2020年05月23日

冷汗三斗


「冷汗三斗」は、

れいかんさんと、

と訓ませる。

冷や汗がたくさんでること、非常に恥ずかしいこと、また、あとで振り返って非常におそろしくなること、

の意である(広辞苑)。「三斗」は、

量の多いことを誇張していったもの、

である。「三斗」は、容量を表す。「一斗」は約18リットルです。つまり、「三斗」は約54リットルになる。

「冷汗」は、

ひやあせ、

とも訓む。

甚だ恥じ、恐れ、または気を使うときや緊張した時に出る冷たい汗、

である(仝上)。同義で、

冷水三斗(れいすいさんと)、

と言うのはこのためである。。「怖かった」ときに出るのは、こちらの方かもしれない。

汗マーク.png


汗は、皮膚にある汗腺という器官から出てくるが、汗腺には、

「エクリン腺」と「アポクリン腺」の二種類があり、それぞれに汗の性質や汗を出す仕組みが異なります。
エクリン腺は全身のほとんどに分布しています。主に体温調節のために汗を出す汗腺で、分泌される汗は無味無臭です。
一方、アポクリン腺はカラダの限られた部分にあり、特にワキの下に多く分布。独立して皮膚に開口しているエクリン腺と異なり、毛根に開口部があります。
アポクリン腺から出る汗は白く濁っていて、脂質やタンパク質などニオイのもととなる成分を多く含んでいます。もともとはフェロモンの役割をはたしていたともいわれています、

とありhttps://www.kao.co.jp/8x4/lab/article02/

物理的な熱による温熱性発汗と、感情的なストレスによる精神性発汗である。概して、感情による発汗は手の平、足の裏、腋、および場合により額に限られるが、物理的な熱による発汗は全身に起きる、

のとあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%97が、より詳しく、汗をかく3つの要因には、

温熱性、
精神性、
味覚性、

がありhttps://www.kao.co.jp/8x4/lab/article02/、温熱性発汗は、

暑いときや運動をしたときに体温調節のためにかく汗。暑い時に激しい運動を行うと、1時間に2リットルほどの汗をかく。汗をかく部位:手のひら、足の裏を除く全身、汗腺の種類:エクリン腺、

精神性発汗は、

ストレスや緊張など精神的な刺激によりかく汗。人前に出て緊張したとき、驚いたときに出る汗で、「手に汗をかく」「冷や汗をかく」等々。といった言葉に関係するもの。汗をかく部位:ワキ、手のひら、足の裏など局所的、汗腺の種類:エクリン腺、アポクリン腺、

味覚性発汗は、

辛いものやすっぱいものを食べたときにかく汗。汗をかく部位:特に額や鼻など、汗腺の種類:エクリン腺、

とある(以上、https://www.kao.co.jp/8x4/lab/article02/による)。

それにしても、「冷汗三斗」で量の多いことを表す、「三」は、なかなか面白い言葉である。

「三日」http://ppnetwork.seesaa.net/article/472144857.htmlで触れたように、漢字「三」(サン)は、

「指事。三本の横線で三を示す。また、参加の参と通じていて、いくつもまじること。また杉(サン)・衫(サン)などの音符彡(サン)の原形で、いくつも並んで紋様を成すの意味を含む」

とある(漢字源)。ちなみに、

「日本では、奈良時代にはサムと音訳し、三位(サンミ)・三線(サムセン)といった。三郎(サブロウ)のサブはその転音である」

とか(仝上)。

「三」には、「みっつ」という意味と「三番目」という意味の他に、

三三五五、

というように、

いくども、
たびたび、
再三

の意味があるが、

三易、
三戒、
三行、
三諫、
三鑑、
三儀、
三光、
三思、

等々三でまとめる言葉は無数にある(字源)。「三」で、すべてを言いつくしているという含意なのかもしれない。

「易の基本観念は陰陽の二爻であり(爻とは効(なら)い交わるの意。天地の現象に効って互いに交わり、また他に変ずるの意)、これを重ねること三にして、乾、兌、離、震、巽、坎、艮、坤の八卦を成す。」

とあり(易経)、卦は爻と呼ばれる記号を三つ組み合わせた三爻によりできる。たとえば、

「乾坤をもって父母とし、…一陽二陰の卦を男子、一陰二陽の卦を女子」

とする。八卦は、

「三爻を以って成るのは、陰陽の変によって天地人三才の道を包尽せんとす易の根本思想にのっとり、三才の道ここに備わらざるなきをしめしている」

とある(仝上)。「三」という数値は、ただ「三つ」ではなく、その意味で天地人の「すべて」をも含意している。「三斗」をその含意で見ると、「斗」という量も無限大に膨らむ気がするのは、ぼくだけであろうか。

ちなみに、「冷汗三斗」の類義語には、

汗顔無地(かんがんむち) その場から逃げ出したいほどに恥ずかしいこと、
顔厚忸怩(がんこうじくじ) 恥ずかしいと深く感じること、
冷水三斗(れいすいさんと)、

があり、対義語には、

厚顔無恥 厚かましく、恥知らずなようす、
無恥厚顔 「厚顔無恥」と同義、
寡廉鮮恥(かれんせんち) 心が清らかでなく恥知らずなこと、

があるhttps://gimon-sukkiri.jp/reikansanto/、とか。

参考文献;
高田真治・後藤基巳訳『易経』(岩波文庫)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:冷汗三斗
posted by Toshi at 03:35| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする