2021年04月18日
すっぽん煮
「すっぽん煮」というものがあるらしい。
鼈煮、
と当て、本来は、
スッポンを煮たもの、
を指したが、
ナマズ、エイなどを濃厚な味の汁でささがき牛蒡などと共に似て、スッポンの味に似せたもの、
を意味し、
すっぽんもどき、
ともいう(広辞苑)、とある。どちらかというと、「鼈煮」を、
すっぽんもどき、
と呼び、
スッポンの味に似せた煮物の一種。ぶつ切りの魚を油でいり、酒・みりん・醤油・砂糖で味付けし、ネギ、ゴボウなどとともに煮て、ショウガの絞り汁をふりかける。魚はナマズ、アカエイ、コチ、オコゼなど白身のものが多く用いられる。本来はスッポンの脂を使用、
とある(百科事典マイペディア)ところをみると、「鼈煮」に似せたものを、
鼈煮、
と呼んでいる気配である。
すっぽんは生臭いため、煮込み料理を作る際、大量の日本酒と生姜汁を使って仕立てます。そこから転じて、たっぷりのお酒でコクのある味に仕立てた煮込み料理を「すっぽん煮」と呼ぶようになりました、
とある(https://jp.sake-times.com/enjoy/food/sake_g_cooking_suppon)。で、「すっぽん煮」の具材は、すっぽんに限らず、
弱火でじっくり煮込むということで、長時間煮込んでもぱさつきにくい、ゼラチン質の多い素材に適した料理法、
とある(仝上)。もちろん、「すっぽん」そのものを使い、
スッポンは、おろしたあと霜降りをして薄皮を丁寧にむき取り、油で炒めたり、揚げたりしたものを酒、醤油、砂糖、みりんなどで煮つめます。そして、仕上げに搾りしょうがを加える、
とある(https://cookpad.com/cooking_basics/7118)が、
骨付きの鶏肉やうずら肉を使う場合が多い、
とある(仝上)。因みに、「霜降り」とは、
肉や魚などを調味する前に、沸騰したお湯にさっと通すか熱湯をかけることで、素材のもつ臭みを抜くこと。身をしめてうまみを逃げにくくなる効果もあります、
とある(https://cookpad.com/cooking_basics/7118)。
ただ、「すっぽん煮」には、
ナマコの料理に「すっぽう」という煮方があり、このすっぽう煮が「すっぽん煮」と混同した、
とする説がある(たべもの語源辞典)。
「煮しめ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/480533264.html)で触れたが、すっぽん料理には、「筑前煮」の別名とされる、
がめ煮、
がある。これは、秀吉が、文禄元年(1592)に、
博多の入江や沢にスッポンが多くいたので、これと野菜を一緒に煮て食べた、
らしいが、スッポンは川龜、またはドロガメというので、
ガメ煮、
といった(たべもの語源辞典)、とある。後には、スッポンの代わりに鶏肉を使い、
人参や牛蒡ヤコンニャクや筍などを甘煮(うま煮)にするようになった、
とある(仝上)。ただ、「がめ煮」については、
筑前煮同様、鶏肉と野菜などを炒めてから甘辛く煮た福岡県の郷土料理、
ではあるが、
「寄せ集めの」という意味を持つ方言「がめくり込む」から来ているという説、
もあり、一般には、がめ煮は、
骨付きの鶏肉、
使う(https://delishkitchen.tv/articles/407)、ともある。「鼈煮」との違いは、「がめ煮」が、
具材を全て炒める、
ところにあるのかもしれないが、時代によって変化し、「鼈煮」も、
魚類を濃いつゆで煮た物から、魚類をごま油で揚げて、調味料で煮たものになった、
とある(たべもの語源辞典)ので、違いは、具の違いなど微妙になってきている。
なお、「鼈(すっぽん)」については「月と鼈」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/470570777.html)で触れた。
参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95