2019年06月23日


「塩(鹽)」は,

潮,
汐,

とも当てる。「塩(鹽)」(エン)の字は,

「形声。鹽は『鹵(ロ 地上に点々と結晶したアルカリ土)+音符監(カン)』。鹹(カン からい)と同系。また,感(強い刺激を与える)とも縁が近く,もとは強く舌を感じさせる味のこと」

とある(漢字源)。これでは分かりにくい。別に,

「形声文字です(監+鹵)。『しっかり見ひらいた目・人・水の入ったたらいの象形』(人が水の入ったたらいをのぞきこむさまから、『鏡に写して見る』の意味だが、ここでは、『厳』に通じ(『厳』と同じ意味を持つようになって)、『きびしい』の意味)と『袋に包んだ岩塩』の象形(『塩土』の意味)から厳しい刺激を与え、農耕にも適さない、『しお』を意味する『塩』(鹽の略字)という漢字が成り立ちました」

とある(https://okjiten.jp/kanji666.html)。また,

「説文に言うとおり『鹵(ろ)に従ひ(意符)監(かん)の声(音符)』の形声字である。字音は『余廉切』(エン)であり。『監』(かん)がこの音を表わす。この音を表わす意味は、別字で言えば『鹹』(かん)字である。がさらに根本的に言えば『苦』である。『苦』の音から一方は『鹵』(ろ)の声となり、他方は『咸』『監』の声となった。『余廉切』(エン)の音は『監の声』の転じたものにすぎない。字義は『苦い小粒のもの』である、と解説されている(漢字の起源)。

ともある(http://www.music-tel.com/naosuke/nao-h/salt02moji3-3-21.html)。「鹵」の字自体が,

「塩が篭(かご)の中にある形象で、象形字である」

と(仝上)あり,

「点々とアルカリの噴き出たさまを描いたもの」

ともある(漢字源)。

また「潮」(漢音チョウ,呉音ジョウ)の字は,

「会意兼形声。朝は『屮(くさ)の間から日が出るさま+音符舟』の形声文字。潮はもと『草の間から日が出るさま+水』の会意文字であったが,楷書は『水+音符朝』で,あさしおのこと」

「汐」(漢音セキ,呉音ジャク)の字は,

「会意兼形声。夕は,月の形を描いた象形文字で,夜のこと。汐は『水+音符夕(ゆうがた)』」

とある(漢字源)。つまり,「潮」と「汐」は,

「朝のしお」と「夕べのしお」の違い,

ということである。

和語「しお(ほ)」は,

塩,
潮,
汐,

の区別,つまり,

海水,

塩,

の区別をしなかったのではないか。古代の列島住民は,海水から塩をとった。

塩釜,

という名や,

藻鹽草,
塩焼く煙,

という言葉から,推測される。大言海は,「塩」を,

白穂の略かと云ふ,

とし,「潮・汐」を,

うしほの略,朝の上げシホを潮,夕のを汐と云ふ(康熙字典),

とする。日本語源広辞典は,「潮・汐」を,

「シ(及・あとからあとからやってくる)+ホ(目立って表れる)」

で,ウシホ→ウシオ→シオ,と転訛したとする。「塩」は,

「シホ(潮)」

で,

ウシホ→ウシオ→シオ,

と「シオ」が,潮(汐)から塩になったとする。,

「主に海水から作られるため、海水を意味する『潮(しほ・うしほ)』が妥当とされる。 塩が『うしほ』と呼ばれた例もあることから、古くは潮と混同されていた可能性もある。」

とあり(語源由来辞典),「塩」と「潮」の区別なく,「しお」であった。混同していたのではなく,文字をもたない祖先にとって,眼前で話して強いる当人にとって,「塩」か「潮」は区別がついたのである。文脈依存の和語らしいのである。

「シホの語源は白穂がつまってシホとなったという。白穂は『波の花』と同じ意で潮汐から生み出した白い穂と見たのである。ウシホ(潮)のウを略してシホというのだとするのはウとはオ(大)の転訛で,オオシホがオシホ,ウシホとなり,ウが略されてシホとなったとする。この説がよい」

とある(たべもの語源辞典)。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)

ホームページ;
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コトバの辞典;
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スキル事典;
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書評
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posted by Toshi at 03:35| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする