2019年10月26日

つづる


「つづる」は、

綴る、

と当てる。「綴」(漢音テイ・テツ、呉音タイ・チ)は、

「会意兼形声。叕(テツ)は、断片をつなぎ合わせるさまを描いた象形文字。綴はそれを音符とし、糸を加えた字で、糸でつづりあわせることを示す」

とある(漢字源)。「つづる」「つなぎあわせる」という意である。別の説明では、

「会意兼形声文字です(糸+叕)。「より糸」の象形(『糸』の意味)と『糸をつなぎあわせた』象形(『つづる』の意味)から糸で『つづる』を意味する『綴』という漢字が成り立ちました」

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji2653.html

和語「つづる」は、

つぎわす、つづけあわす、

という意で、

糸などでつなぎ合わせる。また、破れなどをつぐ、
とか、
紙の束などを糸や紐を通してとじる、

という意味から、それをメタファに、

言葉をつづけて文章や詩歌をつくる、

意となり、

アルファベットなどをつらねて単語を書き表す、

という意へ広げて使われる。日本語には、

スペル、

という意味の、

綴り、

はないので、ポルトガル、スペイン等々の欧米語が入って以降の使い方になる。ただ、

「スペルとは、古英語の『spellian』という単語が語源になっており、これは『話すこと』『会話する事』などを意味する。またこれは、『speak:スピーク:話す』の語源とも繋がりがある。現在の英語単語として『spell』と言った場合は『魔法使いや呪い師の語り』『呪文』『怪しげな決まり文句』『仕事』『文字の綴り』『文字の並び』などを意味する」

とあるhttps://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%ABので、「つづる」と無縁ではなさそうであるが、動詞「spell」は、綴る意だが、名詞「spell」に使うと、

「『綴り』という意味はなくなり、『魔力』(charm)、『魅力』(fascination)、『時間のひと続き』(period of rime)という意味」

になり、英語で「綴り」はspellingという。Spellはあやまりとある(あなたの英語診断辞書)ので、正確には、スペルではないが。

和語「つづる」は、

「つづら(葛)と同根。蔓(繊維)を突き通して物を縫い合わせる意」

とある(岩波古語辞典)が、

「ツヅ(続)+ル」

とする説(日本語源広辞典)や、同趣の、

続(つつ)の活用、

とする説(大言海)もある。しかし、抽象度の高い言葉から始まるとは思えないので、

つづら(葛)、

というのは妥当なのとではないか。「つづら」http://ppnetwork.seesaa.net/article/471056963.html?1571773759で触れたように、つづら折りの「九十九」でもあり、それは、「葛」からきている。「葛」は、

くず、
かずら、
つづら、

と訓ませるが、「くず」は、

「つづら」と訓むと、秋の七草の「くず」であり、「つづら」と訓ませると、

ツヅラフジなどの野生の蔓植物の総称、

だが、

ツヅラフジの別称、

でもある(動植物名よみかた辞典)。「かずら」と訓ませると、

蔓性植物の総称、

とある(仝上)。「つづら」の語源は、

綴葛(つらつら)の約にて、組み綴るより云ふかと云ふ(大言海)、
連続の意のツラツラの略(類聚名物考)、
ツヅクカヅラの略(日本釈名)、
クスカツラの略(和訓栞)、

と、その蔓のつながる形状からきている(日本語源大辞典)。だから、「つづる」も、

ツレツレル(連々)の義(名言通)、
ツツル(継連)の義(言元梯)、

と、連続することを指示しているように見える。いきなり、

続ける意(国語の語根とその分類=大島正健)、

と「続ける」と考えるよりは、その具象形である、

葛、

からと見るのが自然に思える。

アオカヅラ.jpg


参考文献;
松本安広・アイリン『あなたの英語診断辞書』(北星堂書店)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 04:48| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする