2020年12月24日

のっぺい


「のっぺい」は、

能平、
濃餅、

と当て、

油揚、大根、椎茸・人参・里芋・蒟蒻・豆腐などをすまし汁に仕立てて、葛粉を加えてとろみをつけた料理、

で(広辞苑)、日本全国に分布する郷土料理の一つであり、

のっぺい汁、
ぬっぺい、
のっぺい鍋、
のっぺい煮、
のっぺい湯(とう)
のっぺ、
のっぺ汁、
のっぺ鍋、
のっぺ煮、

等々(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AE%E3%81%A3%E3%81%BA%E3%81%84%E6%B1%81、たべもの語源辞典、広辞苑)、微妙に訛ったさまざまな呼び名がある。

のっぺい汁.jpg

(のっぺい汁 https://www.honmirin.org/recipes/70より)

鶏肉と豆腐、ニンジン、ダイコンなどの野菜を刻んで煮て、葛粉や片栗粉を加えてとろみをつけた料理、

と(たべもの語源辞典)、鶏肉と豆腐に主眼を置いたものもあるので、

料理の際に残る野菜の皮やへたをごま油で炒め、煮て汁にしたもの、

で、

地域によって使用する材料やとろみの加減などが大きく異なり、

主にサトイモ、ニンジン、コンニャク、シイタケ、油揚などを出汁で煮て、醤油、食塩などで味を調え、片栗粉などでとろみをつけたものであることは共通する、

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AE%E3%81%A3%E3%81%BA%E3%81%84%E6%B1%81が、たとえば、新潟県の「のっぺ」は、

「汁」でも「澄まし汁」でもなく「煮物」であり、残った野菜を使うわけでもなく、ごま油で炒めるようなことはしないため、「のっぺい汁」とは異なる、

ともあり(仝上)、名前は同じでも、具も、中身も微妙に異なる場合がある。江戸語大辞典には、

豆腐・人参・牛蒡などを葛煮にした汁、上方は同名異物、

とある。

はじめは小麦粉でとろみをつけた。汁を残さず食べる目的で葛を使ったものと思われるが、中国料理が多くこれを用いていたので、中国伝来の料理法、

ではないか、とする(たべもの語源辞典)が、原型は、

寺の宿坊で余り野菜の煮込みに葛粉でとろ味をつけた普茶料理「雲片」を、実だくさんの澄まし汁に工夫したものという。精進料理が原型だが、現在では鶏肉や魚を加えることもある、

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AE%E3%81%A3%E3%81%BA%E3%81%84%E6%B1%81

「普茶料理」http://ppnetwork.seesaa.net/article/474648427.htmlの「雲片(うんぺん)」とは、

調理の際に残ったへたなども余すことなく、細かく刻んで葛でとじ、雲に見立てた、

普茶料理の代表的な料理、

であるhttps://www.obakusan.or.jp/eat/が、

数種の野菜類を刻んでごま油で炒めて調味し、水溶きのくず粉でとろみをつけた料理、

で(和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典)、料理山家集(1802)には、

普茶と卓袱と類したものなるが、普茶は精進にいひ全て油をもって佳味とす。卓袱は魚類を以って調じ、仕様も常の会席などと別に変りたる事なし、

とあり、「ごま油」を用いるのが特色である。

雲片.jpg


本来は、鶏肉料理であったものが、野菜だけ用いる料理にもその名がついた、

とある(たべもの語源辞典)が、

「卓袱(しっぽく)料理」の精進なるものが「普茶料理」

である(大言海)なら、その「雲片」を始原とする「のっぺい」は、逆に、初め野菜だけだったのではあるまいか。

「のっぺい」は、

ぬらりとしている意の「ぬっぺい」が訛って「のっぺい」となった(たべもの語源辞典)、
滑(ぬめら)の意(大言海)、

という説がある。「濃餅」と当てたのは、

汁が粘って餅のようであるから(たべもの語源辞典)、

という理由とする。他に、

のっぺり(擬態語)+汁(日本語源広辞典)、

というのもある。江戸語大辞典には、

のっぺいやろう(濃平野郎)、

という言葉が載る。

なまっ白いのっぺい野郎、

というように、

のっぺい汁のようにのっぺりした野郎、

の意で、

美男や優男を罵った言葉、

らしい。「のっぺり」は、

表面が滑らかで起伏がないさま、

の意で、江戸時代、

ぬっぺり、
ぬっぺら、
ぬっぽり、

とも使い(擬音語・擬態語辞典)、「のっぺり」よりも、

ぬっぺり、

の方が古い言い方で、

内心をあらわさぬ平然とした様子、

の意味もある(仝上)。

のっぺらぼう、

の「のっぺら」は、

のっぺり、

の方言になる。こうみると、

のっぺい、
ぬっぺい、
のっぺ、

は、「のっぺり」「ぬっぺり」の転訛とみるべきではあるまいか。

参考文献;
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:59| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする