2019年06月10日


「冬」は,

暦の上では立冬から立春の前日まで(陰暦では10月から12月まで),
二十四節気に基づく節切りでは立冬から立春の前日まで,

ということになる。
旧暦による月切りでは十月・十一月・十二月。上に近いが、最大半月ずれる。

三冬(さんとう)という呼び方があり,

初冬(立冬から大雪の前日までの期間),孟冬,
仲冬(大雪から小寒の前日までの期間),
晩冬(小寒から立春の前日までの期間),季冬,

と別つ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC)。

「冬」(トウ)の字は,

「象形。もと,食物をぶらさげて貯蔵したさまを描いたもの。のち,冫印(氷)を加えて氷結する季節の意を加えた。物を収蔵する時節のこと。音トウは,蓄えるの語尾がのびたもの」

とある(漢字源)。似た解釈だが,

「象形。元は上部(『𠂂』>『𠔾』>『夂』)のみ。後に、『氷』を意味する『冫』を加え、寒い季節であることを強調。
食物を紐に結わえ左右にぶら下げる様を象り、『ふゆ』の季節に保存する様(藤堂)。『終』と同系。糸の末端を結ぶ様を象り年の末端の季節を意味(白川)。『終』の原字。」

とする(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%86%AC)説もあり,また

「会意文字です(日+夂)。『太陽』の象形と『糸の最後の結び目』の象形から、1年の月日の終わりの季節、『ふゆ』を意味する『冬』という漢字が成り立ちました。」

ともする(https://okjiten.jp/kanji93.html)が,殷時代の,甲骨文字をみるかぎり,最初は何かがぶら下がっているさまのように見える。

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(殷・甲骨文字「冬」 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%86%ACより)

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(殷・甲骨文字「冬」 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%86%ACより)


大言海は,

冷ゆに通ず,

とする。

ひゆ→ふゆ,

hiyu→huyu

という転訛がありうるかどうかは分からない。「冷ゆ」転訛説は多く,

ヒユ(冷・寒)の転(和句解・日本釈名・滑稽雑誌所引和訓義解・東雅・南留別志・和語私臆鈔・俚言集覧・言元梯・名言通・古今要覧稿・和訓栞・言葉の根しらべの=鈴木潔子・大言海・話の大辞典=日置昌一・神代史の研究=白鳥庫吉・日本語源広辞典)

と,多数派である。「冷ゆ」は,

氷を活用した語,

とみられる(大言海)。

その他に,

寒さが威力を「振う(ふるう)・振ゆ(ふゆ)」の転訛説
寒さに「震う(ふるう)」の転訛説
フユル(殖)の転訛説,

等々がある。「フユル(殖)」というのは,

「動物が出産するという意味の『殖ゆ〔ふゆ〕』などからきた言葉です。冬になると山の動物は冬ごもりし、大地からは緑が消えます。新しい生命の始まりとなる春までの充電期間となる季節です。」

ということ(日本文化いろは事典)らしい。

フユ(経)の義。年の暮れてゆく季節であるから(日本古語大辞典=松岡静雄),
フケヒユ(更冷)の義(日本語原学=林甕臣),
ミタマノフユ(恩顧)の義(嚶々筆語),
フユ(封忌)の義。稲を取り納めるところから(菊池俗語考)

等々となると,どうだろう。無理ない解釈は,

冷ゆの転訛,

だとは思うが。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 03:38| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする