たぬき汁

「たぬき汁」は、 狸汁、 と当てるが、 狸の肉に大根・牛蒡などを入れて味噌で煮た汁、 の意と、 蒟蒻と野菜一緒に胡麻油でいため、味噌で煮た汁。上記の「たぬき汁」の代用とした精進料理、 の、二つの意味が載る(広辞苑)。蒟蒻による「たぬき汁」は、江戸時代から、その名で呼んでいる(たべもの語源辞典)とある。 寛永二十年(1643)の『料理物語』には、 …

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関係に関係する関係

キルケゴール(桝田啓三郎訳)『死にいたる病』を読む。 20代の頃、冒頭の一節を読んだ衝撃は、よく覚えている。 「人間は精神である。しかし、精神とは何であるか? 精神とは自己である。しかし、自己とは何であるか? 自己とは、ひとつの関係、その関係それ自身に関係する関係である。あるいは、その関係において、その関係がそれ自身に関係するということ、そのことである。自己とは関係そのも…

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「籠」は、 かご、 とも訓むが、 こ、 とも、また、 ろう、 とも訓ませる。これは「籠」の漢音である。いずれも、 かご(籠)、 の意の、 竹や籐(とう)・藺(い)・柳・針金などで編んだり、組んだりした器物、 の意がある。 (「竹籠」 デジタル大辞泉より) ただ、「こ」には、 伏籠・臥籠(ふせご)、 の意、つま…

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まさに

「まさに」は、 正に、 将に、 当に、 等々と当てる。 まさにその通り、 というように、 間違いなく、 確かに、 の意で使う(広辞苑)が、この場合、「ある事が確かな事実である」という意で、 見込み通りに(事が起こり行われて)、 とか、 (社会的に定められている通りに)当然のこととして、 とか、 期待通りに、 とか、 の「まさに」…

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をざす

「を(お)ざす」は、 建す と当てる。 北斗七星の斗柄が、十二支のいずれかの方角を指す。陰暦の正月は寅の方角を指し、二月は卯を指し、順次一年間に十二支の方角を指す、 とある(広辞苑)。この順で、 三月は、辰、 四月は、巳、 五月は、午、 六月は、未、 七月は、申、 八月は、酉、 九月は、戌、 十月は、亥、 十一月は、子、 十二月は、丑、 …

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笑笑

「笑笑」は、某内閣参与氏が、少し前、 「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」 とツイートし、物議をかもしたが、「笑笑」は、昨今、 わらわら、 と訓ますらしいが、本来は、 ゑみゑみ、 と訓ませる(岩波古語辞典・広辞苑・大言海)。 にっこりと、 といった、 笑みを含んださま、 に言う。 光の中に、年よりたる姥…

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そばだつ

「そばだつ」は、 峙つ、 聳つ、 喬立つ、 側つ、 屹つ、 等々と当てる(広辞苑・岩波古語辞典・大言海等)。古くは、 そばたつ、 と言った(仝上)。 たかくそびえる、 という意味だが、 かどが立つ、 という意もある。「そば」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/437123006.html)は、古名は…

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そびえる

「そびえる」は、 聳える、 と当てる。文語は、 聳ゆ、 である。 山などが高くたつ、 つまり、 そそり立つ、 意であるが、それの派生で、 身の丈がすらりとしている、 意でも使う。 「そびゆ」の「ソビ」は、 ソバ(稜)と同根、 とある(岩波古語辞典)。「そばだつ」(http://ppnetwork.seesaa.ne…

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惠方

「惠方」は、 吉方(えほう)、 の当て字とある(大言海)。別に、 兄方、 とも当てる(デジタル大辞泉)。古くは、 正月の神の来臨する方角、 とされた(広辞苑)が、後に、暦法が中国より伝わり、 その年の歳徳神(としとくじん)のいる方角、 とされるようになる。暦は、『日本書紀』に、欽明天皇十四年(553)、 百済に対し暦博士の来朝を要請し、翌…

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マンガ史

澤村修治『日本マンガ全史~「鳥獣戯画」から「鬼滅の刃」まで』を読む。 出版業界に携わった著者の、ある意味、日本における、 漫画の歴史、 であると同時に、漫画に関わる、 出版業界史、 の側面もある。著者が、本書執筆に当たっては、 「著者の個人的関心はなるべく控え、俯瞰的な叙述者に徹すべく努めた」 とある(あとがき)。にしても、新書版としては大部…

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暦注

内田正男『暦と日本人』読む。 本書は、 暦注批判、 と、和製の、 暦法づくり、 をめぐる余話だが、「はじめに」で、 「本書が暦と日本人の生活を主題とする以上、暦注にかなりの頁を割くのは当然であろう。もちろん私は、暦注に関連する迷信は積極的に否定する立場を取り、懸命なお知り合いから、日の吉凶などをいう人が一人でも減ることを期待しながら執筆した」 …

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こよみ

「こよみ」は、 暦、 と当てるが、中国の旧い文献では、 歴、 の字を使っている(広瀬秀雄『暦(日本史小百科)』)、とある。 (「暦」 https://kakijun.jp/page/1441200.htmlより) 「暦」と「歴」は同系である(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9A%A6)。「暦(曆)」(漢音レキ、呉音リャ…

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ポンチ絵

「ポンチ絵」は、 寓意・諷刺の滑稽な絵・漫画、 の意(広辞苑)で、この言葉は、 1862年に横浜でイギリス人チャールズ・ワーグマンによって創刊された漫画雑誌『ジャパン・パンチ(The Japan Punch)』に由来する、 とされる。この雑誌は、 1841年にロンドンで創刊された雑誌『パンチ(Punch)』、 にならって創刊した。 時事的題材をもとに…

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ついたち

「ついたち」は、 一日、 朔日、 朔、 と当てる(広辞苑)が、大言海は、 月立、 と当てている。「ついたち」が、 ツキタチ(月立)→ツイタチ(朔日)、 と、 tukitati→tuitati、 とkの脱落した音便形と見られるからだ(日本語の語源)。似た例は、 つきたて(衝い立て)→ついたて、 タキマツ(焚き松)→たいまつ(松明)、 …

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鳥羽絵

「鳥羽絵」は、 鳥羽絵は江戸時代中期に大坂で流行った滑稽な絵、 で(https://www.library.pref.osaka.jp/nakato/shotenji/38_tobae.html)、 手足が異様に細長く、目は黒丸か「一」文字に簡略化され鼻も低く大きな口を持ち、誇張と動きがある、 とされる(仝上)。 (『軽筆鳥羽車』(大岡春卜) https:/…

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金輪際

「金輪際(こんりんざい)」は、 金輪際ごめんだ、 と、 (多く、あとに打消しを伴って)強い決意をもって否定する意を表す語として、 絶対に、断じて、 の意で使う。あるいは、 聞きかけたことは金輪際聞いてしまはねば、気がすまぬ(膝栗毛)、 と、 どこまでも、とことん、 という意味でも使う(広辞苑・デジタル大辞泉)。これは、 金輪際、 …

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とことん

「とことん」は、 とことん頑張る、 のように、副詞的に使い、 最後の最後、 とか、 徹底的に、 の意味で使うが、別に、 日本舞踊で足拍子の音、 の意で、転じて、 踊りの意、 でも使う(広辞苑)、とある。しかし、「とことん」は、「大言海」「岩波古語辞典」「江戸語大辞典」には載らない。比較的新しい言葉ではないか、と思う。 類義語「とんとん…

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テロル

磯部涼『令和元年のテロリズム』読む。 本書は、令和に改元された直後に起きた「川崎無差別殺傷事件」、その四日後に、その事件を意識した、「元農水事務次官長男殺害事件」、その二ヶ月後に起きた、「京都アニメーション放火殺傷事件」、改元後三ヶ月の間に立て続けに起きた、この三つの事件の点と線をつなぎ、現在の日本の深部に迫ろうとするものだ(思えば、この一か月前には、池袋の元官僚による暴走自動…

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やれやれ

「やれやれ」は、意味に幅がある。もともとは、 感動詞「やれ」重ねて強調した語、 であり、「やれ」は、 呼びかける時、相手の注意を引く時、ふと心づいた時、困った時、他に同情する時などに発する声、 とあるが、 やんれの音便(大言海)、 あるいは逆に、「やんれ」が、 やれの転(岩波古語辞典)、 ともあり、もともとは、 やよ、 と同じく、 …

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伊達巻

「伊達巻」は、 といた卵に白身魚のすり身を加えて甘みと塩で味付けした卵焼き器で厚焼きにしてから巻き簀(す)で渦巻状に巻いたもの、 で(たべもの語源辞典)、 伊達巻玉子、 とも呼ぶ(仝上)。正月料理や祝い事には欠かせない料理となっている。 この「伊達巻」には、 水分が多くジューシーなタイプ、 と、 水分が少なめでカステラのような食感のもの、 と二つ…

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