2019年04月22日

あつい


「あつい」は,

厚い,

と当てる「あつい」である。

熱い,
暑い,

とは,

「アクセントが異なるうえ,語源も関連づけにくいため」

別語と考えられる(日本語源大辞典)。

篤い,

と当てる,「病が,篤い」の「あつい」は,かつて,

アヅシ,

とも言ったらしい(岩波古語辞典)が,

「アツユの轉。連用形しか文献に見えない」

あつ(篤)い,

という言い方もあったらしい(岩波古語辞典)。

容態が重くなる,

意だが,

「中世にはすでに難解な語だったらしく,古写本の本文にアツカヒと訂している本もある」

ほど使われていない。「あつゆ」は,

あつえひと(篤癃),

しか載らず,

「アツエはアツ(篤)に自発のユ(見ユ・肥ユ。映ユなどのユ)の付いた語。おのずと病が篤くなる意。『癃』は病の重い意」

とある。しかし「あつゆ」は,

「熱(アツ)を活用す」

とあり(大言海),「篤し」は,

「(暑い・熱いの)語の活用を変じて(著(いちぢる)き,いちじるしき。喧(かまびす)き,かまびすしき),ただ病の重ぐなる意となれるなるべし(類聚名物考)。悶熱(あつか)ふ,あつゆ,あつしるなども同趣也,説文『人疾甚曰篤』。」

とある(大言海)のを見ると,「篤い」は,「熱い」「篤い」からの転化という見方もできる。漢方では,

「寒けのする病を寒といい,発熱する病を熱という」

とある(漢字源)のとも関わるかもしれない。『日本語源広辞典』は,

「アツ(厚い・篤い)は,主題とするものが『集まり重なる』意の『アツ』」

と,

篤い,

厚い,

を同源とするが,上記に見たように,「厚い」の語源としてはともかく,「篤い」の語源は別と掌考えるべきだろう。他には,

アツル(当)から出た形容詞。当てた物が重なったさまをいう(和句解・国語の語根とその分類=大島正健),
アツムルシキ(集如)の義。ツムの反ツ。シキの反シ(和訓考・名言通),
アツム(弥積)の約(言元梯),
イヤツミシ(弥積如)の義(日本語原学=林甕臣),
アメツチ(天地)の略伝(和語私臆鈔),

等々ある。どうも多くは,

集む,

と関わらせる。「集む(める,まる)」は,

厚(あつ)の活用か(長むる,広むる),

としている(大言海)ので,「集む」と「厚い」は重なる気配である。『日本語源広辞典』は,二説挙げる。

説1は,「アツ(厚くなる・重なる)」+ム」。厚と集が同じアツの語源。同じ物質がどんどんむ集まると厚くなるという語が生まれ,人がどんどん多くなり厚くなると,集まるという語がうまれた,
説2は,「ア(接頭語)+積む」,

あ,積む,

は,『大言海』も挙げる,和訓栞の説だが,面白いが,如何であろうか。しかし,

集む,

厚い,

がかなり重なり,それが,

積む,

とも意味が重なるようである。そう見ると,

面の皮が厚い,

の意味は,なかなか厚みが増す。

「厚」(漢音コウ,呉音グ)の字は,

「会意。厚の原字は,髙の字をさかさにした形。それに厂(がけ,つち)を加えたものが厚の字。土がぶあつくたかまったがけをあらわす。土に高く出たのを高といい,下にぶあつくたまったのを厚という。基準面の下にぶあつく積もっていること」

「篤」(トク)の字は,

「会意兼形声。竹は周囲を欠けめなくとりまいたたけ。篤は『馬+音符竹』。全身に欠けめのない馬のことをいい,行き届いた意」

とある。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)

ホームページ;
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コトバの辞典;
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posted by Toshi at 04:06| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする