2018年08月25日

シカト


シカト,

と表記されることの多い「しかと」は,

確と,
聢と,

と当てられる,

はっきりとしているさま,確実でまちがいのないさま,たしかに,
かたく,しっかりと,十分に,完全に,
すきまなく,びっしりと,

という意味で使われるそれではなく,

相手を無視する,

という意味で使われる「しかと」である。『広辞苑』には,

「花札の紅葉の札の鹿がしろを向き知らん顔しているように見えることからいう」

とある。

Hanafuda_10-4.svg.png

(語源となった「紅葉に鹿」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%A8より)

『広辞苑』に載るくらいだから,一般に認知された言葉と思えるが,そんなに古くはない。他の辞書には当然載らないが,『語源由来辞典』(http://gogen-allguide.com/si/shikato.html)には,

「シカトは、花札の十月の絵柄『鹿の十(しか のとお)』が略された語。十月の札は、鹿が横を向いた絵柄であるため、そっぽを向くこと や無視することを『シカトする』と言うようになった。 警視庁刑事部による『警察隠語類集』(1956年)には、『しかとう とぼける。花札のモミヂの鹿は十であり、その鹿が横を向いているところから』とあり、このころはまだ『シカト』ではなく『しかとう』で,賭博師の隠語であったことがわかる。その数年後には、不良少年の間で使われ、『しかとう』から『シカト』に変化している。やがて、一般の若者にも『シカト』は使用されるようになった。」

とある。『とっさの日本語便利帳』(https://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%83%88-898732)には,

関東地方での使用頻度が高い,

とある。『日本語俗語辞典』(http://zokugo-dict.com/12si/sikato.htm)には,

「昭和時代のツッパリ・ブームで不良が頻繁に使わったことから広く普及(不良漫画ではカタカナのシカトがよく使われる)。しかとは行為をする当人が「しかとしよう」といったものより、された側の「しかとかよ」「しかとすんなよ」という使われ方のほうが多い。余談だが動物がそっぽを向いた他の花札に『松に鶴(一月)』がある。こちらが使われていたら『ツルイチ』というちょっと間の抜けた語感の言葉になっていたのかもしれない。」

とあり,同趣旨のことは,http://zatugaku1128.com/sikato/にもあり,

「ちなみに動物がそっぽを向くという柄は、鹿の他にも一月の最高札である『松に鶴』もあります。もしこちらが使われていたら『シカト』ではなく『ツルイチ』になっていたわけですが、『松』も『鶴』も日本では縁起の良いものとされてきたため、隠語としてはどこか仰々しいというところもあったのでしょうか、『シカト』のほうが広まっていきました。」

とある。『笑える国語辞典』(https://www.waraerujd.com/blank-39)は,なぜ「鹿に紅葉」が使われたかについて,

「無視することという意味で、一九八〇年代頃の不良仲間が愛用した隠語。 シカトは、花札の十月の札に描かれた鹿が、横を向いてこちらを無視しているように見えることから、十月の鹿、鹿十(しかとお)からシカトに変化した言葉だと言われる。しかし、花札に描かれた動物で私たちと目を合わせている(正面を見ている)ヤツはいないし、鹿の場合は、後ろを振り返っていてこちらを見ようとしている風情もあり、古人が作った和歌を見ても、鹿は女を求めて鳴いてばかりいて『知らん顔』とはほど遠く、そんな彼がなぜ『シカト=無視』の象徴に選ばれたのかは不明。もしかして、『無視か!(むシカ)』というダジャレか?」

としている。そんなところなのかもしれない。

花札にはまったく知識がないが,「花かるた」とも呼ばれ, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E6%9C%ADによれば,

「八八花のことで、一組48枚に、12か月折々の花が4枚ずつに書き込まれている。48という枚数は、一組48枚だったころのポルトガルのトランプが伝来した名残である。2人で遊ぶこいこい、3人で遊ぶ花合わせ、という遊び方が一般的だが、愛好家の中では八八という遊び方に人気がある。」

とか。なお,https://allabout.co.jp/gm/gc/215733/によると,花札用語と関わる賭博用語からきたものに,「ボンクラ」が,

「漢字になおすと『盆暗』。盆は博打場のことであり、ここで目端が利かず負けてばかりの人間をさす言葉が一般語化しました。」

とあるし,「ぴか一」は,

「『光一』という花札の役の名前です。7枚の手札のうち、1枚だけ光り物(20点札)で残りがカス札ばかりの役なのですが、ここから他のものから1つ頭が抜けていることをこう呼ぶようになったのです。」

とか。『語源由来辞典』(http://gogen-allguide.com/hi/pikaichi.html)には,

「ピカイチは、花札用語で手役のひとつに由来する。その手役とは、初めに配られた七枚の札のうち二十点の札が一枚だけあり、残りの六枚が全てカス札の場合、同情点を四十 点ずつもらえる役のことである。二十点札を『光り物(ピカ)』と言うことから、この役は『光一(ピカイチ)』と呼ばれ、転じて『抜きん出る』意味となった。」

とある。

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:31| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする