2020年10月07日

ウニ


生物の「ウニ」は、

ガセ(ガゼ)、

とも言うが、

海胆、
海栗、

と当てるが、食品としての「ウニ」、というか、食べる部分を、

雲丹、

と当てている(たべもの語源辞典、https://zatsuneta.com/archives/003210.html、他)。

ただ、「海栗」は、

生きているウニ、

「海胆」は、

殻から取り出した中身(生殖巣)で、生のウニ、

「雲丹」は、

食品用に加熱・加工されたウニ、

を指す、と区別しているものがあるhttps://gimon-sukkiri.jp/uni/。「海胆(かいたん)」「海栗(かいりつ)」「雲丹(ウンタン)」、いずれも漢語であるが、漢和辞典では、特に区別はしていなかった(字源)。

海膽の食べるところ(生殖巣)を雲丹とか海丹と書いているが、雲には集まる者という意味があり、丹は「あか」で、国訓で「に」とよむとき赤土である。要するに赤色である、

とある(たべもの語源辞典)ので、生物のそれと食用のそれとは、指示している対象が異なることは確かである。

風土記には、

棘甲贏、
甲贏、

と書いてあるが、

棘贏(きょくら)、

という(たべもの語源辞典)。「贏」は、「螺」と同じで、ツビ、たにし、サザエ等々、螺旋状の殻をもつ、

ニシ(類)、

という貝である。「棘」は、イバラ、トゲのある者を意味する。だから、

棘のある貝の仲間、

とみなして、この字を当てたと思われる(仝上)。本草和名には、

靈贏子、貌似橘而圓、其甲紫色、生芒角者也、宇爾、

とあり、同、

石陰子、加世、

和名抄には、

石陰子、甲贏、加世、

とある(大言海)。

バフンウニ.jpg

(バフンウニ https://www.akauni.com/unitoha_8.htmより)

「海胆」の、

胆は、膽の俗字、

とある。「膽」(タン)は、

形声。詹(セン・タン)は、「高いがけ+八印(発散する)+言」の会意文字。噡(セン 高い崖の上から見る)、譫(セン うわずったでたらめをいう)などの原字。膽はそれを単なる音符として加えた字で、ずっしりと重く落ち着かせる役目を持つ内臓、

とある(漢字源)。胆嚢、肝胆、臥薪嘗胆などとつかわれるが、「きも」の意である。

漢方医学では、肝と胆があい連なって、人体の安定と気力を保つ働きをすると考えた、

とあり(仝上)、これをメタファ―に、胆力、勇胆、胆略等々、誘起や決断力の意で使われる。「ウニ」の食用部分は、

生殖巣、

であるが、「海胆」の「肝」とあるのは、

ウニの食べる部分を肝、

とみなしたからである。「海栗」は、まさに、その姿を栗に見立てたからである。

大言海・日本語源広辞典は、「うに」の語源を

腸の漢名、海膽(かいたん)の文字読の、海膽(ウミイ)の約轉か。にの、みの(蓑)。にな、みな(蜷)。にがし、みがし(苦)、

としている。その他には、

ウヰ(海肝)の略転(和訓栞)、
ウニ(雲丹)の義(南留別志・和訓栞)、

等々がある。是非は判別できないが、たべもの語源辞典は、

海のものを表すウ、赤い色を表すニでウニになった、

とする。「うみ」http://ppnetwork.seesaa.net/article/448421529.html?1600384691で触れたように、

「うみ」の語源は、

大水(おほみ)の約轉。う(大)の條をみよ。禮記、月令篇、「爵(すずめ)入大水為蛤」註「大水、海也」、

とある(大言海)。「う(大)」を見ると、「大」を当て、

オホの約(つづま)れる語、

として、

おほみ、うみ(海)。おほし、うし(大人)。おほば、うば(祖母)。おほま、うま(馬)。おほしし、うし(牛)。おほかり、うかり(鴻)。沖縄にて、おほみづ、ううみづ(洪水)、おほかみ、ううかめ(狼)、

と例示する、つまり、

「う」は「大」の意味の転、「み」は「水」の意味で、「大水(うみ・おほみ)」、

である(語源由来辞典・日本語源広辞典)。「ウニ」の「ウ」は、

「ウ(大)+ミ(水)」の「ウ」

である。

ウニは縄文時代の遺跡から発見されるほど、古くから我々に馴染みの食物である。

海胆の「胆」は丹と同じよみで、海丹(かいたん)とよむときは海胆に通じている。雲丹も、集まった赤いものという状態から来た名称であり、海に生きているウニでなく食べる生殖巣をさしてウニとよぶとき、多く「雲丹」がもちいられるようになった、

ようである(たべもの語源辞典)。

バフンウニの身.jpg

(バフンウニの身 https://www.akauni.com/unitoha_8.htmより)

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:ウニ 海胆 海栗 雲丹
posted by Toshi at 04:23| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする