2020年03月31日

水菓子


「水菓子」は、

果物、

の意である。「果」(カ)は、「菓」と同義、

象形。木の上に丸い実がなったさまを描いたもので、丸い木の実、

とある(漢字源)。果物、木の実の意である。名義抄は、

果、コノミ・クダモノ、

としている(岩波古語辞典)。

水分の多い菓子という意で、果物を食用にするときのみずもの・果実・こだね・このみなどが同じ意味に用いられる、

とあり(たべもの語源辞典)、

乾(ヒ)菓子、餅菓子に対す、

とあり(大言海)、

蒸菓子・干菓子などの人造菓子に対する、

とある(たべもの語源辞典)。果物を茶うけとして用いる場合に、

水菓子、

といった(仝上)。このことは、「菓子」http://ppnetwork.seesaa.net/article/474306504.html?1585509663で触れたように、室町以降のことで、

蜜柑、
林檎、
枇杷、
石榴、
桃、
杏子(あんず)、
柿、
桃、

等々が用いられた。果実は、

菓実、

とも当て、京阪では、これを、

くだもの、

と訓ませ、江戸では、

水がし、

といった(たべもの語源辞典)、とある。

果物.jpg



菓子http://ppnetwork.seesaa.net/article/474306504.html?1585509663で触れたように、「菓子」とは果物のことを言ったが、和名類聚鈔に、承平(931~38)年間の菓物(くだもの)類を、

石榴、
梨子、
檎子(ヤマナシ)、
柑子(カムシ)、
木蓮(イタヒ)、
獮猴桃(シラクチ)、
榛子(ハシバミ)、
栗子、
杭子(ササクリ)、
椎子(シヒ)、
櫟子(イチヒ)、
榧子(カベ)、
松子(マツノミ)、
胡頽子(グミ)、
鸚実(ウクヒスノキノミ)、
杏子(カラモモ)、
㮈子(カラナシ)、
林檎(リウコウ)、
湯梅(ヤマモモ)、
桃子、
冬桃(俗に霜桃)、
李子(スモモ)、
麦李(サモモ)、
李桃(ツバキモモ)、
棗、
橘、
橙(アヘタチバナ)、
柚(ユ)、
梅、
柿、
鹿心柿(ヤマガキ)、
杼(トチ)、
枇杷、
椋子(ムク)、

等々。他に、苽類(くさくだもの)を、

瓜、
瓣(ウリノサネ)、
青瓜(アヲウリ)、
斑瓜(マダラウリ)、
白瓜、
黄瓜(キウリ)、
熟瓜(ホゾチ)、
寒瓜、
冬瓜(カモウリ)、
胡瓜(ソバウリ、キウリ)、
茄子、
郁子(ムベ)、
蔔子(アケビ)、
蓮子(ハチスノミ)
覆盆子(イチゴ)、

等々挙げる。では、

果物、

と当てた和語「くだもの」は何から来たのか。岩波古語辞典は、

木(ク)の物の意。ダは連体助詞ナの転。ケダモノ(毛だ物・獣)の類、

とし、日本語源広辞典も、似ていて、

ク(木)+ダ(の)+もの、

とする。

大言海は、

木種物(こだねもの)の略轉と云ふ(かたねなし、結政(カタナシ)。金兄(かねのえ)、庚(かのえ))、或は、木之物の轉(黄金(こがね)、くがね。熱海(あつみ)、アタミ。礫(たぶて)、つぶて)。之(つ)を濁るは、己之自(おのづから))。獣(けだもの)も、毛之物なり。ナリクダモノと云ふは、唐菓子(からくだもの 菓子)を単にクダモノとも云へば、それに別ちて、木に成るクダモノと云ふなり(成山椒(なるはじかみ)、成瓢(なりひさご))、乾菓子に対して水菓子と云ふ、同じ、

と回りくどいが、

木之物、

を採る。「菓子」http://ppnetwork.seesaa.net/article/474306504.html?1585509663で触れたように、平安期、

菓子は果実の意であり、これを「木菓子」といったが、この時代になると、間食の品をクダモノとによんだ、

のであり(日本食生活史)、だから、

木之物、

が妥当かもしれない。それは、

平安期には木の実に限らず、草の実や芋、蓮根などもさし、更に植物性の食品に限定されず酒肴など副産物や間食まで意味した。これは「木だ物」という語原意識が希薄になっていたこと、現実に酒肴や間食に用いるのが植物性のものである場合が多かったことなどが原因と考えられる、

とある(日本語源大辞典)。もっぱら果実の意で「くだもの」を用いるのは、江戸中期頃のようである(仝上)。

参考文献
渡辺実『日本食生活史』(吉川弘文館)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
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書評;
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posted by Toshi at 04:10| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする