くどく

「くどく」は、 口説く、 と当てる。 また泣く泣く口説き申しけるには(保元物語)、 というように、 うらみがましくくどくどという、 愚痴っぽく言う、 という意味と、 経読み仏くどきまゐらせるるほどに(讃岐典侍日記)、 と、 心のうちを切々と訴える、 特に、 神仏に祈願して訴える場合にいう、 意味と、 此方よりくど…

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おかぼれ

「おかぼれ」は、 岡惚れ、 と当てるが、「うぬぼれ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/440529875.html)で触れたように、「岡惚れ」の「岡」は、 岡目八目、 の岡であり、 傍目八目、 とも当てるように、 他人のすることを脇から見ていることをホカミ(外見、他見)といったのが、オカミ・オカメ(傍見、岡目)…

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白雨

「白雨」は、 はくう、 と読ますが、 しらさめ、 とも訓まし、 ゆうだち、 とも訓ます(雨のことば辞典)。ただ、 しろあめ、 と訓むと、 霙(みぞれ)、 を指し、冬の雨になる。 「白雨(はくう)」は、 白く見える雨、 とある(大言海・類語新辞典)。これは、 積乱雲から降ってくる夏の雨で、雨脚が太く強いため、雨…

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半夏生

「半夏生(はんげしょう)」は、禮記に、 仲夏之月(陰暦五月)、小暑至る、鵙(げき モズ)初めて鳴き、反舌(はんぜつ モズの異称)声無し。是の月や、…鹿角落ち、蝉始めて鳴き、半夏生じ、木槿栄く、 とあり(大言海・https://www.tomiyaku.or.jp/file_upload/100058/_main/100058_02.pdf)、「半夏生(はんげしょう)」は、 …

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歯固め

かつての暦には日々の吉凶、禁忌などを記載した暦注というものがあった。たとえば、正月三箇日だと、第一日(元日、また元日が陽が悪いと二日になる)、 はかため(歯固め)・くらひらき(蔵開)・ひめはしめ(火水始)・きそはしめ(着衣始)・ゆとのはしめ(湯殿始)・こしのりそめ(輿乗初)、万よし、 第二日には、 馬のりそめ・ふねのりそめ・弓はしめ・あきなひはしめ・すき(鋤)そめ、万よし、…

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鬼門

「鬼門(きもん)」は、 北東(艮=うしとら 丑と寅の間)の方位、 をいう。陰陽道で、鬼が出入りするといって、万事に忌み嫌う方角で、これをメタファに、 あそこは鬼門だ、 などと、 ろくなことがなくて嫌な場所、また、苦手とする相手・事柄、 についても言う(広辞苑)。 鬼門方向の造作、移徒(わたまし 転居)は絶対避けること、これを犯せば禍がたちどころに至る…

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暦より暦注好き

広瀬秀雄『暦(日本史小百科)』読む。 『隋書』東夷伝に登場した琉球が、 草木の栄枯をうかがって年歳とする、 といった、 四囲の自然界の様子の変化、 によって奇説を把握したという原始的方法は、それより数百年前の、魏志倭人伝(の裵松之の注)に、 其俗正歳四時を知らず。但々春耕・秋収を記して年紀と為すのみ、 と記された倭人の四季感とよく似ている。日…

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夜半

「夜半」は、 やはん、 と訓むが、 よは、 にも当てる(広辞苑)。 夜中、 真夜中、 の意であり、 子の時、 夜九ツ、 いまの午後十二時である(大言海)。「よわ」は、 夜、 夜は、 とも当て(大言海・岩波古語辞典)、 ヨマ(夜閒)の義(大言海・万葉考・雅言考・言元梯・国語の語根とその分類=大島正健)、 ヨフカ(夜深)の…

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深更

「深更(しんこう)」は、 夜の深(ふ)けたること、 夜更け、 の意であり(大言海)、 深夜、 のことである(広辞苑)。 月明深夜古樓中(元稹)、 とか 樓鼓辨深更(曹伯啓)、 などと詩にあるように、 深夜、 も 深更、 も漢語である(字源)。 (「更」 https://kakijun.jp/page/07123200.htm…

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弦月

「弦月(げんげつ)」は、 弓張月、 略して、 弓張、 とも言う。漢語である。後漢末の『釋名(くみょう)』に、 弦、半月之名也、其形一旁曲、一旁直、若張弓施弦也、 とある(字源・大言海)ように、 半月、 であり、 上弦の月、 と 下弦の月、 とがある。 (「弦」 https://kakijun.jp/page/08842…

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実盛送り

「実盛(さねもり)送り」は、特に、中部以西でいうが、 実盛祭、 ともいう(日本伝奇伝説大辞典)、 虫送り、 のことである。 ウンカ、ニカメイチュウなど、主として稲の害虫を村外に追放する呪術的な行事。毎年初夏のころ定期的に行う例と、害虫が大発生したとき臨時に行うものとがある、 とある(日本大百科全書)。 (「除蝗(むしおひ)の図」(大蔵永常『除蝗録…

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豪農の暮らし

山本光正『幕末農民生活誌』を読む。 本書は、 上総國望陀群大谷村(現千葉県君津市)の朝生家に伝わる日記、 をもとに、幕末の農民の日常生活を書いたものであるが、朝生家は名主を勤めているので、朝生家を中心とした、名主、百姓代、組頭といった、村方三役人層の、豪農の暮らしといった方が正確である。大谷村は、曲折はあったが、寛保二年(1742)以降幕末まで、黒田家三万石の久留里…

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風祭

「風祭(かざまつり)」は、 稲作に被害が生じないよう風神に祈る風鎮めの祭り、 とある。立春から数えて210日目の「二百十日」と、220日目の「二百二十日」。昔から強い風が吹くまたは天気が荒れる日とされ、(稲の花が咲き身をつけるころである)8月1日の八朔も含めて三大厄日とされている(https://weathernews.jp/s/topics/201807/310145/)という…

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風の祝

「風の祝(はふり)」は、 風の神を祭る祝(はふり)、 を指し、 風を鎮めるために、風神を祀る神官、 とある(広辞苑・大言海)。 風の祝子(はふりこ)、 ともいう(仝上)、とある。最初に風鎮めの神事を行ったのは持統天皇五年(691)とされる(風と雲のことば辞典)。 鎌倉中期の教訓説話集、『十訓抄』(じっきんしょう/じっくんしょう)に、 信濃國は、…

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伊勢参り

旅の文化研究所編『絵図に見る伊勢参り』読む。 本書は、寛政九年(1797)に刊行された『伊勢参宮名所図会』を読み解きながら、江戸時代の伊勢参りの実像に迫っている。『伊勢参宮名所図会』は、 「一八世紀初頭からの伊勢参宮案内記の伝統を承けて刊行された」 もので、 「多様であった参宮の経路を代表的なふたつに集約し、その道中の場所が担う歴史を絵図とともに詳細に詳述した…

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「かぜ」は、 風、 風邪、 と当てるが、「風」の意味に、いわゆる「風が吹く」の意や、「風」をメタファにした、「風向き」の意や、~風といった「やり方」の意といった「風」の意味の外延の中に、 風を引く、 として、「風邪」の意もある(広辞苑)。「風」は、 空気の流動、 の意だが、 奈良朝以前には、風は生命のもとと考えられ、風にあたると受胎すると思われてい…

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神楽

「神楽」は、文字通り、 神前に奏される歌舞、 つまり、 手に榊などの採物(とりもの)を持ち、そこへ神を招き、歌舞を捧げて、神を楽しませて、天に送る舞楽、 で(岩波古語辞典)、 神座(かむくら・かみくら)の転、 とされる(広辞苑・大言海・岩波古語辞典)。 カミ(ム)クラ→カングラ→カグラと転じたる語、 とある(大言海)。「座(くら)」は、 …

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下剋上

黒田基樹『下剋上』読む。 本書は、著者によると、 「戦国大名家でみられた、家臣が主君に取って代わるという典型的な下剋上を中心に、主要な下剋上の事例について取り上げたものである。そしてそのことを通じて、戦国時代に広範に見られた、下克上の性格と特徴を明らかにするとともに、それが生み出されていき、さらにはそれが封じ込められていく、いわば戦国時代を生み出し、終焉へと向かわせた社会…

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わざ

「わざ」は、 技、 業、 と当てる。大言海は、 所為、 態、 事、 を当てているが、意味によっては、 藝、 術、 を当てる(日本類語大辞典)ことがあるのは、推測できる。ただ、 こめられている神意をいうのが原義、 とあり(岩波古語辞典)、 もと、神のふりごと(所作)の意。それが精霊にあたる側の身ぶりに転用されたもの(国文学の発生=折…

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わざをぎ

「わざを(お)ぎ」は、「神楽」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/482498778.html?1626461046)で触れたように、 伎楽、 俳優、 伶、 等々と当てる(大言海・岩波古語辞典・広辞苑)が、古くは、 ワザヲキ、 と清音(広辞苑)、 ワザ(業)ヲキ(招)が原義(岩波古語辞典)、 とある。「をぐ」は、 …

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