「苞豆腐(つとどうふ)」は、
水切りした豆腐をすりつぶし、棒状にして、わらづとなどに入れ、固く締めて蒸したもの、
とあり(広辞苑)、
菰(こも)豆腐、
とも(仝上)、
しの豆腐、
ともいう(たべもの語源辞典)、とある。というのは、
わらの他にイグサやシノなどを束ねたつとを使うから、
とある(https://kondate.oisiiryouri.com/japanese-food-tsutodoufu/)。
(苞豆腐 http://www.zouni.jp/tsuto/より)
(小口切にした苞豆腐 http://www.zouni.jp/tsuto/より)
「苞豆腐」には、
豆腐の水をよく絞ってから、甘酒をすりまぜ、棒のようにして、竹簀(タケス)で巻いたものを蒸し、小口切りにして出す、
あるいは、
豆腐一丁に、つくね芋をひとかぶおろして、豆腐の水気をよくしぼったものとすり合わせ、小麦粉を少し交ぜ、藁に巻き、湯煮してから煮しめ、切って用いる、
あるいは、
豆腐を絞って、葛粉をいれて、すり鉢ですって、布に包んで苞に包み、蒸してから、苞を採って生醬油で煮る、油で揚げることもある、
あるいは、
豆腐を手で崩して、納豆苞の中に詰めて、藁できっちり結び、塩を加えた湯の中でよく煮る。さめたところで取り出して、小口きりにする。それを出し、砂糖・醤油で煮ふくめ、煮汁の中に加える、
等々、さまざまな作り方、利用法がある(仝上)。
「苞」は、
苞苴、
とも当て(「苞苴」は「ほうしょ」とも訓む。意味は同じ)、
わらなどを束ねて物を包んだもの、
で、
藁苞(わらづと)、
荒巻(あらまき 「苞苴」「新巻」とも当てる)、
とも言う(広辞苑)が、「苞」には、
土産、
の意味がある(広辞苑)のは、
歩いて持ってくるのに便利なように包んできたから、
という(たべもの語源辞典)。土産の意では、
家苞(いえづと)、
ともいう(広辞苑)。「苞」は、また、
すぼづと、
ともいう(たべもの語源辞典)が、
スボというのはスボミたる形から呼ばれた、
かららしい(仝上)。
「苞」(つと)は、「つつむ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/467683799.html)で触れたことだが、
ツツム(包)のツツと同根、包んだものの意、
とある(岩波古語辞典)。
包(ツツ)の転(大言海)、
ツツムの語幹、ツツの変化(日本語源広辞典)、
と、「つつむ」とつながる。
参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95