さかやき

「さかやき」は、 月代、 月額、 と当てるが、訛って、 さかいき、 さけえき、 ともいう(江戸語大辞典)。時代劇で見る、 男の額髪を頭の中央にかけてそり落としたもの、 である(広辞苑)。 もともと冠の下に当たる部分を剃ったが、応仁の乱後は武士が気の逆上を防ぐために剃ったといい、江戸時代には、庶民の間にも流行し、成人のしるしとなった、 とある…

続きを読む

ちょんまげ

「ちょんまげ」は、 丁髷、 と当てる(広辞苑)が、 髷が「ゝ(ちょん)」の形に似ているところからという、 とする説(広辞苑)と、 「ちょん」は、ちょう(丁)の音便の誤、 とする説(大言海)がある。しかし、 結んだ髪の毛先を前に折り返した形がチョン(ゝ)に似た髷だから(日本語源広辞典)、 前面に折り返した髷の形が踊り字 の「ゝ(ちょん)」に似ているか…

続きを読む

将門眼鏡

江戸川乱歩の『鏡地獄』を読んでいたら、 将門目がね、 万華鏡、 と出てきた。「万華鏡(まんげきょう)」は、 ばんかきょう、 とも訓み、 百色眼鏡(ひゃくいろめがね)、 錦眼鏡(にしきめがね)、 とも呼ばれ、 カレイドスコープ(kaleidoscope)、 のことである。 2枚以上の鏡を組み合わせてオブジェクトと呼ばれる内部に封入または…

続きを読む

ちょぼちょぼ

「ちょぼちょぼ」は、 点々、 と当てる(広辞苑・大言海)。 疎(まばら)に点を打つ状に云ふ語(大言海)、 が原意のように思われる。それをメタファに、 量や程度が少ないさま、ちょびちょび(虎明本狂言・鱸庖丁(室町末‐近世初)「なりてんぢくのかいしきに、ふかくさがわらけに、ちょぼちょぼとよそふておまらせうが」)、 物が所々に少しずつあるさま、ちょびちょび(病論俗解…

続きを読む

刀自

「刀自」は、 とじ、 と訓ませる。「おも」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/480055678.html?1613419123)で触れたように、「母刀自」は、 おもとじ、 とも、 ははとじ、 とも訓ませる。「とじ」は、 トヌシ(戸主)の約、戸口を支配する者の意、家公(いへきみ)の対、 とあり(岩波古語辞典)、…

続きを読む

杜氏

「杜氏(とうじ)」は、「刀自(とじ)」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/480333578.html?1614887969)で触れたように、「刀自」を、 トジ(杜氏)の転。女性が酒を管理したことから(明治大正史=柳田国男・たべもの語源抄=坂部甲次郎)、 と、「杜氏」由来とする説がある。確かに、「刀自」も、 とうじ、 とも訓ませる…

続きを読む

糝粉

「糝粉(しんこ)」は、 精白した粳米(うるちまい)を乾燥して挽いた粉、 の意である(たべもの語源辞典)。江戸後期の『瓦礫雜考』に、 他物の混ざらない米の粉の意で、シンコ(真粉)の義か、 とある。「糝」(シン、サン)は、 こながき。米の粉をかきまぜて煮たてたあつもの、 の意だが、 米粒、 意でもあり(字源)、「糝粉」は漢語で、 粳米(うるち…

続きを読む

おぞまし

「おぞまし」には、 悍し、 とあてる語と、 鈍し、 と当てる語がある(広辞苑)。前者は、 ぞっとするようで嫌な感じだ、恐ろしい、 我が強い、強情だ、 という意味であり、後者は、 鈍い、愚かしい、 という意である。どうも、「おぞまし(鈍し)」は、 おそし、 からきて、 遅し、 鈍し、 と当て、 はやし(速し)・と…

続きを読む

糝薯

「糝薯(しんじょ)」は、 真薯、 真蒸、 真丈、 とも表記し(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E8%96%AF)、 糝蒸、 と書くものもあり(たべもの語源辞典)、 しんじょう、 とも呼ぶ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E8%96%AF)。 エビ、カニ…

続きを読む

のべつまくなし

「のべつまくなし」は、 のべつ幕なし、 と当てるが、 芝居で、幕を引かず、休みなく引き続いて演ずること、 の意(広辞苑)で、 幕を引かず(つまり休みなく)続けざまに演じられる長丁場の芝居を指す、 とある(http://ohanashi.edo-jidai.com/kabuki/html/ess/ess004.html)。そこから転じて、 ひっきり…

続きを読む

めくちかわき

「めくちかわき」は、 目口乾き、 と当てるが、僕は方言だと思っていた。 噂好きで、ご近所に目ざとく、妙に人のことに詳しい、 そんな含意で受け取ってきた。 穿鑿好き、 という意味である。似た言葉が見つからないが、 隣近所の噂を触れ回る、 金棒曳(かなぼうひ)き、 が、どちらかというと近い含意だと思っていた。ところが、「めくちかわき」は、ちょ…

続きを読む

働き者

毛利敏彦『江藤新平―急進的改革者の悲劇』を読む。 佐賀藩主鍋島直正に、 江藤は働き者にて、副島は学者なり、 評された江藤新平は、慶応三年(1867)東征大都督軍監に任命されてから、佐賀の乱に巻き込まれて処刑された明治七年(1874)の僅か七年ばかりの間に、疾風怒涛のように、明治政権の屋台骨づくりに奔走して、果てた。僅か四一歳の生涯であった。 著者は、こう評する…

続きを読む

のり

「のり」は、 海苔、 と当てる「のり」である。「海苔」は、 カイタイ、 と読む漢語である。 海の藻、 の意で、南越志に、 海藻、一名海苔、 とある(字源)。「のり」の漢名は、 紫菜(シサイ)、 といい、 水苔(スイタイ)、 海菜(カイサイ)、 石衣(セキイ)、 苔哺(タイホ)、 石髪(セキハツ)、 等々ともいう(…

続きを読む

桁違いの超人

高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学~人間のフリをした悪魔』を読む。 ノイマン型コンピュータで知られるノイマンだが、ノイマンの名のついたものは、量子論の、 ノイマン環、 ゲーム理論における、 ノイマンの定理、 等々、 20世紀に進展した科学分野のどの分野を遡っても、いずれとこかで必ず何らかの先駆者として「ノイマン」の導いた業績に遭遇する、 とい…

続きを読む

糊、 と当てる「のり」は、 海苔、 と当てる「海苔」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/480467069.html?1615577953)で触れたように、「海苔」は、 nöri、 で、「糊」も、 nöri、 で、同源である(岩波古語辞典)。ために、 黏滑(ヌルヌル)の意、滑(スル)に通ず、 とあり(…

続きを読む

修身斉家治国平天下

金谷治訳注『大学・中庸』を読む。 『大学・中庸』については、「架空問答(中斎・静区)」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/475470344.html)でも触れたことがあるが、『大学』『中庸』は、『論語』『孟子』と合わせて、「四書」と呼ばれ、儒教の教典として扱われてきた。『大学』は、 孔子の門人曾子、 『中庸』は、 曾子の…

続きを読む

煮しめ

「煮しめ」は、 煮染、 と当てる。煮物料理のひとつで、 肉や野菜などを醤油で煮染めた料理、 である(広辞苑)が、古くは、 にじめ、 ともいい、 煮染肴の略、 とある(たべもの語源辞典)。 煮汁が残らないように時間をかけてじっくり煮る調理法を「煮しめる」というが、これが転じてそのように料理されるものを「煮しめ」と称する、 とあり(ht…

続きを読む

煮切り

「煮切り」とは、 料理で、酒や味醂の旨味成分を利用するため、それらを煮立てたり火をつけたりしてアルコール分を除く、 意である(広辞苑)が、また、 煮つめて水分や煮汁を除く、 意でも使う(デジタル大辞泉)。煮切ったものは、 煮切りみりん、 煮切り酒、 とも呼ばれる(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%85%AE%E5%88%…

続きを読む

切問而近思

朱熹・呂祖謙編(湯浅幸孫訳注)『近思録』を読む。 本書は、朱熹と呂祖謙が、周濂渓、張横渠、程明道、程伊川の著作から編纂し、 その大体に関し、日用に切なるもの、 を採り、四子の入門書としたものであり、朱子学の入門書でもある。 卑近な日常の実践道徳から、高遠な自然存在学に到るまで、四子の梗概はほぼこの書に尽くされている、 といい(編者「まえがき」)、日本では…

続きを読む

南禅寺揚

「南禅寺揚(なんぜんじあげ)」というものがある。 豆腐を砕いて、少量の小麦粉に卵黄・酒・塩・煮出汁などを加えた衣をつくって、魚とか魚菜を揚げたもの、 とある(たべもの語源辞典)。 京都の蹴上(けあげ)にある「南禅寺」付近で良質の豆腐が作られたことから、豆腐を使った料理名によくつけられ、南禅寺揚げ、南禅寺蒸等々、「南禅寺~」ということがある(世界の料理がわかる辞典)。 …

続きを読む