2020年03月09日

ワサビ


「ワサビ」は、

山葵、

と当てるが、古くは、

山薑、

とも当てた(「薑」は、しょうが、はじかみ)、

アブラナ科ワサビ属の多年草、

で、

日本原産の隠花植物、

である(たべもの語源辞典)。山間の渓流に自生するものを、

沢山葵、
水山葵、

と呼び、栽培するものを、

畑山葵、
陸(おか)山葵、

漢名を、

沙羅菔、

等々という、とある(仝上)。異名は、

カラキネ、
アルクサ、
ヤマアオイ、

である(仝上)。

ワサビ.jpg



「ワサビ」は、

飛鳥時代の遺跡である飛鳥京跡苑池遺構(現・奈良県明日香村)から出土した木簡に「委佐俾三升(わさびさんしょう)」と書かれていた、

とあり(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%B5%E3%83%93、等々)、最古の資料となるが、庭園で野菜や薬草が栽培されていた可能性を示す発見で、単なる遊覧の場でなく、薬草園の性格を持っていた可能性が高いhttps://www.kinjirushi.co.jp/wasabi/history/、ともある。さらに、奈良時代の地誌『播磨風土記』では、

山薑、

と書いて「わさび」と読ませており(語源由来辞典)、また、日本最古の律令集の『延喜式』の中にも、「ワサビ」が、

「山薑」と記載され、京の都近くの若狭、越前、丹後、但馬、因幡の国々から、税として収められていたことがわかっています、

とあるhttps://www.kinjirushi.co.jp/wasabi/history/。平安時代の『本草和名』は、

和佐比、

と記し、同じく平安時代の『和名類聚抄』も和佐比と記し、

山葵、

の漢字を当てた。「和佐比」に、

山葵、

の字を当てたのは、『本草和名』からのようである。

フタバアオイ.jpg

(フタバアオイ(別名 カモアオイ(賀茂葵) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%90%E3%82%A2%E3%82%AA%E3%82%A4より)


「フタバアオイは一株にかならず二葉が出るので名づけた。カモアオイは京都加茂神社の祭礼にこのアオイを用いるからついた名で、徳川家の紋章はこれに基づいたものである。ワサビは、加茂葵に葉が似てその根の形と味が生姜に似ているので山葵・山姜(イヌハジカミ)とも称した。葵をワサビとするのは当て字である」

とある(たべもの語源辞典)。

さて、古く、「山薑」と書いて「わさび」と読ませており、「葵」を語源とする説は、

ワサアフヒ(早葵)の義(和句解・日本語源広辞典)、

等々も含めあり得ないとすると、「ワサビ」の語源であるが、大言海の、

悪障疼(わるさはひびく)の略、辛き意、

がある。似たものに、

ワサはワシル(走)でツンと辛さが鼻に走ることから。ビはミ(実)の転(ミからビ=前川文夫)、
ハナセメ(鼻迫)の約轉(言元梯)、

等々あり、たべもの語源辞典も、

ワサビのワサは早いことで、ビはひびくことである。辛さが早くひびくこと、

としているし、それに似たものに、

ワサヒビナがつまってワサビナになり、さらに略されたもの、ワサは早生、ヒビナはひりひりと辛い葉の意(植物和名の語源=深津正)、

がある。どれとも判別はつかないが、いずれも、辛さには堪えた様である。

ワサビの花.jpg

(ワサビの花 https://www.atpress.ne.jp/news/195666より)

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:46| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする