2019年06月20日

じゃんけん


「じゃんけん」は,

石拳,
両拳,
雀拳,

等々と漢字表記される。手だけを使う遊戯であるが,

「現在行われているじゃんけんは意外に新しく、近代になって(19世紀後半)誕生したものである」

というhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%98%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%91%E3%82%93

「ウィーン大学で日本学を研究する『拳の文化史』の著者セップ・リンハルトは、現在の『じゃんけん』は江戸時代から明治時代にかけての日本で成立したとしている。『奄美方言分類辞典』に『奄美に本土(九州)からじゃんけんが伝わったのは明治の末である』と記されており、明治の初期から中期にかけて九州で発明されたとする説を裏付けている」
「江戸時代末期に幼少時代を過ごした菊池貴一郎(4代目歌川広重)が往事を懐かしんで、1905年(明治38年)に刊行された『絵本江戸風俗往来』にも『じゃんけん』について記されている。今でも西日本に多く残る拳遊びから(日本に古くからあった三すくみ拳に17世紀末に東アジアから伝来した数拳の手の形で表現する要素が加わって)考案されたと考えられる」

とある(仝上)。現在の,

掌を握ったのを石,
掌を開いたのを紙,
人差し指と中指の二本を出すのを鋏,

とする三すくみのスタイルは,

「日本の拳遊びには、数拳(本拳・球磨拳・箸拳、ほか)と三すくみ拳(虫拳・蛇拳・狐拳・虎拳、ほか)がある。
じゃんけんでは数拳(球磨拳)の1, 3, 4は省かれ、分かりやすい0と5と中間の2を残し、新しく意味を『石』『鋏』『紙』として三竦みを完成させた」

と(仝上),どうやら日本発祥らしい。虫拳(むしけん)は,

1024px-Mushi-ken_(虫拳),_Japanese_rock-paper-scissors_variant,_from_the_Kensarae_sumai_zue_(1809).jpg

(虫拳『拳会角力図会』 1809年 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%98%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%91%E3%82%93より)


「蛙と蛇となめくじの三すくみによる拳遊び。平安時代の文献にも出て来くることから、日本の拳遊びで一番古いものだと思われる。人差し指が蛇、親指が蛙、小指がなめくじを現す。蛙はナメクジに勝ち、ナメクジは蛇に勝ち、蛇は蛙に勝つ。その他、遊び方はじゃんけんに同じ。」

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%AB%E6%8B%B3)。狐拳(きつねけん)は,

800px-Kitsune-ken_(狐拳),_Japanese_rock-paper-scissors_variant,_from_the_Genyoku_sui_bento_(1774).jpg



「狐・猟師・庄屋の三すくみの関係を用いた拳遊びの一種である。藤八拳(とうはちけん)、庄屋拳(しょうやけん)、在郷拳(ざいきょうけん)とも呼ばれる。狐は猟師に鉄砲で撃たれ、猟師は庄屋に頭が上がらず、庄屋は狐に化かされる、という三すくみの関係を、腕を用いた動作で合わせて勝負を決する」

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%90%E6%8B%B3)。虎拳(とらけん)は,

220px-Tora-ken_(虎拳),_Japanese_rock-paper-scissors_variant,_from_the_Kensarae_sumai_zue_(1809).jpg


「襖をしめて、左右の部屋で、虎・女物・鉄砲のいずれかを身につけて待ち、襖を開くと、虎>老婆>鉄砲(和藤内あるいは加藤清正)>虎という三すくみで勝負がつく拳遊び。囃子歌から「とらとら」とも呼ばれる屏風仕立てのフリがつくお座敷遊びとしての拳遊びの中の最大規模のもの」

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%8E%E6%8B%B3)。中国にも,

「明代末期の中国で書かれた『五雜俎』によると、漢代中国には『手勢令』と呼ばれるゲームがあったという。『五雜俎』では『手掌を以て虎膺とし、指節を以て松根とし、大指を以て蹲鸱とする』などの手勢に関する詳しい記載があるが、遊び方に関して『用法知らず』とされ、当時『捉中指』という遊びのルーツではないかと作者が推測している。『全唐詩』の八百七十九巻に『招手令』に『亞其虎膺、曲其松根。以蹲鴟間虎膺之下』、そのルールと思われる記述がある。『蹲鴟を以て虎膺の下とす』から、三すくみ的要素を見て取れる」

とある(仝上)が、内容から見て現在のじゃんけんとは別もののようである。しかし,その由来については,大まかに,二説ある。いずれも中国音で,

説1は,「中国音リャン(両)+ケン(拳)」の変化,両人の拳の意,
説2き,「石+拳」(じゃくけん),

と,中国語が訛ったものである。訓みの出自は中国らしいが,今日の「じゃんけん」のスタイルは,日本式らしい。江戸語大辞典にも,

「じゃんは,石(じゃく)の撥音便とも,中国音両(りゃん)の訛ともいい確かならず」

とある。

大言海は,「じゃんけん」に,

石拳,

と当て,

「薩摩にて,小さき餅幾つかを,二本の串に貫きたるを,ジャンポと云ふ,両棒(リャンボウ)なり」

とある。で,「石拳」の項で,

蟲拳(むしけん)より移る。初に拳として出すによりて,石,紙,鋏の内に,石を主として名とす。ジャンケンと云ふは,石拳(じゃくけん)の音便ならむ(けんつく,つくけん,つんけん。柘榴(じゃくろ),温石(おんじゃく))。ポイと云ふは,ホイと掛声するなり」

とあり,「蟲拳」の項で,

「拳(けん)の形より移る」

とあり,「拳(けん)」の項に,

「拳相撲と云ふが成語なり。此の技,寛永年間,支那人の,長崎に伝へたるものにて,其他伝はりたるは,元禄の頃なるべしと云ふ。(中略)酒宴の席上にて行ふ競技にて,負けたる者に酒を飲まする戯れなり。…二人対坐して,互いに五指を屈伸し,指の数を呼びつつ出し,其雙方の出したる指数を合算し,呼びたる数に中りたるを勝ちとす」

とある。つまり,

蟲拳→石拳→じゃんけん,

という転訛とするのである。「石拳(じゃんけん)」については,

「拳(けん)の一種。石拳(いしけん)ともいい、勝負を決めたり、鬼ごとの鬼決めの方法などにも用いられる。元禄(げんろく)時代(1688~1704)初期に、中国から長崎へ伝えられたものが広まったといわれる。」

ともある(日本大百科全書)。しかし,2人が相対して手や指の屈伸で掛け声をかけながら勝負を争う遊びが古くからあり、虫拳(蛙(かえる)・蛇・蛞蝓(なめくじ))、庄屋拳(しょうやけん)(庄屋・狐(きつね)・猟師)などがあり,石拳=じゃんけん,とは即断しがたい。

両拳説は,

「指二本を出すハサミを中国語でリャン(両)といったのを子交(子音交替)[rz]をとげてジャンになった」

と(日本語の語源)か,

「親指と人指し指で表わす鋏の形が本拳の二(りゃん)と同形であるところから「りゃん拳」の転訛とする」

と(精選版 日本国語大辞典)するので,ここでは,鋏を名づけたことになる。

「昔は『石拳(いしけん)』や『石紙(いしかみ)』とも言われ,九州の『しゃりけん・りゃんけん』,関西の『いんじゃん・じゃいけん』など,現在でも地方によってさまざまな呼称がある」

とある(語源由来辞典)というのだから,石で名づけるか,鋏で名づけるか,地域差があったのかもしれない。

「拳遊びには『本拳』『虫拳』『狐拳』『石拳』など数種類あり,日本では『石拳』が残」

つた(語源由来辞典)というから,やはり,拳遊びの流れを考えると,

石拳→じゃんけん,

と考えるのが順当のようである。日本じゃんけん協会は,

「日本の三すくみ拳の源流であった可能性のある『虫拳』は、中国が唐の時代に伝来した可能性があります。この三すくみブームの頃に『石拳』があり、のちの『じゃんけん』となる」

とし,石拳=ジャンケンとしている。

因みに,

「じゃんけんで使われる『最初はグー』の掛け声は,『8時だヨ!全員集合』の西部劇のコントの中で使われ,全国的に広まった。ドリフの飲み会では支払担当をじゃんけんで決めていたが,皆酔っ払っていてタイミングが合わないため,志村けんが『最初はグーで揃えましょう』と言い出し,番組でも『最初はグー』が取り入れられたそうである。」

という(仝上)。

「近年、アメリカあたりでもこの『じゃんけん』の手軽さが受けているらしく、テレビドラマなどで、刑事が臭くてきつい仕事を押しつけ合うとき、じゃんけんをする姿が見られる」

とある(笑える国語辞典)。

「じゃんけんは20世紀に入ると、日本の海外発展や柔道など日本武道の世界的普及、日本産のサブカルチャー(漫画、アニメ[旧称:ジャパニメーション]、コンピュータゲームなど)の隆盛などに伴って急速に世界中に拡がった」

ものらしいhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%98%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%91%E3%82%93

ところで,

「京都大高等研究院の松沢哲郎特別教授らのグループは,2017年8月10日,チンパンジーは約100日でジャンケンの仕組みを学び、人間で言えば、4歳程度の知能があると考えられるという研究成果を発表」

したとか(仝上)。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 03:39| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする