2017年12月21日

かき


「かき」は,

柿,
柹,

と当てる(『広辞苑』)。

「東アジア温帯固有の果樹で,長江流域に野生,日本に輸入されて古くから栽培」

したものらしい。「柿(柹)」の字は,

「右側はもと市ではなく,つるの巻いた棒の上端を一印で示した字(音シ)。上の棒の意を含む。柿の元の字はそれに木を加えたもの。かきの皮を水につけ,その上澄みからしぶをとる。」

とある。これは,

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10146565810

に,

「もともとカキという字は『柹』という風に書き、つくりの部分は『し』という音読みで、『一番上』という意味を持っている字です。カキは、皮を水につけて、その上澄みからしぶをとっていたためこの字になりました。そのあと、形が変化し、『柿』という字になったのです。これと似たようなものに『姉』があります。これも『あね』が一番上のため「姊」という字になり、「姉」に変化したんです。」

という説明がよくわかる。ただ,「柹」の字については,『大言海』が,

「正しくは,杮なり,柹は俗字なり。然れども,市(イチ)にて通用す。」

としている。「柿」(シ カキ)と「杮」(ハイ)」の区別は,正直つかない。

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『大言海』は,「かき」の語源について,

「赤木(あかき)の上略にて(殯〔もあがり〕,もがり),實の色につきての名か。」

とある。『日本語の語源』も,

「アカキミ(赤き実)―カキ(柿)」

と,実の色説を採る。『日本語源広辞典』は,三説挙げる。

説1は,「コケラ(柿の古語)の変化」説。コケラ→カケラ→カケィ→カキと変化した,
説2は,「アカキ(赤木・赤い実)からア音が脱落」説,
説3は,実を収穫するとき,枝をカキトルところから,「カク果実」が語源,

しかし,「こけら」は,

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10146565810

に,

「こけらというのは木の切りくずのことです。つくりの部分は双葉が左右に開くことを意味しており、「ハイ」という音を持ちます。(市場の市と似ていますが別物です)それに木偏がつき、左と右とに削り取った木の皮という意味になり、木の切りくずの意味になりました。」

としており,字は,「柿」(シ かき)と「杮」(ハイ)」と似ているが,別物である。『大言海』に,

「こけら葺をカキブキと云ふは,果(くだもの)のカキの字と見誤りて読むなり」

とある通りである。

『日本語源大辞典』は,例によって諸説並べている。

赤い実のなる木であるから,アカキ(赤木)の上略か(和句解・東雅・大言海),
その実の色から,アカキ(赤)の上略(日本釈名・滑稽雑談所引和訓義解・和訓考・和訓栞・言葉の根しらべの=鈴木潔子の),
「赤」の別音kakの転(日本語原学=与謝野寛),
アカミ(赤子)の義(言元梯),
葉,実が赤いところから,カカヤクの略転(俚言集覧),
実が堅いところから,カタキ(堅)の略(本朝辞源=宇田甘冥),
サキ(幸)の転声か(和語私臆鈔),
カキ(欠)の意。枝をカキて実をとることから(名言通),

この他,朝鮮語kam(柿)の同源とする説もあるらしいが,結局,実の赤さから来たと見るのが妥当なのだろう。

『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ka/kaki.html

は,

「実がが堅いことから『カタキ(堅)』、つやつやして輝いていることから『カカヤキ(輝)』など多くの説があるが、 これらの特徴よりも、秋の山野になった実の赤い色の方が印象は強く、『アカキ』の上略 が語源と考えられている。 『アカキ』の『キ』については、『赤木』の『木』、『赤き実』の『き』,『赤黄』の『黄』など考えられるが断定は難しい。
 柿は中国の長江流域に自生していたものが、栽培で東アジアに広がったもので、現在では日本の秋を代表する果樹となっている。『日葡辞典』で『リンゴに似た日本の無花果(いちじく)』と解り辛い紹介をしているように、ヨーロッパにはない果樹であった。南蛮貿易によってヨーロッパへ伝えられたことから,学名も『Diospyros kaki(Diospyros は神様の食物)』と『カキ』の名が使われ,食材としても『KAKI』と呼ぶ国が多い。」

と整理している。やはり目に入った「あか」の印象ではあるまいか。

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参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%82%AD
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

ラベル:かき 柹,
posted by Toshi at 05:12| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする