2019年11月14日

しぎやき


「しぎやき」は、

鴫焼、

と当てる。

「ナス(茄子)の皮をむいて約一センチくらいの厚さに輪切りにし、胡麻油で揚げて串にさして焼き、山椒味噌を塗ったもの。また醤油付焼にしても良い。油で揚げないで、油を塗って焼いても良い。切り方も、ナスを縦に二つ割にする法がある。形がこのほうがよいという人もある。若くて柔らかなナスなら皮つきのまま金串にさして切り口にさっと胡麻油を塗って炭火でこがさないように両面から焼いて、練味噌を切り口に塗り、ちょっとあぶる程度にして串を抜いて、器に盛って粉山椒をふりかけて熱いうちに供する」

とある(たべもの語源辞典)。『日本料理法大全』には、

「ナスを輪切りにして、油でさっと揚げ、串にさして焼いてかわかし、山椒味噌をつけるか、醤油付焼にする油で揚げずに油を塗って、生から焼いてもよい」

とある(仝上)。『日本料理法大成』では、

「ナスを茹でて適当に切って、串にさし、山椒味噌をつけて焼く」

とある(仝上)。これは、寛永の頃の作り方らしく、『料理物語』(寛永)に、

「鴫やき、茄子を煠(ゆ)で、よき比に切り、串にさし、山椒味噌を付けて、焼くなり」

とある、とか(大言海)。別に、

茄子田楽、
炙田楽、

ともいい(大言海)、

ナスのみそ田楽の別称、

ともある(世界大百科事典)。「しぎやき」は、

「江戸での呼称であったことが《料理網目調味抄》(1730)などに見える。もともとはシギそのものを焼いた料理であったが,きじ焼がキジの焼物から豆腐,さらには魚の切身の焼物へと変化したのと同様,ナスの料理へと変わったものである。室町後期の《武家調味故実》に〈しぎつぼ〉という料理があるが,これは塩漬にしたナスの内部をくりぬいて壺状にし,そこへシギの肉を切って詰め,カキの葉で蓋(ふた)をして,酒で煎(い)るというもので,シギのくちばしを蓋にさして供した」

とある(仝上)。大言海にも、

「元は、鴫の肉なりしなるべし、狸汁の、蒟蒻となりしがごとし」

とある。

「しぎやき」という料理は古くからあり、それ以前の作り方がいろいろあった。

「今の茄子の鴫やきといふものは、鴫壺焼といふことより転(うつ)れるなるべし。包丁聞書に鴫壺焼と云は生茄子(なす)のうへに、枝にて鴫の頭(かし)の形をつくりて置也。柚味噌(ゆみそ)にも用とあり」

とする(喜多村信節『瓦礫雑考』)、とか(たべもの語源辞典)。『武家調味故実』(天文四年(1535))には、

「鴫壺(しぎつぼ)の事、漬けなすびの中をくり抜き鴫の身を作りて入るべし、柿(かき)の葉を蓋(ふた)にしてかいぐることあり、藁(わら)のすべにてかいぐるなり、石鍋(いしなべ)に酒を入れて煮るべし。折びつに耳かわらけにいためた鹽を置いて供す」

とあり(仝上、日本大百科全書)、「しぎやき」の起源は、

茄子をくりぬいて壺をつくって、鴫の身をいれ、冬には柚子を使って壺にした、

のが原型、その後、「しぎやき」は、鴫を食べた名残りか、

生茄子の上に板で鴨の頭の形を作って置いた、

が、慶長(1596~1615)頃から、現在の形になった(仝上)。『寛永発句帳』には、

鴫やきやなすびなれどもとり肴、

という句があり、いまの形になっている。なお、茄子の代わりに、柚子を壺にしてつぼ焼きにしたものは、

柚壺、

という料理となった、とある(たべもの語源辞典)。現在の肉抜きになった経緯には、

「獣肉を食べられなかったお坊さんが鴫を焼いたものに似せて、味噌で味つけした」

という説もあるhttps://www.yuraimemo.com/1258/らしい。精進料理の感じではある。

鴫焼.jpg



「しぎやき」の語源には、

「しぎ」というのは、調理されたなすの形が鴫に似ていることから、
切り取った茄子のヘタが鴫の頭部に似ていたから、

という説もあるが、「鴫壷焼」という鴫肉と茄子を用いる料理があったのだから、

鴫壷焼→鴫焼→茄子田楽、

と、鴫の肉の入れ物から、茄子が主役になった、という転化でいいのではあるまいか。なお、

「ナス」http://ppnetwork.seesaa.net/article/459202304.html

については既に触れた。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:鴫焼 しぎやき
posted by Toshi at 04:55| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする