2019年10月30日

胡椒


胡椒は、インド南部の海岸地方を原産地とする。

「中国では西方から伝来した香辛料という意味で、胡椒と呼ばれた(胡はソグド人を中心に中国から見て西方・北方の異民族を指す字であり、椒はカホクザンショウを中心にサンショウ属の香辛料を指す字である)。日本には中国を経て伝来しており、そのため日本でもコショウ(胡椒)と呼ばれる」

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6

漢名の「胡椒」をそのまま訓んだものである。

「胡麻・胡瓜・クルミ、そして胡椒と、胡のつく名称があるが、中国では古代から西北方の異民族を胡と呼んだので、この方面から伝来した物には胡の字をつけた」

ともある(たべもの語源辞典)。

「天平勝宝8歳(756)、聖武天皇の77日忌にその遺品が東大寺に献納された。その献納品の目録『東大寺献物帳』の中にコショウが記載されている。当時の日本ではコショウは生薬として用いられていた(江戸時代初期に書かれた『雑兵物語』でも『(戦場で)毎朝胡椒を1粒づつかじれば夏の暑さにも冬の寒さにも当たらない』としており、当時でも薬用の需要があった)

らしい(仝上)。和名抄には、薬名類として、

「胡椒丸、治胸中冷気」

とある(大言海)。

正倉院文書に名が出るので、少なくとも、

「奈良朝初期には渡来していた」

と(たべもの語源辞典)思われるが、日本料理には胡椒はあまり用いられず、山椒の実を、

胡椒、

と呼んだりしていたらしい(仝上)。たとえば、

「胡椒寒汁(こしょうひやしる)という料理は山椒ひや汁のことである」

とある(仝上)

山椒http://ppnetwork.seesaa.net/article/470965185.html?1571428950で触れたが、「山椒」の「椒」(ショウ)の字は、

「会意兼形声。『木+音符叔(小さい実)』で、小粒の実のなる木」

とある(漢字源)。山椒の意味もあるが、「胡椒」の「椒」でもある。

「実が丸く、味が辛い」

からとある(仝上)。ただ「椒」には、

「芳しいの意があり、山の薫り高い実であることから『山椒』の名が付けられたと考えられる」

ともあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6

「椒は、ハジカミである。ひりひりと刺激すること、その結果、感覚がしびれることをハジカムといった。ハジカミというものは、胡椒ばかりでなく、山椒・唐辛子・生姜・ワサビ・芥子などみんなひとまとめにされていた。それで、西国や仙台では胡椒が唐辛子の異名にもなっていた」

とある(たべもの語源辞典)。別に、

「唐辛子が伝来する以前には、山椒と並ぶ香辛料として現在より多くの料理で利用されており、うどんの薬味としても用いられていた。江戸期を通じて唐船は平均して年間5.7トン、オランダ船は1638年の記録では78トンを輸入している。現在でも船場汁、潮汁、沢煮椀などの吸い物類を中心に、薬味としてコショウを用いる日本料理は残存している。(『胡椒茶漬け』という料理があったという記録もある)。唐辛子はその伝来当初、胡椒の亜種として『南蛮胡椒』『高麗胡椒』などと呼ばれていた。このため現在でも九州地方を中心に、唐辛子の事を『胡椒』と呼ぶ地域がある。九州北部にて製造される柚子胡椒や、沖縄のコーレーグス(高麗胡椒)の原料は唐辛子である。胡椒を主に唐辛子の意で用いる地域では、…『洋胡椒』と呼んで区別することもある」

ともあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6が、

「日本人の多くが肉食を避け,あるいは嫌ってきたことは,香辛料の使い方に大きな影響を与えた。たとえば,コショウは奈良時代以来輸入されていたが,室町時代以後うどんの薬味とされたくらいで,いっこうに用途がひろがらず,トウガラシが伝来するとまもなくその薬味の座をあけ渡してしまった」

ようである(世界大百科事典)。

Piper_nigrum_Dried_fruits_with_and_without_pericarp_-_Penja_Cameroun.jpg



さて、「胡椒」は、

「つる性の木の実で、形は丸く、青桐の実より小さく、蒸すと色黒くしわを帯びる。皮の中に固い核があって、内に辛く香気ある白い仁をもち、この仁を粒のまま用いるのを粒胡椒といい、粉末にしたのを粉胡椒という。黒胡椒というのは、まだ熟しきらない実をとって乾かして、外皮の黒いのをつけたまま粉末にしたもので、白胡椒は熟した実の外皮を取り去って内皮を種と一緒に砕いたものである」

とある(たべもの語源辞典)。その他、青胡椒は、

「完全に熟す前の実で収穫するが、ブラックペッパーと異なり塩漬けまたはフリーズドライ加工したもの。青胡椒と呼ばれるが、実の色は緑である」

赤胡椒は、

「赤色に完熟してから収穫するが、ホワイトペッパーと異なり外皮をはがさずにそのまま使用する。黒コショウと同じく外皮が皴になるのが特徴。色はくすんだ赤色」

等々もある(仝上)。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:胡椒
posted by Toshi at 04:42| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする