とろろ汁

「とろろ汁」に、 薯蕷汁、 と当てている(大言海)。 いもじる、 とろろ、 とろ、 ともいう(仝上)。とろろ汁は飯がよく進むことから、「飯(いい)やる」を「言いやる」に掛けて、 言伝(ことづて)汁、 という異称がある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A8%E3%82%8D%E3%82%8D)、とか。 …

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いも

「いも」は、 芋、 薯、 藷、 蕷、 等々と当てる(広辞苑・大言海)。 サトイモ、ツクネイモ、ヤマノイモ、ジャガイモ、サツマイモなどの総称、 で(広辞苑)、 植物の根や地下茎といった地下部が肥大化して養分を蓄えた器官である。特にその中で食用を中心に利用されるものを指すことが多い。但し、通常はタマネギのような鱗茎は含めない、 とある(https://j…

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さうらふ

「さうらふ」は、 候、 と当てる。 目上の人のそばに控える、仕える、 「あり」の謙譲語、ありの丁寧語、おります、ございます、 の意だが(広辞苑)、助動詞として、 聞こえさうらふ、 義経にて候、 というように、 動詞及びある種の助動詞の連用形に、「に」「で」などの助詞について、目下の者が自分に関することを目上の者に述べるのに用いた。鎌倉時代以降は「…

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得体の知れぬ人物

福島克彦『明智光秀―織田政権の司令塔』を読む。 「はじめに」で、著者は、光秀をこうまとめる。 「光秀の前半生はほとんどわからない。光秀本人が語るところでは、先祖は足利将軍家の御判御教書(ごはんみぎょうしょ)を保持した家柄であったという。しかし、光秀の時代は、すでに知行地は手放した状態であり、たとえ過去の御教書があっても役に立たないと認識していた(早島大祐『明智光秀』)。彼…

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居候

「居候」(ゐさうらふ・いそうろう)は、 他人の家に寄食すること、またその人、 の意である。略して、 居(ゐ)そ、 ともいう(江戸語大辞典)。 「しくじれば又いそだ、むづかしい咄はねへ」(享和元年(1801)「二布団」) かかりうど(掛人)、 ともいい、 「かかりびと」の音変化、 である(広辞苑)。また、 食客(しょっかく)、 …

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食う

「食う(ふ)」は、 喰う、 とも当てる(広辞苑)し、 齧う、 とも当て(岩波古語辞典)、 噛う、 とも当てる(大言海)。 食物を口に入れ、かんでのみこむ、 つまり、 たべる、 意である(広辞苑)。それをメタファに、 暮らしを立てる、 という意でも使う。 ものに歯を立てる、または飲みこむ意、類義語くはふは食ひ合ふの約…

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食べる

食うとは、ものを食べるという意味。「食べる」と比べてやや下品な表現である、 とある(笑える国語辞典)ように、どちらかというと、今日「食う」は、余りいい表現とはみなされない。 「食う」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/479896241.html?1612555520)で触れたように、 平安時代には、和文脈にクフ、漢文脈にクラフが用いら…

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いただきます

「いただきます」は、 頂きます、 とか、 戴きます、 と当てたりする。食事を始める際の日本語の挨拶であるが、挨拶として広く慣習化されたのは恐らく昭和時代からであり、 箱膳で食していた時代には、「いただきます」は決して一般的とは言い難いものであった。ほとんどの家庭において食前に神仏へのお供えがあった一方で、食前の挨拶はないことが非常に多く、またあったとしても様々な挨拶の言…

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マツタケ

「マツタケ」は、 松茸、 と当てるが、 松蕈、 とも当て、 マツダケ、 と訓ませた(大言海)。林逸節用集には、 松茸、マツダケ、 とある(仝上)。語源は、 松+茸、 赤松林に自生する、 ところから来た(日本語源広辞典)、と見ていい。 「きのこ」に当てる漢字は、 菌、 茸、 蕈、 がある(字源)。漢字では、…

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テロ

一坂太郎『暗殺の幕末維新史―桜田門外の変から大久保利通暗殺まで』を読む。 サブタイトルには、 桜田門外の変から大久保利通暗殺まで、 とあるが、実際は、 大津浜異人上陸事件、 というイギリス捕鯨船の着岸事件で、藤田東湖が、 夷虜を鏖(みなごろし)、 にしようとした矢先、乗組員は立ち去った後、ということから始め、 伊藤博文狙撃事件、 …

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「松」は、 枩、 とも書く(漢字源)。「松」(漢音ショウ、呉音シュ)は、 会意兼形声。「木+音符公(つつぬけ)」。葉が細くて、葉の間が透けて通るまつ、 とある(仝上)。ついでながら、「公」(漢音コウ、呉音ク)は、 会意。「八印(開く)+口」で、入り口を開いて公開すること。個別に細分して隠さず大っぴらに筒抜けにして見せる意を含む、 とあり(仝上)、 「…

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たそがれ

「たそがれ」は、 黄昏、 と当てるが、 黄昏時の略、 とある(岩波古語辞典)。 弓張月、 を、 ゆみはり、 と略すのと同列、とある(大言海)。 (黄昏時の神戸港 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E6%98%8Fより) 「黄昏」(コウコン)は。漢語である。淮南子に、 日至于處淵、是…

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おやじ

「おやじ」は、 親父、 親爺、 親仁、 等々と当て(広辞苑)、 老爺、 とも当てる、とある(日本語源広辞典)。 自分の父親を、他人に対して称する語、 である(大言海・広辞苑)。旧仮名では、 おやぢ、 である。「おやじ」は、 親父、 から、 おやちちの転、 とされる(広辞苑・日本語源広辞典・大言海・和訓栞)。 江…

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おふくろ

「おふくろ」は、 御袋、 とあてる(広辞苑・大言海・岩波古語辞典)。 母親を親しんで呼ぶ語、 である。由来は、諸説あり、 昔は、金銭、衣類、器什、すべて袋に入れたり、外出にも、従者に持たする物、皆袋に入る、母は家政を取り、袋の出し入れの締めくくりをすれば、時世の詞にて称したるなり(大言海)、 かやうに家の御袋とならむ人は、物の締めくくりをよくしはべる故に、家の…

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はは

「はは」は、 母、 と当てる。ただ、上代、「母」を、 オモ、 とも訓ませた(岩波古語辞典)。 「母」(慣用ボ、漢音ボウ、呉音ム・モ)は、 象形。乳首をつけた女性を描いたもので、子を産み育てる意味を含む、 とある(漢字源)。 (甲骨文字(殷)「母」 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%AF%8Dより) …

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おも

「母」は、古代、 おも、 と訓ませ、万葉集に、 わが門の五本柳(いつもとやなぎ)いつもいつも母(おも)が恋ひすす業(なり)ましつしも(矢作部真長)、 とあり、 はは、 の意であったが、同じく万葉集に、 緑児のためにこそは乳母(おも)は求むといへ乳(ち)飲めや君が乳母(おも)求むらむ(作者未詳)、 とあるように、 乳母(うば)、 の意…

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会津降人

星亮一『会津落城―戊辰戦争最大の悲劇』を読む。 会津人は、 会津降人(こうじん)、 という国賊、犯罪者のレッテルをはられ、明治期、苦難の道を歩むことになる(「はじめに」)。しかし、著者はいう。 「この戦いを詳細に検証すると、いくつもの疑問点が浮かんでくる。……なぜここまで戦う必要があったのか」 と(仝上)。 現に、16歳で越後に出兵した少年兵遠藤平…

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おやま

「女形」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/430104540.html)については触れたことがある。「おやま」は、 女形、 と当て、 仮名遣いでは、 をやま、 とも表記した(広辞苑)。また、「おやま」は、 お山、 於山、 とも当て、 女形人形の略、またはその人形遣い手、 歌舞伎で、女の役をする男役者、…

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ごとし

「ごとし」は、 ~の如く、 と使う。これは、 比況の助動詞「ごとし」の連用形、 で、 活用語の連体形、体言、助詞「の」「が」に付いて、 彼の言うごとく、 とか、 今さらのごとく、 といったように、 比喩・例示を表し、~のように、~のとおり、 の意で使う(デジタル大辞泉)。現代では文章語的表現、または改まった表現をする場合に用いられる(…

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しく

「しく」は、 及ぶものはない、 の意で、 如くは無し、 と使い、また、 百聞は一見に如かず、 の「しか」は至り及ぶ意の「しく」の未然形に打消しの助動詞ズをつけて、 (それに比べて)及ばない、 (それに)まさるものはない、 の意で使う(岩波古語辞典)。「しく」は、 如く、 と当てる。「如く」を、 ごとく、 と訓む「ごとし…

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