2021年07月28日


「座(くら)」は、「くら」http://ppnetwork.seesaa.net/article/482602676.htmlで触れたように、

御手座(みてぐら)、
矢座(やぐら→櫓・矢倉)、
鳥(と)座、
千座(ちくら)、

等々、

人や物を載せる台、また、物を載せる設備、

の意で使われる(岩波古語辞典)が、

蔵、
倉、
庫、

とあてる「くら」は、その意味の延長線上で、さらに、

人や荷物を乗せるために牛馬の背に置く、

鞍、

も、

座(くら)の意から、

とある(広辞苑)ように、

馬上の座(くら)、

であり、「座(くら)」の意味の外延上にある。

「鞍」 漢字 .gif

(「鞍」 https://kakijun.jp/page/an15200.htmlより)

「鞍」は、

狭義には鞍橋(くらぼね)、

をいう(仝上)、とある。「鞍橋」は、

鞍瓦、

とも当て、

前輪(まえわ)、後輪(しずわ)を居木(いぎ)に取り付け、座の骨組みをなす部分、

をいい(仝上)、近代以前は、

馬の背に韉(したぐら 鞍)をかけ、鞍褥(くらしき)を重ねて鞍橋(くらぼね)をのせ、鞍覆(くらおおい)を敷いて両側に障泥(あおり 泥除け)を下げる、

という形で馬具を整える(世界大百科事典)。

鞍名称.jpg

(鞍の名称 笠間良彦『図説日本合戦武具事典』)

この鞍橋のことを一般に、

鞍、

という。

本来革製であったが、木製の鞍は中国の漢代に現れ(百科事典マイペディア)、日本へは古墳時代に中国から、

木製の地に金銅製や鉄製の覆輪および地板などを施した鞍、

が伝来、正倉院に朝鮮鞍式(大陸系)のものと和鞍式の二種類が残っている(ブリタニカ国際大百科事典)。平安時代には儀礼用の唐鞍(からくら)や移鞍(うつしくら)、日常用の水干鞍などと、多様な発展をとげ、公家用の鞍橋の装飾には螺鈿(らでん)、沃懸地(いかけじ)、蒔絵など官位に応じて定めがある(仝上)、という。

黒漆地桐鳳凰文蒔絵鞍.jpg

(黒漆地桐鳳凰文蒔絵鞍(江戸初期) https://www.touken-world.jp/search-harness/art0012420/より)

「鞍」(アン)は、

会意兼形声。「革(かわ)+音符安(上から下へ重みをかける)」、

とある(漢字源)。

「鞍」 成り立ち.gif

(「鞍」 成り立ち https://okjiten.jp/kanji2266.htmlより)

別に、

会意兼形声文字です(革+安)。「頭から尾までをはいだ獣の皮」の象形(「革」の意味)と「屋根・家屋の象形と安らぐ女性の象形」(「安らぐ」の意味)から馬などの背に置いて、乗る人を安定させる皮製の馬具「くら」を意味する「鞍」という漢字が成り立ちました、

とあるhttps://okjiten.jp/kanji2266.html

参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
笠間良彦『図説日本合戦武具事典』(柏書房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 03:39| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする