2019年12月13日


「蓮」(はす)の地下茎は、

蓮根(れんこん)、

という。ハスの花と睡蓮を指して、

蓮華(れんげ)、

といい、仏教とともに伝来し古くから使われた。「蓮」は、

芙蓉(ふよう)、
水華(すいか)、
渓客(けいきゃく)、
君子花(くんしか)、
水宮仙子(かいきゅうせんし)、
不語仙(ふごせん)、

といった中国名があるが、

草芙蓉(くさふよう)、
露堪草(つゆたえぐさ)、
ツマナシキグサ、
ツレナシグサ、
水堪草(ミズタエグサ)、

等々の名もあり、古名には、

水の花、
池見草(いけみぐさ)、
水芙蓉(すいふよう、みずふよう)、

等々の異称をもつ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%B9、たべもの語源辞典)。日本での古名は、

はちす、

で、花托の形状を蜂の巣に見立てた、

蜂巣、

の意である(岩波古語辞典)。「はす(蓮)」は、

ハチスの転訛、

とされる(仝上)。

「ハスの実の入っている花托には孔がたくさんあって、そこに実が収まっているのだが、その形がハチの巣によく似ている」(たべもの語源辞典)

ハスの花托。蜂の巣状に見える.jpg

(ハスの花托。蜂の巣状に見える https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%B9より)


ためである。ただ、

「『色葉字類抄』の『荷 ハチス 俗ハス』の記述から、平安後期にはハチスが正しく、ハスは俗語意識されていたことがわかる」

とあり(日本語源大辞典)、「ハチス」が正式な名であった。

和名抄には、

蓮子、波知須乃美、

本草和名には、

藕實、波知須乃美、

とある(大言海)。

「蓮」(レン)の字は、

「会意兼形声。『艸+音符連(レン 連なる)』。株がつらなって生えているからいう」

とある(漢字源)。漢字では「蓮」の他に、

荷、
藕、

とも当てる。「荷」(漢音カ、呉音ガ)は、

「会意兼形声。『艸+音符何(人が直角に、荷物をのせたさま)』で、茎の先端に直角に乗ったような形をしているハスの葉のこと。になうの意は、もと何と書かれたが、何が疑問詞に使われたため、荷がになう意に用いられるようになった」

とあり、「荷」が「ハス」の総称。「藕」(グウ、漢音ゴウ、呉音グ)は、

「会意兼形声。『艸+耒+音符禺(グ ならぶ、似た物)』。同じ形をした根茎が次々と並ぶ植物」

とあり、はすの根の意である。

水面に繁殖するハス.jpg


「茎の上にT型に乗った形で花や葉がつく。実を蓮(レン)といい、根を藕(グウ)といい、ともに食用にする」

とある(漢字源)。で、

蓮根、

という言葉は、和製語である。

レンコン.jpg



日本国内においては、考古学資料として大賀ハスの例があり、2,000年以上前の縄文時代に既にあった、

とする説もあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%B3。万葉時代、

はちす葉はかくこそ有るもの意吉麻呂(おきまろ)が家なるものは芋(うら)のはにあらし、

という歌があり、わが家の蓮は芋の葉のようだと謙遜し、主人のものをほめているhttp://www.pref.nara.jp/45517.htm。『常陸国風土記』(718年)には、

「神世に天より流れ来し水沼なり、生ふる所の蓮根、味いとことにして、甘美きこと、他所に絶れたり、病有る者、この蓮を食へば早く差えて験あり」

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%B3。『延喜式』(927年)には、蓮の根がでてくる、らしい(たべもの語源辞典)。

「ハスの花は紅と白がある。紅花の蓮根は俗に『みはす』といい、大きいが粘りが少ない。白花の蓮根は通常『もちはす』と称して、小さいが粘りが多くおいしい。関東地方のハスは品質が優れている。九州地方は大きいものを産するが、味はやや劣る。そこでその大きな穴に芥子を詰めた『芥子蓮根』などが創作された」

とある(たべもの語源辞典)。

ハスには薬効がある。

「切ったハスが空気に触れて黒くなるのは、鉄分とタンニンによるのだが、このタンニンが止血作用を持っている。このしぼり汁には咳止めの効果もある。鉄分は貧血の人に良く、しぼり汁はカリウムが多いから血圧の上昇を予防する。食塩などのナトリウムの多い物をとったとき、カリウムがその排泄を促すことになる。ビタミンCが多いことも高血圧の予防になる」

と(仝上)。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:はちす 蓮華 蓮根
posted by Toshi at 05:33| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする