2019年06月28日

雨模様


「雨模様」は,

あめもよう(やう),
あまもよう(やう),

と訓む。

雨の降りそうな空の様子,

の意で,

あまもよい(ひ),

ともいう。「あまもよい(ひ)」は,

雨催ひ,

と当てる(岩波古語辞典)。

空模様,

の意ともある。「空模様」は,

空の様子,

を指すので,雨含みではないが,晴れているなら,

空の具合,

を気に掛けないので,約めれば,

雨模様,

同様,雨を心配している,と言えなくもない。大言海は,

あめもよほ,

と訓み,

雨催,

と当て,

モヨホは,モヨホスの語根,

とし,

雨の降らんとする気配,
雨気,

とする。まさに,

雨気,

である。

雨もよに,

という表現がある。

雨が降る中に,

という意味であるが,

「モヨは,催シのモヨに通じるか。一説にヨは夜とも。歌では『夜に』と『よに(決して・まさか)』をかけて事うことが多い」

とある(岩波古語辞典)。大言海は,

「雨もよよにの約,涎の垂れるをヨヨと云ふ,ヨなりと云ふ。和訓栞に,欄外,アメモヨ『雨のぽたぽた降るを云ふ』(伴信友の説なるべし)。雨の夜,雪の夜と云ふに同じとの説もあれど,日中に云へるあり,汗モヨもあり」

と,「夜」説を否定するが,「もよ」は「催し」である。この「催し」が,

もよおし→もよう(模様),

と転訛したものと見られる。「もよお(ほ)す」は,

もやふ(催合)の他動詞,

で,「もやふ(催合)」は,

もよあふの約と云ふ,

とある。「もやふ(催)」は,

用意する,
準備する,

意で,「雨模様」は,

雨の気配,

の意とみていい。ただ,昨今,

雨が降りそうな様子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43.3%
小雨が降ったりやんだりしている様子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47.5%

と(平成22年度「国語に関する世論調査」),少し意味が雨降りにシフトして意識されているようである。それは,もともとの「催し」ではなく,「模様」の意味,ありまさ,様子の意味に引っ張られているからに思われる。漢字を当てると意味が変わる見本である。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 03:40| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする