2020年05月21日

最中


「最中(もなか)」は、

眞中と通ず、

とある(大言海)。

物事の真ん中、中央、

の意である。

モはマ(眞)の母音交替形、

である(岩波古語辞典)。源順(みなもとのしたごう)の歌に、

池の面に照る月なみを数ふれば今宵ぞ秋のもなかなりける(拾遺和歌集)、

とある「最中」とは、

最中の月、

の意で、

陰暦十五夜の月(中秋の名月)、

を指す。

満月.jpg


「最中」は、

中心、

の意から、

最中の月、

の意にも使われ、さらに、意を転じて、

まっさかり、
最中(最中)、

の意となる。室町末期の日葡辞書には、

タタカヒノモナカ、

と載る。「最中」を、

サイチュウ、

と訓むのは、「最中(モナカ)」の字の音読である。おそらく、「最中(もなか)」が、

まっさかり、

の意に転じて以降のことと思われる。これが、和菓子の、

最中(もなか)、

に転じたのは、きっかけは、上記の、

源順の歌を知っていた公家たちが、宮中で行われた月見の宴において白くて丸い餅菓子が出されたのを見て、会話の中で「もなかの月」という言葉が出たことから、そのまま菓子の名前として定着したという由来がある、

とされるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E4%B8%AD

中秋の名月を象徴する丸い菓子なら何でもよい、

ということになる(たべもの語源辞典)。

江戸時代に考案された最中の原型も、この話に基づいて生み出したといわれ、菓子の名前も話そのままに「最中の月」と命名された(仝上)らしく、

紅屋 巻せんべい.jpg

(巻きせんべい https://www.f-kankou.jp/makisenbei/より)

万治・寛文(1658~73)にころから竹村鷺庵のつくった茶の湯の口取菓子に「最中の月」があった、

が(たべもの語源辞典)、これは、

巻煎餅、

らしい。

最中の原型は、もち米の粉に水を入れてこねたものを蒸し、薄く延ばして円形に切りそろえたものを焼き仕上げに砂糖(当時は水飴や糖蜜)をかけた、半生菓子のうすやき(クレープ状の物)が時代を経て次第に現代でいう小型のソースせんべいに似た干菓子に変遷したものである、

といわれているhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E4%B8%AD

天明七年(1787)版『七十五日』に「巻せんべい 最中の月 新よし原 竹むら伊勢」とあるから、鷺庵の子孫が、巻煎餅を最中の月と称して売っていたことがわかる、

とある(仝上)。また、式亭三馬の『浮世床』(文化八年(1811))に、

振売りの菓子屋が唄う口上に「最中まんぢう」とある。まん中に餡の入った丸い饅頭、

とみられる(仝上)。その後、

最中月、

という名で、餡入り菓子がつくられるが、

現在の最中の皮、

がつくられるのは、明治になってからである(仝上)、とある。「最中」の皮は、

焦種(こがしだね)、

である(仝上)。

皮の部分は、元が菓子だったことから特別に「皮種」と称されている、

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E4%B8%AD

喜最中(横浜市 喜月堂).jpg

(喜最中(横浜市 喜月堂) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E4%B8%ADより)

皮種で餡を挟んだ最中が、やがて全国的に広められていき、現在では各地で色々な種類の最中が銘菓として売り出されている(仝上)が、東京で最中の老舗は、

空也もなか、

で、上野山下に創業したのが、明治一七年(1884)とある(仝上)。和菓子「最中」の名は、

巻煎餅→丸い餡入り饅頭、

を経て、今日の「最中」に落ち着いたことになる。

なお「煎餅」http://ppnetwork.seesaa.net/article/468559673.htmlについては、触れた。

参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:最中
posted by Toshi at 03:43| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする