しか

「しか」は、 然、 爾、 と当てる(広辞苑)。 奥城(おくつき)をここと定めて後の世の聞き継ぐ人もいや遠に偲(しの)ひにせよと黄楊小櫛(つげおぐし)しか刺しけらし生ひて靡けり(万葉集)、 のように、 そのように、さように、 の意味である(岩波古語辞典)。さらに、転じて、 内裏(うち)よりと宣(のたま)へばしかまかではべるままなり(源氏)、 と…

続きを読む

しかと

「しかと」は、 シカトする、 の「シカト」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/461268136.html)ではなく(これについては触れた)、 しかと相違ありません、 と使う副詞の「しかと」である。今日、あまり使わない。 「しかと」は、 確と、 聢と、 と当て(広辞苑)、たとえば、 ①はっきりしているさま…

続きを読む

そそけだつ

「そそけだつ」(そそけ立つ)は、 髪の毛などがそそける、 意だが、その状態表現をメタファに、 身の毛がよだつ、 ぞっとする、 という価値表現の意でも使う。「そそける」は、 (髪・織物などが)ほつれ乱れる、けば立つ、 意で(広辞苑)、「そそく」からきている。「そそく」は、 噪く、 と当て、 せかせかと物事をする(堤中納言物語「あすのこと思…

続きを読む

じゃがいも

「じゃがいも」は、 ジャガいも(芋)、 と表記するのは、 ジャガタラいもの略、 だからである(広辞苑)。 ジャバイモ、 オランダイモ、 カピタンイモ、 等々というのも、それとつながる(たべもの語源辞典)。 慶長年間(1596~1615)ジャカルタから渡来したから、 いう(広辞苑)が、「ジャガタラ」とは、 ジャカルタの呼称。近世日本では…

続きを読む

なみする

「なみする」は、 無みする、 蔑する、 と当て(広辞苑)、 君をなみし奉る(平家物語)、 というように、 ないがしろにする、 軽んずる、 その人が居ても居ないように振舞う、 意である。今日は、ほぼ使わない。平安期の名義抄に、 無・无 ナミス、 蔑 ナミス、ナイガシロ、 とある(大言海・岩波古語辞典)。「なみ」は、 無み、 と…

続きを読む

物の気から物の怪へ

小山聡子『もののけの日本史―死霊、幽霊、妖怪の1000年』を読む。 本書は、 古代から現代までのモノノケを歴史学の視点から通史的に記述、 したもので、従来、 モノノケの歴史を扱っているかのように見える書籍も、言葉を厳密に区別せず、「物気」あるいは「物の怪」とは書かれていない霊、妖怪、幽霊、怨霊(おんりょう)、化物(ばけもの)の類まで含めてモノノケとして捉えて論…

続きを読む

遊び心

鳥山石燕『画図百鬼夜行全画集』を観る。 江戸時代、妖怪、幽霊は総称して、「もののけ」と言われたが、もはや恐れおののく対象ではなく、娯楽の対象と化した。その象徴の一つが、鳥山石燕の、 画図百鬼夜行、 である。好評を博したため、 今昔画図続百鬼、 今昔百鬼拾遺、 百器徒然袋、 と続編が刊行された。本書は、それを一冊にまとめている。 鳥山石燕は、正徳…

続きを読む

しめじ

「しめじ」は、 シメジダケ、 といい、 占地、 湿地、 占地茸、 湿地茸、 王茸、 等々と当てる食用キノコであるが、「原野湿地に生ずる」ので、 湿地蕈(しめじきのこ) とも名づけられた(たべもの語源辞典)。だが、分類学的には定義が曖昧で、 キシメジ科シメジ属ホンシメジ、 キシメジ科シロタモギタケ属のブナシメジ、 ヒラタケ科ヒラタケ属のヒラ…

続きを読む