2018年01月21日

描く楽しさ


「清水国明の自然暮らし」展(報美社主催)に伺ってきた。

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初めての個展ということらしい。案内ハガキの絵を見て,ちょっと惹かれて伺った。油絵も初挑戦ということもうかがっていたので,正直たいして期待もしないで,用事のついでに寄らせていただいた。

しかし,こういう言い方をするのは失礼ながら,想定外に面白かった。絵の是非について,云々できる薀蓄はないが,僕はタイトルが面白いと思った。たとえば,

「決意の富士」
「夢叶う富士」
「かいでみるよりするがよい」
「秋冬同居」

等々,全てではないが,惹かれるタイトルがある。いつも,僕はタイトルを重視する。

人は持っている言葉によって見える世界が違う,

という。言葉を通してモノをみる。あるいは知識でモノを見る,と言い変えてもいい。僕は,

絵はタイトルとのキャッチボール,

なのだと思っている。描き手は,タイトルに,

描き手が見た世界を言語化,

するのだと思う。描き手は,そう見てほしい世界の道しるべをする。しかし,観る側は,絵を見ながら,タイトルの言葉に自分が見る世界と,絵の世界とキャッチボールをする。その乖離と融合の中に,描き手が見せたい世界とは別の新しい世界を,見る側が見つけ出せるかどうかが面白いのではないか。描き手の思うように見ては,それは絵の世界が(描き手の内部で)自己完結しているだけのような気がする。

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多分記憶では,左が「決意の富士」右が「おぼろ富士」。言葉の見せる世界と,絵の見せる世界のギャップが,絵を見ながら,様々に感じさせる。この絵柄では,「決意」が甘いとか,「おぼろ」は,もっと紗がかかっていなくてはとか,と思いながら,結構面白いと思えてくる。この二作と,案内ハガキの「藍富士」の三作が,メインなのかもしれない。確かに落ちついている。でも,「藍富士」じゃなく,蒼を集めた富士とか,別の言葉が見えてきたりする。

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僕は個人的には,「明瞭富士」と題された作品や,「秋冬同居」と題された作品,「GOLD」と題された作品等々,ちょっとデフォルメした富士にチャレンジして,楽しんで書いている作品が好きた。抽象度を増すというのは,

見える世界を丸める,

ということだ。その丸め方に,描き手の冒険と楽しみがある。

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(「明瞭富士」)

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(「秋冬同居」)

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(「GOlD」)


この展覧会の写真を見せたある人は,「絵を画くのが楽しくして仕方がない」という雰囲気が出ている。ちょっと描くことへの手応えを感じて,いろいろな表現スタイルを試みているところに,充溢感が出ている,と評したが,確かに,絵を描く楽しさが顕れている展覧会ではあった。

ホームページ;
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コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1

posted by Toshi at 05:16| Comment(0) | 個展 | 更新情報をチェックする