2018年01月27日

へたばる


「くたびれる」で,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/456430348.html?1516825038

で,

つかれる→くたびれる→へたばる(へばる)→くたばる,

と疲労度が増していく表現に触れたが,「へたばる(へばる)」以外は,

朽ち,
腐ち,

とつながっていた。では,

へたばる,
へたる,

の「へた」はどこから来たか。

へばる,
へたばる,
へたる,

は同じ意味に使われるが,どう違うのか。「へばる」は,

そばを離れずに居る
衣服などが体にぴったりつく,ひっぱられる,
つかれきる,へたばる,

で,「へたばる」は,

ひれ伏す,平伏する,
弱って座り込む,

という意味である。「へたる」は,

尻もちをつく,へたばって坐り込む,
(他動詞的に)倒す,借金などを踏み倒す,

という意味になる。

「へばる」は,張り付く意味で,それに準えて,地に張り付く,へたり込む,といった意味に広げられたのだと想像される。「へたばる」も,平伏する,這いつくばる,地に這いつくばる,ということに準えて,へたり込む意になったと想像される。「へたる」は,まさに尻もちをついた姿に準えて,へたり込む意になったと想像できる。

『日本語源広辞典』は,「へたばる」を,

「ヘタ(べったりと)+バル(平伏する)」

としているが,「ばる」は,体言について,そのものの性質のように振る舞う,とあり(『広辞苑』),「四角ばる」「しゃっちょこばる」等々と同様に,「へたばる」を「へたった状態」と見ることもできる。『大言海』は,「へたばる」を,

「平張」

と当て,

「地べたへ開張(はる)の意」

としているが,ちょっと難がある。『日本語源広辞典』は,「へたり込む」は,

「ヘタリ(べったりと)+こむ(すわりこむ)」

とし,「へたる」を,

へたばるの簡約形,

としている。しかし,

へたばる,
へたる,
へたり込む,

の「へた」は,擬態語,

へたへた,

から来ていると思われる。『擬音語・擬態語辞典』は,「へたへた」について,

「気力や体力を使い果たして急に力が抜け,崩れ落ちるようにその場に腰を落としてしまう様子」

とし,

「室町時代から見られる語で,古くは『へた』『へった』『へったり』ともいった。ただし『日葡辞典』の『へたへたと,またはへたと』の項に『幅広なものが平らに落ちる様子・当たる様子』という解説があり,現代よりも表す範囲が広かったと考えられる。なお疲れて音をあげる意の『へたばる』『へたる』は,この『へた』から派生した語」

とある。で,類語「へなへな」と「へとへと」との関係を,

「『へなへな』も疲れる様子を表すが,弱々しく左右によろめきながら,倒れる感じがある。『へとへと』は疲れ果てて体中から力が抜けるような感じを表すが,腰を落とすとは限らない。」

とあるので,

へなへな→へとへと→へたへた,

という順で疲れ度があがる,ということか。なお,「くたくた」と比較すると,

「『くたくた』は肉体的な疲労でなくてもよい点で『へとへと』とはことなる。」

とある。さらに,「ばてばて」は,

「体力がなくなったことに重点を置く『へとへと』に対して,『ばてばて』は,途中で体力がなくなることに重点を置く」

とある。とすると,

くたくた→ばてばて→へなへな→へとへと→へたへた,

という感じになろうか。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1

スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8

posted by Toshi at 05:16| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする