年神

「年神(としがみ)」は、 歳神、 とも当てる。 五穀を守る、五穀の神、 であり、平安時代の神道資料『古語拾遺』には、 是今神祇官以、白猪白馬白鶏、祭御歳神之縁也、 とある(大言海)。 大地主神(おおとこぬしのかみ)の田の苗が御年神の祟りで枯れそうになったので、大地主神が白馬・白猪などを供えて御年神を祀ると苗は再び茂ったという説話、 によるものら…

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お年玉

「お年玉」は、 年玉、 とも言うが、 新年の祝儀として贈るもの、 の意である。 歳贄、 とも当てる(大言海)。江戸時代の町家では、 貝杓子(かいじゃくし)、 鼠半紙、 塗箸、 粗製の扇、 等々粗末な物を用いた、とある(精選版日本国語大辞典)。江戸中期の医師・小川顕道は『塵塚談(ちりづかだん)』で、 正月、玄関に年玉の扇箱を飾る事、商…

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遠い

「とおい(とほし)」に当てる、「遠」(漢音エン、呉音オン)は、 会意兼形声。「辶+音符袁(エン 間があいて、ゆとりがある)」、 とあるが(漢字源)、 会意形声。「辵」(=道、行く)+音符「袁」、「袁」はゆったりした衣服(藤堂)、死者の服の襟を開け玉を胸元に置いた様で死出の旅立ちをいう(白川静)、 とも(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E…

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塩辛

「塩辛」は、 魚介類の身や内臓などを加熱すること無く塩漬けにし、素材自体の持つ酵素及び微生物によって発酵させ、高濃度の食塩により保存性を高めた発酵食品、 であり(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E8%BE%9B)、 熟成中は食塩の働きによって腐敗が防止されるほか、特に内臓に含まれている強力な酵素と微生物の生産する酵素の作用によ…

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大福餅

「大福餅」は、 中に餡を包んだ餅菓子、 で、 大福、 ともいう。この起源は、 うずら餅、 とされる。 (鶉(うずら)餅 http://blog.livedoor.jp/wagashibuyer/archives/51003594.htmlより) 「うずら(鶉)餅」は、室町後期、 丸くふっくらして、餅皮がすく、中の餡は赤小豆に塩を入れただけ…

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滝川

「滝(瀧)川」というのは、 瀧津瀬(たきつせ)、 と同じ(大言海)で、 谷川など、はげしく流れる川、 急流、 で、 滝つ川、 ともいう。 (早瀬 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A5%E6%B5%81より) ただ、「滝つ瀬」は、 水の激しく流れる瀬、 の意(岩波古語辞典)もあり、 …

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たかんな

「たかんな」は、 タカムナの音便、 とある(広辞苑)が、 たかむな、 とも表記し、 たかうな(たこうな)、 ともいう(デジタル大辞泉)。 takamuna→takanna、 マ行音(m)→ナ行音(n)の子音交替、 takanna→takouna、 は、「思はう」→「思ほゆ」のような、ア列音→オ列音といった母音交替かと思われ(日本語の…

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このわた

「このわた」は、 海鼠腸、 と当てる。「こ」は、 海鼠、 の古名(江戸語大辞典)、あるいは、 本名、 とある(大言海)。和名抄に、 海鼠、古(コ)、似蛭而大者也、 とある。で、「このわた」は、 「こ」(海鼠)+の(助詞)+わた(腸。内臓という意味)、 であり(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%…

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国民の富

アダム・スミス(大内兵衛・松川七郎訳)『諸国民の富』を読む。 本書は、『国富論』とも呼ばれる、原題は、 An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations 諸国民の富の性質と諸原因に関する一研究、 であり、スミス自身は、 前著、 道徳的感情の理論、 の続編と位置づけ、本…

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ナマコ

「ナマコ」は、 海鼠、 と当てるが、 生子、 奈麻(万、末)古、 とも当てたりし(日本大百科全書)、 タワラゴ(俵子)、 タワラ、 等々とも言い、上方では、 トラゴ、 ともいった(たべもの語源辞典)。漢名では、 沙噀(さそん)、 沙蒜(ささん)、 塗筍(どじゅん)、 等々とあり(仝上)、また、ケンペル『日本誌』では、 …

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なびく

「なびく」は、 靡く、 と当てる。 (根元が押さえられていて)先の方がゆらゆらと横に揺れ動く、 のを言い、それをメタファに、 さ寝(ぬ)がには誰とも寝(ね)めど沖つ藻の靡きし君が言待つ我を(万葉集)、 というように、 (心や態度が、ある人の方へ)揺れ動いて寄る、 意であり、さらに、 上は下に助けられ、下は上になびきて(源氏)、 とい…

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とどろく

「とどろく」は、 轟く、 と当てる。「轟」(慣用ゴウ、呉音・漢音コウ)は、 会意。「車+車+車」で、多くの車が往来することを表す、 とあり(漢字源)、 ごろごろととどろく音の形容、 の意である。 轟音、 喧轟、 と 地響き、 どんととどろく音、 ざわざわと騒ぎ乱れる音、 等々につかう(仝上)し、 轟轟烈烈、 と、 …

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なまづ

「なまづ(ず)」は、 鯰、 と当てるが、 魸、 とも当てる。共に、国字である。中国では、「なまず」は、 鮎、 である。これを「あゆ」に当ててしまったので、国字を作った、という(たべもの語源辞典)。 「鮎」(漢音ネン、呉音デン)は、 会意兼形声。「魚+音符占(=粘、ねばりつく)、 で、「なまず」である。中国では、 鯷(テイ、シ)、 …

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どじょう

「どじょう」は、 泥鰌、 鰌、 鯲、 等々と当てる。「鰌」(漢音シュウ、呉音ジュ)は、 会意兼形声。「魚+音符酋(シュウ しまって細い)」 とある(漢字源)。「酋」(漢音シュウ、呉音ジュ)は、 象形。壺の中に酒が醸されて、外へ香気がもれでるさまを描いたもの。シュウということばは、愁(シュウ 心が小さく縮む)・就(ひきしめる)などと同系で、もと酒をしぼる、しぼ…

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どさまわり

「どさまわり(回り)」は、 劇団などが地方まわりをすること、また常設の劇場をもたない地方回りの劇団の称、 の意と、 盛り場などを歩きまわるよたもの、 地回り、 の意とがある(広辞苑)。「地回(廻)り」は、 地回りの酒、 というように、 近くの土地から回送してくること、またその品物、 の意だが、そこから、 地廻商人、 地廻船、 と…

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経済学の方法

カール・マルクス(大内兵衛・向坂逸郎他訳)『経済学批判』を読む。 マルクスは、『「経済学批判」序説』で、「経済学の方法」について、こんなことを書いている。 われわれがある一国を経済学的に考察するとすれば、その人口、人口の各階級や都市や農村や海辺への分布、各種の生産部門、輸出入、毎年の生産と消費、商品価格等々からはじめる。  現実的で具体的なもの、すなわち、現実的な前提か…

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たまふ

「お年玉」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/479319063.html?1610655746)で触れたように、「たまふ」は、 賜ふ、 給ふ、 玉ふ、 等々と当てる。「たまふ」には、 目下の者の求める心と、目上の者の与えようとする心とが合わさって、目上の者が目下の者へ物を与えるという意が原義、転じて、目上の者の好意に対する目下の者…

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たま(魂・魄)

「たま」は、 魂、 魄、 霊、 と当てる。「たま(玉・珠)」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/462988075.html)で触れたように、「たま(玉・珠)」は、 タマ(魂)と同根。人間を見守りたすける働きを持つ精霊の憑代となる、丸い石などの物体が原義、 とある(岩波古語辞典)。依り代の「たま(珠)」と依る「たま(魂)」とい…

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注釈

貝塚茂樹訳注『論語』を読む。 「架空問答(中斎・静区)」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/475470344.html)でも取り上げたし、何度も何度も、折を見ては、繰り返し繙(紐解)いているので、今更めくが、きちんと取り上げていなかったことを思い出して、改めて、書いてみた。 訳注者貝塚茂樹氏は、ときに、人口に膾炙している訓み下しでも…

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倫理

小林勝人訳『孟子』を読む。 『論語』の見直しに続いて、再度、『孟子』を繰ってみた。しかし、もともと孟子はあまり好きにならない。孟子というと、たとえば、 齊(せい)の宣王(せんのう)問いて曰く、湯(とう)・桀(けつ)を放ち、武王紂(ちう)を伐てること、諸(これ)有りや。孟子対えて曰く、伝に於いてこれ有り。曰く、臣にして其の君を弑(しい)す、可ならんや。曰く仁を賊(そこの)う…

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