2020年10月08日

小田巻蒸


「小田巻蒸(おだまきむし)」は、

苧環蒸、

とも当てる。

えだまき、

とも言う(広辞苑)。

うどんを用いる蒸し物料理。茶碗(ちゃわん)にうどん、かまぼこ、ぎんなん、百合根、アナゴの蒲焼き(または鳥肉)を入れ、澄まし汁で生卵を3倍半くらいにのばしたものを加え、蒸し器で蒸す。茶碗蒸しにうどんが加わったものである。かつてそばの専門店では独特の作り方を誇りとしていた、

とある(日本大百科全書)。

小田巻蒸し.jpg


「苧環」は、「へそくり」http://ppnetwork.seesaa.net/article/426549080.htmlで触れたが、

麻糸を巻いて玉状または環状にしたもの。布を織るのに使う中間材料である。「おだまき」は「おみ」(麻績)「へそ」(綜麻・巻子)ともいう。次の糸を使う工程で、糸が解きやすいようになかが中空になっている、

のをいう(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%A7%E7%92%B0・岩波古語辞典・大言海)。大言海は、文字通り、「をだまき」を、

麻手巻きの義、

とする。要は、中が空洞になるように円く巻いた苧環の形状に、

茶碗の中に巻いて入れたうどんが似ている、

から、この名が来たものらしい(たべもの語源辞典)。静御前が、

しずやしず しずのおだまき 繰り返し むかしを今に、

と詠ったのは、この苧環の元になった、

苧環の花、

を指す。

苧環の花.jpg

(苧環の花 デジタル大辞泉より)

「茶碗蒸」は、

茶碗に椎茸・ギンナン・ユリ根・蒲鉾(主に板蒲鉾)・鶏肉・小海老・焼きアナゴなどの具材と、溶き卵に薄味の出し汁を合わせたものを入れ、吸口にミツバや柚子の皮などを乗せて蒸し器で蒸す、

ものだが(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8C%B6%E7%A2%97%E8%92%B8%E3%81%97・たべもの語源辞典)、

茶碗焼、

とも呼ぶ(仝上)。

茶碗蒸し.jpg


この、

味醂・醤油煮出汁などで味つけしたとき玉子のつゆ、

を、

茶碗蒸しの地、

という(たべもの語源辞典)が、この地に、卵を用いずに、

生ゆばと山芋をすりおろして葛粉を水どきして加えて地をつくるもの、
栗または銀杏をすり、豆腐と山芋を加えたもの、
豆乳とかくみ豆腐を地にするもの、

等々があったようである。延宝二年(1674)の『江戸料理集』には、

玉子貝焼、

寛延二年(1749)の『料理山海郷』には、

ハモのすり身を薄めて使った茶碗蒸、

が載るが、明和元年(1764)の『料理珍味集』に、現在のような卵を使った茶碗蒸が登場する(たべもの語源辞典)。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:小田巻蒸 苧環蒸
posted by Toshi at 04:23| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする