「下ネタ」は,
「『しも』は下半身の意。『ねた』は『たね(種)』を逆さ読みにした語」
で,
性や排泄に関する話題,
だが(『デジタル大辞泉』),
「下ネタ(しもネタ)は、笑いをさそう排泄・性的な話題のこと。寄席における符牒のひとつであったが、テレビ業界で用いられるようになってから一般化した。『下がかった話』などともいう。現在ではもっぱら艶笑話について用いられ、かならずしも笑いをともなわない猥談や露骨に性的な話(エロネタ、エッチネタ)を指すこともある。下は人間の下半身(または『下品』の意味)、ネタは「(話の)タネ」を意味する。」
とある説明が詳しい(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E3%83%8D%E3%82%BF)。
「ねた」は,
種,
と当て,
タネの倒語,
であり,
たね,
材料,
の意である(『岩波古語辞典』),とある。『江戸語大辞典』には,
大道商人隠語,
とあり,
商売道具,
商品,
の意とある。
「そりやア肝心のねたア,此天蓋の張っているにあをられるぜ(原注 ネタとは種といふこと)」(弘化三年・魂胆夢輔譚)
の用例からみると,幕末といっていい。慶応三年の用例では,
「(こんなに降るとしったらば,もう一晩ぶん流すに)なんのねたもねえくせに」(お静礼三)
とあり,ここでは遊興費の意らしい。
(葛飾北斎「新板大道図彙 小田原町」 https://images.dnpartcom.jp/ia/workDetail?id=RMN00017635)
「しも」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/463610265.html?1547152276)で触れたように,「しも」は,「かみ」と対である。『岩波古語辞典』には,
一続きのあるものの終り,
の意味で,
終りの方,末尾,
(時の経過の)終り,
月の後半,
の意味が,
ひとつづきの高さあるものの下部,
の意味で,
低い方,下方,
下半身,
一連の位・年齢・座席の下位である,
の意で,
身分・格式が下である,
意等々,が載る。
「した」に比べて,位置関係というよりは,一連の流れの末端,という含意のようである。『大辞林』は,
「空間的・時間的に連続したものの下の方。末の方。低いところ」
とあり,本来は,
ひとつながりの末端,
という状態表現が,価値を含み,
シモ,
には,
下劣,
品のない,
といった価値表現へと転じた。だから,
下ネタ,
には,単に,
下半身ネタ,
というだけではなく,
価値の下がる,
という意が含まれている。
参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
ラベル:下ネタ