2020年05月07日

面妖


「面妖」は、

不思議なこと、
奇妙なこと、

という意である(広辞苑)。

「めいよう(名誉)」の転。「面妖」は当て字、

とどの辞書にも載る。で、「めいよう(名誉)」を見ると、

メイヨの転、

とあり、

ほまれ、
奇妙、不思議、

の意が載る(広辞苑)。で、「めいよ(名誉)」を見ると、

ほまれ、
名高いこと、
すぐれていると認められて得た尊厳、体面、面目、
功績をたたえて与えられる称号、身分などを表す名詞に付けて用いる、
有名であること、名高いこと(善悪ともにいう)、
すぐれていること、上手なこと、
不思議であること(さま)、奇妙、

と載る(大辞林)。つまり、「めいよ(名誉)」に、

めんよう、

の意が既にあるのである。「名誉」は、漢語である。

名聲、
名聞、

とほぼ同義、

ほまれ、

の意である。「列子」天瑞に、

矜功能、修名誉、

とある。

大言海には、「めいよ(名誉)」とは別に、

めんよ(名誉)、
めんよう(名誉)、
めんよう(面妖)、

がそれぞれ別に項を立てている。

めいよ(名誉)→めんよ(名誉)→めんよう(名誉)→めんよう(面妖)、

と転訛していったとみられる。片言(慶安)に、

名誉、メイシャウ、メンヨ、

とある。「名誉」を、

メイシャウ、

とも訓んだらしい。すでに江戸初期には、

メンヨ、

と訛っていたことがわかる。式亭三馬の「浮世床」(文化)には、

名誉男と云ふものは、新しい着物が出来ると、古いのには目もかけねえよ、

とあり、「名誉男」の「名誉」に、

メンヨウ、

と訓ませている。更に、同時期の式亭三馬の「浮世風呂」(文化)には、

たった今汲んできたが、はてめんようナ、

と、「面妖」の意でも使っている。

ほまれ、

の意が、

体面、面目、

称号、

の意を含み、

すぐれていること、上手なこと、

の意から、善悪両用に、

名高いこと、

になったあたりから、

奇妙さ、
不思議感、

の含意が生じたものだろうか。

名誉、

では言い尽くせず、

面妖、

と字を当てたことで、

名誉、

の意味の紐が切れた。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:面妖
posted by Toshi at 03:36| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする