2020年09月08日

源氏豆


「源氏豆」は、

煎った大豆に砂糖を衣がけして、紅白二色にした豆菓、

とある(広辞苑・デジタル大辞泉)。

蓬莱豆、
源平豆、

とも言う。「はた」http://ppnetwork.seesaa.net/article/455661837.htmlで触れたことだが、

おもに縦長で、上辺の旗上(はたがみ)を竿(さお)に結ぶ流旗(ながればた)、鉾(ほこ)などにつけた比領(ひれ)という小旗などが古い形式である。のちに上辺と縦の一辺を竿につける、やはり縦長の幟旗(のぼりばた)とよばれる形が現れ、さらに正方形に近い形など、さまざまな種類も生じた、

とされる(日本大百科全書)が、源平のそれは、

白旗は源氏の旗印であった。対する平家(伊勢平氏)は赤旗(紅旗)を用いており、これをもって日本で「紅白」は対抗する図式の象徴色の一つとなった、

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%97%97、紅白から、「源氏」あるいは「源平」と名付けた、と思われる。

「蓬莱豆」というのは、京都の蘆山寺、紫式部の邸宅跡として知られる、廬山天台講寺(ろざんてんだいこうじ)で節分に撒かれる砂糖でくるんだ紅白の豆を指す。

紅白一粒ずつ食べると寿命が6年延びる、

と言われるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AF%80%E5%88%86。蘆山寺のホームページには、

大豆の外側を砂糖で固めた紅白の豆で、本尊の元三大師が魔滅大師(豆大師)と云われ厄除け開運、諸願成就の観世音菩薩の化身だといわれるその豆大師を表現したものです。この蓬莱豆を紅白一粒づつ食べるとその人の寿命が延び、また福餅を食べると開運出世するといわれています、

とあるhttp://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/22setubun.html

蓬莱豆.jpg


それにしても、赤白に準えて、「源氏」と名づけるものは結構ある。たとえば、

源氏巻、

というのがある。これは、

棹物(さおもの 赤小豆を羊羹にするとき、寒天を加えて船形の函に流し込んで凝結させたものを、細長く切ったので棹物とよんだ)で赤を白で重ねて渦に巻いたもの、

とある(たべもの語源辞典)。

白色のものをころもとし、白色を主にして紅を飾りとしたようなものを、

源氏、

と名づけたとある(仝上)が、「源氏巻」には、

餡をきつね色に焼いたカステラのような薄い生地に包んだ長方形の菓子、

として、津和野町の銘菓として知られるものがある。その名前の由来は、

幕末に藩の御用菓子司が銘名を頂くため、このお菓子に紫色の餡を詰め込んで、藩主に進上した。この際、藩主の妻が紫色の餡に感動し、『源氏物語』の「若紫」に出てくる和歌「手に摘みていつしかも見ん紫の根に通ひける野辺の若草」を詠んだ。それにあやかって「源氏巻」と名付けられたと、

されるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E5%B7%BB

源氏巻(抹茶味).jpg

(源氏巻(抹茶味) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E5%B7%BBより)

白を源氏、赤を平氏と見立てるものが多いが、たとえば、紅白の餅は、

源氏餅、
源平餅、

といい、

豆腐の白とみその赤を源平の旗に見立てた、

源氏豆腐、

というのもある(仝上)。あるいは、

源氏と名がついたものは、白ならばよいわけであるが、源氏といったとき、すぐ平氏も考え、その赤旗というわけで、赤い色を取り合わせることもした。白と赤の組合わせで、源平とつけられることも多かった、

のである(仝上)。

江戸時代に、

飯までも白きは源氏茶漬なり、
とか、
奢らずに源氏茶漬で安芝居、

と川柳にもうたわれた、

源氏茶漬、

は、

普通の白いご飯を源氏に見立てたものらしい(仝上)。

1883年(明治16年)に日本で初めて氷砂糖の製造に成功したという三立製菓の、

源氏パイ、

は、パイ生地に砂糖を折り込んだ焼き菓子だが、

和風の名前を付けたいと考えていたところ、発売翌年のNHK大河ドラマが『源義経』に決まったことを知り、そこから「源氏パイ」と名付けられた、

というhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E3%83%91%E3%82%A4らしいが、消費者からの問い合わせで、平家パイはないのかとあったので、同社が発売していたレーズンパイを2012年度のNHK大河ドラマが『平清盛』となったことに合わせて平家パイに改称した、

という(仝上)。これは、紅白とは何の関係もない。

源氏パイ.jpg


源氏と名の付いたものと言えば、

ゲンジボタル、

がいる。

ゲンジボタル.jpg


「源氏蛍」の名は、

平家打倒の夢破れ、無念の最期を遂げた源頼政の思いが夜空に高く飛び舞う蛍に喩えられた。 平家に敗れた源頼政が亡霊になり蛍となって戦うと言う伝説、

があり、これに由来しているhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%83%AB、とされる。

辞世の句を詠む頼政。月岡芳年画.jpg

(月岡芳年「辞世の句を詠む頼政」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E9%A0%BC%E6%94%BFより)

別に、腹部が発光する(光る)ことを、「源氏物語」の主役光源氏にかけたことが由来という説もあるが、より小型の別種のホタルが、最終的に源平合戦に勝利した清和源氏と対比する意味で「ヘイケボタル」と名づけられたという説もあり(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E9%A0%BC%E6%94%BF)、「此美観を蛍合戦と称し、随って源氏蛍(ゲンジホタル)、平家蛍の名も出来たのであるが」(宮武外骨)と、蛍合戦を恋の争ひと見立てているものもある(精選版日本国語大辞典)。

もうひとつ「源氏」の名のついたものに、

源氏窓、

がある。

火灯窓(かとうまど)、
花頭窓、

ともいい(広辞苑)、

書院窓、

ともいう。

上部が尖頭アーチ形をしている窓。禅宗寺院の建築とともに中国から伝わって、唐様からよう建築に多く用いられた、

とある(大辞林)。

火灯窓.png


「源氏窓」というのは、

石山寺の「源氏の間」に見られる、

ことより、その通称が生じたhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E7%81%AF%E7%AA%93、とある。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:31| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする