2020年08月03日

板焼


「板焼」とは、

カモ・鶏などの無肉を薄く切り、味醂・醤油などに漬け、杉板にのせて焼いた料理、

とあり(広辞苑)、

片木(へぎ)焼、

とも言う。

杉板焼き、

とも言う(精選版日本国語大辞典)、とある。杉板焼の名称は、江戸時代に多く用いられた(たべもの語源辞典)らしい。

これに用いる板は杉板に限定され、古くは、

へぎ焼き、

の名のほうが多く用いられた、とある(日本大百科全書)。ただ、杉板が片木(へぎ)のとき、

片木(へぎ)焼、
折(へぎ)焼、

という、ともある(たべもの語源辞典)。

鳥肉などを味醂醤油・煮だしなどでつくった汁につけてから板の上にのせて焼くのでこの名がある、

とあり(仝上)、

杉板の上にのせ、炭火の上に移し、加熱して焼く。木板は熱の不良導体であるため、熱の伝導が弱く、ふんわりとした落ち着いた味になるのが特色で、材料はあまり強い熱源を必要としないものが向く、

とある(日本大百科全書)。

板は杉板を使うので、

杉焼、

ともいい、

杉の木の香りを移した料理である、

とある(たべもの語源辞典)が、

同様の調理法に杉焼とよばれているものがある、

として、

板焼、
と、
杉焼、

とを区別するものがある(日本大百科全書)。「杉焼」は、康平年間(1058~65)成立の『新猿楽記』に、

杉板の間に白身魚を挟んで両面から順次加熱したものをいう、

と記されている。文政五年(1822)刊の『料理早指南』には、「杉板焼き」と書き、

杉板に厚く塩を塗り付け、その上にしょうゆに浸したイナダの身をのせて焼く、

との解説がある(仝上)。杉板の上にのせるのを、

板焼、
または、
杉板焼、

杉板に挟むものを、

杉焼、

と区別するのだろうか。いずれも、杉板を使うことには変わりはない。二条宴乗日記の元亀元年(1570)一二月四日に、

杉焼に可仕とて無塩た井一枚、

と記述がある。「杉焼」とあるが、「板焼」と区別されるのかどうかはわからない(精選版日本国語大辞典)。

魚の杉焼き.jpg

(魚の杉板焼 https://kuukau2.exblog.jp/18359391/より)

たべもの語源辞典は、

杉箱の底に酒でといた味噌を敷き、魚・鳥・貝類・野菜類を入れ、ふたをして金網の上で焼くもの、

と、

杉板の上にのせて焼くもの、

とがあるとしている。

杉板で焼くときは、板の裏に塩を暑く塗りつけて、板が焦げないようにする、

とあり、板焼自体は室町時代から始まるが、杉箱をもちいたものは、江戸前期以降という。好色一代男(1682)に、

雁の板焼に赤鰯を置合(をきあはせ)、

とある(精選版日本国語大辞典)。

なお、杉板焼には、

フッコ・タイ・ヒラメ・サケなどのすり身におろし芋を加えて板につけ、蒸してから蒲鉾のように焼く、

タイプもある、らしい(たべもの語源辞典)。

板焼に、

板焼豆腐、

というものがある。

うすい杉の板にふき味噌をべったりと塗って、その上に豆腐を切ってのせ、またその上に味噌を塗り、同じ形の板杉を上にのせて強火で焼く、

とある(仝上・日本大百科全書)。また、

板焼味噌、

というものもあり、

羽子板形の板の表面に、横菱にのこぎり目を入れて、その上に胡麻味噌をつけて、炉の灰に立てて炙る、

とある(仝上)。

みそは熱源に直接当てて少々焼き目を加えると香ばしい味が生ずる、

ためである(日本大百科全書)。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:07| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする