2018年05月02日

はだか


「はだか」は,

裸,

と当てるが,「裸」(ラ)の字は,

「『衣+音符果(カ・ラ 丸い実,中身)』。衣服を脱いで,丸い肩や乳などの,まるまるしたからだのなかみを外へあらわすこと。」

とある(『漢字源』)。異体字に,

躶,
臝,

がある(いずれも「ラ」と訓む)。「果」が入っているのが特徴である。

https://okjiten.jp/kanji1785.html

には,

「会意兼形声文字です(衤(衣)+果)。『衣服のえりもと』の象形(『衣服』の意味)と『木に実のなる』象形(「外の皮をむいた木の実」の意味)から、『はだか』、『はだかにする」を意味する『裸』という漢字が成り立ちました。』

と,意味の形成は,こちらの方がわかりやすい。

『大言海』は,「はだか」を,

「膚明(ハダアカ)の約」とする。『日本語源広辞典』も,

「肌+アカ(明・赤)」

で,

「皮膚が現れて明るい状態」

を意味する,とする。「あか」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/429360431.html

等々で触れたように,

「赤(アカ)は,『明』が語源で,暗・黒(クラ・クロ)が,これに対する語」

であり,さらに,「真っ赤な噓」

http://ppnetwork.seesaa.net/article/455851358.html

で触れたように,「あか」には,


「『明らか』と同源で『全く』『すっかり』などの意味がある」

つまり,「明るい」というニュアンスと,「すっかり」という含意がある。『日本語源大辞典』には,

「アカ(赤)もアカ(明)も語源上はつながりがある。なお古くは名詞の用法が乏しい」

とあり,「はだか」が何かの形状を形容する意味で使われていたものらしい。『岩波古語辞典』には,

「相撲(すまひ)なども,清涼殿にて中宮は御覧ず。はだかなる姿どもの並み立ちたるぞ,うとましける」(栄花根合)

を引き,「新撰字鏡」の,

「躶,波太加奈利(はだかなり)」

を載せる。その意味で,語源は,

ハダアカ(肌赤)の義(和句解・日本釈名・類聚名物考・俚言集覧・名言通・国語学=折口信夫・猫も杓子も=楳垣実),
ハダアカ(膚赤)の義(和訓集説・俗語考・和訓栞・大言海),
古くは形容動詞の用法のみ。ハダに形容動詞語幹を作るカが付いたものか(小学館古語大辞典),
カは,オロカ(愚)・ハルカ(遥)などのカで,オロク・ハルクのように動詞語尾へも転通しうる接尾語(続上代特殊仮名音義=森重敏),

の何れか,ということになるのだろう。

肌赤,

膚赤,

という気がするのだが,『日本語の語源』は,

「着物を脱いで裸になることをハダアケ(肌開け)と言った。その縮約形のハダケがハダカになった。履物を脱いだハダアカシ(裸足)はハダシ(跣)に転音した。」

とある。「開く」という意味の,

はだけ(開),
はだ(開)かる,

とつなげるのは面白いが,

立ち開かる,

と言うように,「はだく」は,開く意味で,脱ぐ意味ではない。少し難がある気がする。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
簡野道明『字源』(角川書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 03:52| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする