2018年03月07日

漢字


「漢字」は,なぜ,「漢字」と呼ぶのか。我が国に漢字が入ってきたのが,

前漢(紀元前206年 - 8年)
ないし,
後漢(25年 - 220年)

の頃に入ってきたせいではないか,と勝手に考えていたが,そうではなかったようである。たとえば,

古い文字が漢水の辺りで発見されたから,
漢民族の言葉であるから,
漢の時代につくられた世帯が基本になっているから,

等々の説があるようだ。『日本語源広辞典』は,

「漢(中国古代国名)+字」

としているが,どうもそうではないようである。

http://kanjibunka.com/kanji-faq/old-faq/q0208/

によると,

「漢字の起源は紀元前1300年ごろまでさかのぼることができるとされています。漢王朝は、紀元前2世紀から紀元後2世紀までの約400年間、中国を支配した王朝ですから、漢字の歴史は漢王朝よりもずっとずっと古いのです。」

とあり,

「『漢字』の『漢』とは王朝の名前ではなく、民族の名前だと考えた方がよさそうです。現在の中華人民共和国の人口の大半を占めるのは、漢民族と呼ばれる民族です。私たちが普通に『中国人』としてイメージしているのは、この漢民族の人々です。ですから、彼らが日常使っている言語、つまりは私たち日本人が『中国語』と呼んでいる言語のことを、中国語では『漢語』と言います。それと同様に、漢民族が使っている文字という意味で、『漢字』という呼び方があるのだと思われます。」

とし,

「彼ら自身は、自分たちの使っている文字のことを単に「字」とでも呼べばよく、特別に『漢字』と呼ぶ必要はなかったはずです。しかし、10世紀ごろになると、漢民族の周辺にいた民族たちも、漢字にならって自分たち自身の文字を開発し始めます。おそらくこのころ、『漢字』ということばが誕生したのではないでしょうか。『大漢和辞典』では、『漢字』ということばが使われるようになったのは、モンゴル文字と対比してのことだと、説明しています。」

と,長く,文字のあったのは漢民族だけだったが,周辺が文字を創り始めたことで,自分を意識した,と言うのはなかなか面白い。

http://ppnetwork.seesaa.net/article/441386581.html

で触れたように,文字を持たなかったわれわれは,漢字を改造して,

仮名,

あるいは,

仮字,

と呼んでいた。それが訛って,

「かりな」→「かんな」→「かな」

と転じた。だから,漢字を「真名」と呼んだ。『大言海』は,

「真名(漢字)の音,又は訓を取りて,国語の音を写すに,仮り用ゐる字の義なり。人を,比止と書き,瓶を加女など書くが如きを云ふ。…即ち仮借字にて,これを真名書きと云ふ,是れ仮名なり。奈良朝の頃までは,すべて真名書(万葉仮名)なりしに,其の字の画の多くして,書くに難渋なるの因りて,平安朝の初期に至り,婦人の用に,比止,加女などの草書の體を,甚だしく崩して,ひと,かめ,などと書き取ることとなりて,草仮名とと云ひ,女手(おんなで)とも云ひ,遂に,此草仮名を,専ら,単に,かな,かんな,と云うふやうになり(後にひらがなの称,起こる)」

としている。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ka/kanji.html

は,

「中国、漢民族の間で作られた 文字である。 漢民族が使っていた言葉を『漢語』といい、その漢語を表記するための文字なので『漢字』というようになった。 現存する最古の漢字は、殷墟から出土した紀元前15世紀頃の甲骨文字で、非常に長い歴史をもつ文字である。日本では、一世紀頃委奴国王の金印などに見られるものが最も古い。上記の通り、本来は漢語を表すための文字を指すものであるが、同様の形態や機能をもつ『和製漢字(国字)』も含めて言う。」

黄帝.jpg



とある。漢字は,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E5%AD%97

には,

「伝承によると、中国における文字の発祥は、黄帝の代に倉頡が砂浜を歩いた鳥の足跡を参考に創った文字とされる。また『易経』には聖人が漢字を作ったと記されている。考古学的に現存する最古の漢字は、殷において占いの一種である卜(ぼく)の結果を書き込むための使用された文字である。これを現在甲骨文字(亀甲獣骨文)と呼ぶ。甲骨文以前にも文字らしきものは存在していたが、これは漢字と系統を同じくするものがあるか定かではない。当時の卜は亀の甲羅や牛の肩胛骨などの裏側に小さな窪みを穿(うが)ち、火に炙って熱した金属棒(青銅製と言われる)を差し込む。しばらく差し込んだままにすると熱せられた表側に亀裂が生じる。この亀裂の形で吉凶を見るのであるが、その卜をした甲骨に、卜の内容・結果を彫り込んだのである。」

とある。黄帝の代とは,紀元前2510年~紀元前2448年ということになる。殷は,(紀元前17世紀頃 - 紀元前1046年とされ,現在存在する中での最古の漢字は,この殷墟から発掘される甲骨などに刻まれた甲骨文字とされているそうである。

馬-oracle.svg.png

(甲骨文字「馬」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E5%AD%97より)


文字として使用できる漢字が出来上がったのは約3300年前のこの頃とされ,この甲骨文字は物を見たままを描く象形文字であり,その他,

「ある種の事態を表現する動詞や形容詞の文字も存在した。例えば、『立』の原型である人が地面を表す横棒の上に書かれた字(指示文字)、女性が子供をあやす様から『好』や人が木の袂(たもと)にいる様から『休』などの字(会意文字)も既に含まれていた」

という。


参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E5%AD%97
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%B7
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1

スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8

ラベル:漢字 真名
posted by Toshi at 05:07| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする