2018年06月06日

キジ


雉,
雉子,

と当てる。日本の国鳥である。古語では,

雉子(きぎす),

という。

きぎし,

ともいう。

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(キジ(オス) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%82%B8より)

『岩波古語辞典』には,「きぎし」の項で,

鳴き声による名か,

とある。『大言海』も,「きぎし」の項で,

「キギは鳴く聲。キキン,今はケンケンと云ふ。シはスと通ず。鳥に添ふる一種の音。…キギシのキギスと轉じ(夷(えみじ),エビス),今は約めてキジとなる」

とある。

キギシ→キギス→キジ,

という転訛である。『日本語源広辞典』も,

「キギ(金属的な鳴声)+ス(鳥の意味の接尾語)

とする。「ウグイス」の項で,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/459382881.html

ウクイという鳴く聲,スは鳥の接尾語,「カラス」の項で,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/459343657.html

鳴き声「ころ」「から」+ス,「ホトトギス」の項で,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/459403506.html

「ホトホト」という鳴き声+「ス」というのと同系と見ることができる。

ただ『日本語の語源』は,鳴声説だが,別の音韻変化説を採る。

「〈雉子も鳴かずば討たれまい〉(狂・禁野)というが,その鳴き声をとってキキトリ(鳥)といった。トリ[t(or)i]の縮約でキキチ・キギシ(雉子)・キギスに転音した。〈春の野にあさるキギシ(雉)の妻恋に〉(万葉)。さらに,『キ』を落としてキジ(雉)になった。」

キキトリ→キキチ→キキシ・キギス→キジ,

という転訛を採った。

『日本語源大辞典』に,

「万葉東歌,記紀歌謡の仮名表記には『きぎし』とあり,古くは多く『きぎし』と呼ばれていたが,『古今六条』には『きじ』が六首,『きぎす』が二首見られる。後者は共に万葉の歌だが,『きぎし』から『きぎす』に移行した時期は不明」

とある。それでも,鳴き声以外の説を立てるのもあり,

低く飛ぶところから,ヒキシ(低)の上略(滑稽雑誌所引和訓義解),
子を思うあまり,野火にヤキシヌ(焼死)ところからか(和句解),

と,なかなか苦しい。

ケン・ケーン,

といまは聞くが,かつては,

キキン,
キンキン,

と聞えたということだろう。『擬音語・擬態語辞典』には,

江戸時代中頃から,キジの雄鶏の鳴き声を,

れんけん,

と写すようになった,とある。因みに,

「けんけんほろろ」

は,雉(雄)の鳴き声と羽音だが,「けんもほろろ」は,

「『けんけん』に『けんけんほろろ』が重ねあわされて誕生した」

とある。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:キジ 雉子
posted by Toshi at 06:59| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする