2020年05月18日

くちはばったい


「くちはばったい」は、

口幅ったい、

と当てる。

身の程も考えないで大きなことや生意気なことを言う態度、

の意(広辞苑)で、

偉そうな口のききよう、
身分不相応でなまいきな口のきき方、

といった意(大辞林)である。

口幅ひろし、

という言い方もする。「はばったい」は、

幅が広い、
はだかっている、
張る感じである、

という意(広辞苑)になるが、「はだかる」とは、

開かる、

と当て、

広がり開く、
手足などを広げて立つ、前をふさぐように立つ、

という意になり、「はばったい」自体に、

幅いっぱいに広がっている感じである、
偉そうにしている、

という意があり、

両手を広げて立ち開かるような口のきき方、

という含意となる。

口幅ったいとは、偉そうな口の利き方である様子。「幅ったい」は、幅いっぱいに広がっている様子を言う。狭い道を幅いっぱいに広がってやってくるヤツの態度を見ればわかるように、「偉そうにしている」ということである、

という意味合いになる(笑える国語辞典)。

同義の、

差し出口、
差し出口をきく、

の、

分を超えて口出しする、

というよりは、

僭越、

という、

身分・地位を超えて出過ぎる、
でしゃばる、

に近い含意に思える。大言海は、

口幅甚(いた)しの轉、

とし、「はばったし」も、

幅甚(いた)しの轉、

とする。

ひどく張った感じ、

である。その是非を云々できないが、

憚(はば)し、

という言葉がある。

はばかられる、

という意である。憶説ながら、

口はばし→口はばったし、

の転訛はないのだろうか。「はばかる」は、

阻むの自動か(大言海)、
ハバメ(阻)と同根。相手の力や大きさに直面して、それを恐れ、あるいはそれを障害として意識して、相手との間に距離を置くのが原義(岩波古語辞典)、

とある。もし、

口憚る、

なら、

差し出がましいですが、
僭越ながら、

と前置きするのと同じように、

口憚られますが、

という使い方になる。「口幅ったい」だと、

口幅ったいようですが、

という言い方で、

お言葉を返すようですが、

といった含意になる。

差し出がましいですが、
僭越ながら、
口憚られますが、

は、その差し出た振舞い自体をあらかじめ断っている感じだとすると、

口幅ったい、

は、内容について、反論する、という含意なのかもしれない。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 03:49| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする