「虎」について、南方熊楠は、こんなことを言っている。 「虎の記載を学術上七面倒に書くより『本草綱目』に引いた『格物論』(唐代の物という)を又引するが一番手軽うて 解りやすい。いわく虎は山獣の君なり、状猫のごとくにて大きさ牛のごとく黄質黒章、鋸牙鉤爪鬚健にして尖り舌大きさ掌のごとく倒に刺を生ず、項短く鼻ふさがる、これまでは誠に文簡にして写生の妙を極め居る。さてそれから追々支那人流の法螺を…

続きを読む