2017年12月26日

さぎ(詐欺)


「さぎ」は,

詐欺,

と表記すると,

偽り欺くこと,
法律用語で,他人を騙しして錯誤におとしいれ,財物などをだまし取ったり,瑕疵ある意思表示をさせたりする行為,

であり,

詐偽,

と表記すると,

真実でないこと,いつわり,

となる。「詐欺」が,行為を指し,「詐偽」が,その中身のいつわりさを表す,ということだろうか。

「詐」の字は,

「乍は刀で切れ目を入れるさまを描いた象形文字で,作の原字。物を切ることは人間の作為である。詐は『言+音符乍(サ)』で,作為を加えた作りごとのこと」

「偽(祇)」の字は,

「爲(=為)の原字は,『手+象の形』の会意文字で,人間が象をあしらって手なづけるさまを示す。作為を加えて甫編来の性質や姿をためなおすの意を含む。僞は『人+音符爲(イ)』で,人間の作為により姿をかえる,正体を隠してうわべをつくろうなどの意。爲(=為)が広く,作為する→するの意となったため,むしろ偽にその原義が保存され,(人間の作為,うわべのつくろいの)用法が為の元の意に近い。」

で,「僞は人之を為す。天真にあらず,故に人に从(したが)ひ,爲に从ふ」とある。

「欺」の字は,

「其(キ)は,四角い箕(ミ)を描いた象形文字。旗(四角い旗)や棋(キ 四角い碁盤)等々に含まれて,四角くかどばった意を含む。欺は『欠(人が体をかがめる)+音符其』で,角ばった顔をしてみせる,相手をへこませること」

と,それぞれの謂れがある。「詐欺」は,中国語では,

欺詐

である。「偽」(いつわる)と「詐」(いつわる)の違いは,

偽は,人為にて,天真にあらざるなり,いつはりこしらへたるなり。虚偽,詐偽と用ふ,
詐は,詐偽と連用する。欺き騙すこと,誠実の反なり,

とある。「欺」(あざむく)は,

「あなどりて,だます義」

とあり,実は,「詐欺」について,この由来は,古事記の「因幡の白兎(しろうさぎ)」の話から来ていると,

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1413118399

に,

「例の『向こう岸の島まで渡るために、サメの数を数えてあげるといってサメを騙して向こう岸までならばせ
渡りきる寸前で嘘がばれ、赤裸にされ、泣いているところを大国主の命にがまの穂で赤裸を治してもらった』―という話しですが。『詐欺(さぎ)『とは、この『因幡の白兎(しろうさぎ)』から由来しています。『白兎(しろうさぎ)』のことを古来から通称『さぎ』といい、一羽二羽と鳥のように数えます。そこから『(さぎ)する』とは、この『因幡の白兎(しろうさぎ)のマネをして相手を騙(だま)す』という意味で古来から使われてきたのです。この古来からの『さぎ』という字に『詐(いつわり)欺(だます)』という漢字が充られたのです。」

とある。

http://www.yuraimemo.com/4027/

にも同趣の話が載る。

「さぎ(鷺)」と「うさぎ(兎)」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/455767810.html?1514147633
http://ppnetwork.seesaa.net/article/455333594.html

でそれぞれ触れたように,「うさぎ」の古形は,「う」である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%A0%E5%B9%A1%E3%81%AE%E7%99%BD%E5%85%8E

には,

「この兎は、『白兎神社』や『白兎神』『白兎明神』などに見られるように、『白兎』として伝わる。『古事記』の表記は『菟』、『裸の菟』、『稲羽の素菟』、『菟神』である。本居宣菟長は、「素」には何もまとわず何にも染まっていないの意があると述べる。『古事記』には兎の毛色の言及はなく、宣長のように『素布 ( そふ )』= 白い布から、『素』に白の意があると考えれば『白兎』ともいえる。」

「菟(莵)」は,うさぎ(漢音ト,呉音ツ)である。大穴牟遲神(大国主神)に教えられた通り,「菟」は,

故、爲如教、其身如本也。此稻羽之素菟者也。於今者謂菟神也,

と古事記にはある。で,稲羽の素兎(しろうさぎ),というのであるが。

『大言海』は「さぎ」を,

詐偽,
詐欺,

と当てて,両者を区別していない。「詐欺」も「欺詐」も,

いつわり,だます,

意で変わらない。「中国語」由来と見なすのが自然な気がする。魏志には,

「欺詐侮易,多不得文明」

の用例が載る。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1130536761

の,

「犯罪のサギは『詐欺』、漢語読みである音読みです。(ちなみに中国語で『詐欺』は『欺詐』。ひっくり返りますが同じ字を使います。)漢字は表意文字なので、文字自体に意味があります。『詐欺』の方はどちらも「あざむく、だます、騙る」ことを表す字を使った熟語。」

とあるのが妥当ではなかろうか。牽強付会も過ぎると,ちょっと。

参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%A0%E5%B9%A1%E3%81%AE%E7%99%BD%E5%85%8E
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
簡野道明『字源』(角川書店)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

ラベル:詐欺 詐偽 さぎ 欺詐
posted by Toshi at 05:18| Comment(0) | カテゴリ無し | 更新情報をチェックする