2020年06月25日


梅雨、

とあてる「つゆ」http://ppnetwork.seesaa.net/article/458783261.htmlは触れたことがあるが、ここでは、

露、

と当てる「つゆ」である。「露」は、

空気中の水蒸気が地物の表面に凝結してできる水滴。風のほとんどない晴れた夜,地物の表面温度が放射冷却で降下したとき発生する、

が(ブリタニカ国際大百科事典)、植物の葉や建物の外壁などで水滴となったもの。物に露が着くことを、

結露(けつろ)、

というhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%B2

葉の上の露.jpg

(葉の上の露 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%B2より)

「露」(漢音ロ、呉音ル、慣用ロウ)は、

形声。「雨+音符路」で、透明の意を含む。転じて、透明に空けて見えること、

とあり(漢字源)、「はかないもの」や「うるおいや恩恵」に喩えるし、露天のように、「さらす」意や、露見、暴露のように、「あらわれる」意でも使う。

和語「つゆ」も、「露」をメタファに、

涙、

わずかなこと、

はかないこと、

の意で使う。そのため、

つゆまどろまず、

というように、副詞で使う「つゆ」は、

ほんのわずか、

の意から、下に否定を伴って、

少しも、

の意で使うが、そこには、「はかない」「わずか」という「露」をメタファとしたことばの翳がある。

「つゆ」は、

液、
津、

と当てる、

汁、

の意の「つゆ」がある(大言海)。江戸語大辞典には、「つゆ」に、

(遊里語)祝儀、

の意で使い、

金銀曰花、又曰露、

とあるように(享保十五年・史林残花)、「花」ともいい、また、

すまし汁、

の意で載るのも、「汁」の意であるが、「つゆ」には、

水気、
湿り、

の意があり(大言海)、「露」とあてる「つゆ」の意と同じに意味を持つ。そのため、大言海は、「つゆ(露)」の語源を、

(シル、水気の意と)同じきか、或は云ふ、粒斎(つぶゆ)の意にて、圓くして浄きを云ふと、

とする。似た説に、

ツ(統)+ユ(斎・清浄なもの)、

として、清らかな水の玉の意、とするものもある(日本語源広辞典)。しかし、

斎、

と当てる「ゆ」は、

ユユシ(斎・忌)と同根。接触・立ち入りが社会的に禁止される意、

とあり(岩波古語辞典)、

イミ(忌)の約、

ともあるように(大言海)、

斎笹、
斎屋、

等々と、

名詞・動詞の上に冠せられて熟語とする、

ともある(仝上)。「つゆ」とは使い方も、意味の上からも、異和感がある。しかし、

ツイエル意(和句解・和語私臆鈔)、
ツユ(津弥)の義(言元梯)、

という他の説は、しっくりこない。ただ、

ツは丸い意、ユはただよわしの意(槙のいた屋)、

が少し気になる。

「ツ」は、「ツブ」の「ツ」と考えると、「独楽」http://ppnetwork.seesaa.net/article/474857902.htmlで触れた「ツブ」は、「かたつむり」http://ppnetwork.seesaa.net/article/460441943.htmlで触れたように、

粒・丸、

と当て、

「つぶし(腿)・ツブリ・ツブラ(円)・ツブサニと同根」

とあり、「ツブリ(頭)」は、

「ツブ(粒)と同根」

とある。「ツビ」(粒)ともいい、「つぶ(螺)」は、

ツビ、

とも言い、「つぶら」http://ppnetwork.seesaa.net/article/464485052.htmlで触れたように、「つぶら」の「ツブ」は、

粒、

と関わり、「ツブ」は、

ツブラ(円)、

と関わる。「粒」は、「ツビ」(粒)ともいい、

円いもの、

と重なり、「粒」「丸」「円」「螺」は、ほぼ同じと見なしたらしいのである。それなら、

ツブ→ツユ、

もありなのではないか、という気がしてならない。もちろん憶説だが。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:
posted by Toshi at 03:38| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする