。

参考文献;
http://www2.odn.ne.jp/kotowaza/BBS/KANSI/14-kenkon-itteki.htm
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
田部井文雄編『四字熟語辞典』(大修館書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

posted by Toshi at 05:24| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする