2018年04月05日

リンゴ


「リンゴ」は,

林檎,
苹果,

と当てる,と『広辞苑』にある。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ri/ringo.html

に,

「りんごは、古く中国を経由して渡来し、西欧系のリンゴの普及以前に日本でも栽培されていた。林檎は中国語で、『檎』は本来『家禽』の『禽』で『鳥』を意味し、果実が甘いので林に鳥がたくさん集まったところから、『林檎』と呼ばれるようになった。『檎』は、漢音で『キン』呉音で『ゴン』と読まれることから、『リンキン』や『リンゴン』などと呼ばれ、それが転じて『リンゴ』となった。 平安中期の『和名抄』では、『リンゴウ』と呼んでいる。
また中国語で林檎を『苹果』(pingguo)とも呼び、『林檎(リンゴン)』と『苹果』(pingguo)が混ざり,『リンゴ』と呼ばれるようになったとも考えられている。」

とあり,

林檎,
苹果,

いずれも,中国語由来,ということになる。ただ,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B4

に,

「日本語では漢字で主に『林檎』と書くが、この語は本来、同属別種の野生種ワリンゴの漢名である。また、『檎』を『ご』と読むのは慣用音で、本来の読みは『きん』(漢音)である。
リンゴ(セイヨウリンゴ)の漢名及び中国語の繁体字表記は『蘋果』で、中華人民共和国で使われる簡体字では苹果(píng guǒ)と書かれる。日本で『りんご』とも読むが当て字で、本来の読みは『へいか』である。」

とあり,今日の「りんご」とは異なるようである。『日本語源大辞典』

には,

「①中国では、古く西洋から伝わったリンゴを『奈』『頻婆』『苹果』などと表した。それに対し、中国原産のものが『林檎』である。
②『十巻本和名抄―九』には『林檎子〈略〉利宇古宇りうこう』とあるが、平安期にリンドウが『りうたう』とも『りんたう』とも表記されていたように、『リンゴウ』と発音されていたとも考えられる。中世以降はリンキ、リンキンの形も見られ、リウコウから次第にリンキン・リンゴのような撥音形へ移っていったようである。近世に入ると、ほとんどの書物でリンゴを一般形としている。」

とある。また,

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12159352962

には,

「バラ科の落葉高木。アジア西部からヨーロッパ東南部の原産で、日本には中国を経由して古く渡来した。中国でこれを『林檎』と呼ぶのは、「檎」は本来「禽」で鳥をさし、果実が甘く諸鳥を林に来させることによるとされる。この「檎」は漢音でキン、呉音でゴンであることから、「林檎」はリンキンとかリンゴンとか読まれるが、後者が転じたのがリンゴである。なお、平安中期の『和名抄』ではリウゴウと読んでいる。」(『暮らしのことば語源辞典』)

を引用している。

Red_Apple.jpg



つまり,日本では,区別せず,「林檎」と当てているが,中国原産の中国由来の「りんご」を「林檎」とあてる。今日の「りんご」(セイヨウリンゴ)は「苹果」と,中国では区別しているらしい。しかし,「林檎」も,元は西方由来である。めぐりめぐって,「林檎」と「苹果」が巡り合ったということになる。因みに,西洋リンゴは,日本へは江戸末期に渡来し、明治初期に栽培しはじめた,という。

http://www.kigusuri.com/kampo/nikaido/nikaido009-01.html

には,

「中国から渡来した林檎(りんきん)と蘋果(ひんか)は、その後、コーカサス地方原産で別種のセイヨウリンゴが輸入されると倭(わ)リンゴ、地(じ)リンゴと呼ばれるようになりました。『その果実が甘いので禽(きん、小鳥のこと)が、その林に来る』ことから林檎(りんきん)と言われたと中国の古書にあり、この林檎を音読みにした和名から転じて、現在リンゴに当てられている漢字の林檎(りんご)になったと言われています。
明治時代になって多数のリンゴの品種が輸入され、各地で栽培が盛んに行われるようになって、現在では7500種以上の品種が栽培されています。」

とある。「蘋果」は今日の略字で「苹果」である。

『たべもの語源辞典』の「リンゴ」の項の説明が,「リンゴ」にまつわる真偽の整理になっている。

「西洋から輸入したものを苹果・平果と書く。中国原産の和林檎とその近似種の総称が林檎である。中国名にビンクオ(平果)がある,バラ科の果樹でアジアの中西部からインド北部といわれる。ヨーロッパでは紀元前から賞味されていた。我が国には中国から奈良時代に渡来した。中国で初め来禽と書いた。これはこの果物がうまいので禽鳥が来たり集まるので来禽とした。『三才図絵』に『文林郎果…初め河中より浮き来る。文林改という人あり拾い得て是を種(う)う。因て以て名を文林郎果となす』とある。これがリンゴである。古名,りうごう・かたなし。来禽の禽を木に生ずる果だということで,檎とし,中国の黄河を流れてきたのを文林改が初めて種えたということで,『来』を林として林檎になった。これは陳蔵器の『本草』説である。『本草綱目』には,『この果味甘く衆禽を林に来たすより林檎の名あり』とある。漢名には,来禽をはじめとして,半紅・沙果・頻婆・文林果・相思果などがある。西洋種の林檎が日本に渡ったのは,文久二年(1862)ころ越前福井侯松平慶永がアメリカから,その苗木を輸入し,江戸巣鴨の別邸に移植のが最初であるが,成功しなかった。明治四年(1871)に北海道開拓使からアメリカに苗木を注文し,これを北海道に頒布したのが,外国種林檎栽培の始まりである。石川県能美地方・福井県丹生地方・石見などでビンゴナシ,島根県鹿足地方で,リンゴナシ,鹿児島県肝属地方では,リンゴミカンとよんでいる。リンゴは,中国から渡来してリウゴウとよばれ,カタナシともいわれていたが,林檎の文字が伝えられると,リンキン・リンキ・リンゴウ・リュウゴウからリンゴになった。」

最後に,「林檎」「苹(蘋)果」の字に当たっておく。「林」(リン)の字は,

「木を二つ並べて,木がたくさんはえているはやしを表したもので,同じものが並ぶ意を含む」

「檎」(呉音ゴン(ゴム),漢音キン(ゴム))は,

「木+音符禽」

「禽」の字は,

「もと『柄つきの網+音符今(キン ふさぐ)』の会意兼形声文字。のち,下部に,禸(動物の尻)を加えたもので,動物を網でおさえて逃げられぬようにふさぎとめること。擒(キン とらえる)の原字」

これだと解りにくいが,

k-2539.gif


https://okjiten.jp/kanji2539.html

に,

「会意兼形声文字です(木+禽)。『大地を覆う木』の象形と『ある物をすっぽり覆い含むさま(「含み込んで覆う」の意味)と取っ手のついた網の象形』(『鳥』、『鳥を網で取りおさえる』の意味)から、『鳥が集まる木、りんご』を意味する『檎』という漢字が成り立ちました。」

がわかりやすい。「苹」の字は,

「平は,屮型のうきくさが水面にたいらに浮かんだ象形文字。苹は『艸+音符平(ヘイ)』で,平らの元の意味をあらわす」

とある。「蘋」の字は,やはり「うきくさ」の意で,

「『艸+音符頻(ヒン すれすれにくっつく)』。あるいは,萍(ヒョウ みずくさ)の語尾が転じたことばか。」

とある。「果」の字は,象形文字で,

「木の上の丸い実がなったさまを描いたもの。丸い木の実のこと」

である。

参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:苹果 林檎 リンゴ
posted by Toshi at 04:47| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする