をとこ

「をとこ」は、 男、 と当て、古くは、 をとめ(少女)の対、 とされる(岩波古語辞典・広辞苑)。つまり、 「ひこ(彦)」「ひめ(姫)」などと同様、「こ」「め」を男女の対立を示す形態素として、「をとめ」に対する語として成立した、 もので(精選版日本国語大辞典)、 ヲトは、ヲツ(変若)・ヲチ(復)と同根、若い生命力が活動すること。コは子。上代では結婚期に…

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「め」は、「をとこ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/483673592.html?1633030409)で触れたように、 牝、 雌、 女、 妻、 等々と当て、 雄、 牡、 男、 夫、 等々と当てる、 「を」の対、 である(岩波古語辞典)。「め」は、 女神、 女鹿、 雌蕊、 手弱女(たおやめ)…

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をっと

「を(お)っと」は、 夫、 良人、 等々と当てる(広辞苑)が、「夫」は、「め」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/483689364.html?1633116498)で触れたように、 を、 とも訓ます。古く、「夫」を、 を、 といった(大言海)ので、 夫人(ヲヒト)の転なるヲウトの急呼(大言海)、 とする…

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骨肉の争い

亀田俊和『観応の擾乱―室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』を読む。 「観応の擾乱(かんのうのじょうらん)」は、 「室町幕府初代将軍足利尊氏および執事高師直と、尊氏弟で幕政を主導していた弟直義(ただよし)が対立し、初期室町幕府が分裂して戦った全国規模の戦乱」 である。この内戦は、 「観応元年(1350)10月、尊氏が不仲であった実子足垣が直冬(ただふ…

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めのこ・をのこ

「めのこ」は、 女の子、 「をのこ」は、 男の子、 と、それぞれ当て(広辞苑)、 「めのこ」 と 「をのこ」 とは対である。「め」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/483689364.html?1633116498)で触れたように、「め」は、 牝、 雌、 女、 妻、 等々と当て、「を」は、 …

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をとめ

「をとこ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/483673592.html?1633030409)で触れたように、「をとめ」は、古くは、 をとこの対、 である(岩波古語辞典)。 「おとめ」は、 少女、 乙女、 と当てる(広辞苑・大言海)。和名類聚鈔(平安中期)は、 少女、乎止米、 類聚名義抄(るいじゅみょうぎし…

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外の目

ロラン・バルト(花輪光訳)『物語の構造分析』を読む。 本書の目玉は、巻頭の、 物語の構造分析序説、 なのだろう。だから、 「物語の構造分析には、言語学そのものを基礎モデルとして与えるのが理にかなっているようにみえる。」 という一文に着目した。しかし、物語作品を、 機能のレベル、 行為のレベル、 ディスクール(物語言説)のレベル、 の記述レ…

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をんな

「をんな」は、 女、 と当てるが、 ヲミナの音便、 とある(広辞苑・大言海)。 平安時代以後の語。ヲミナの音便形として成立し、それまで女の意を代表していたメ(女)という語が、女を卑しめ見下げていう意味にかたよった後をうけて、女性一般を指し、特に「をとこ(男)」の対として結婚の関係をもつ女をいう、 とある(岩波古語辞典)。類聚名義抄(11~12世紀)は、 …

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をなご

「をなご」は、 女子、 と当てる。 ヲンナゴの約、 とある(広辞苑・大言海)。 下京に妹が居りまらする。是にもをなごが一ぴきござあるが是も姪のうちでごらあらうずる(狂言「粟田口」)、 と、 女の子、 の意であるが、後に、年代が下がるにつれて、広く、 をなごの道を教へ込み(浄瑠璃「堀川波鼓」)、 と、女性一般に転じ、さらには、 …

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おみな・おきな

「おきな」は、 翁、 と当て、 男の老人、老爺、 を意味し、その対は、 おみな、 で、 嫗、 と当て、 老女、 の意である(広辞苑)。神代紀に、 (ひとりの)老翁(おきな)と老婆(おみな)ありて、 とあるが、「老翁」を、 ろうおう、 と訓むと、 老いた男性、老爺、 の意だが、対になるのは、 …

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詞と辞

三浦つとむ『日本語はどういう言語か』読む。 著者は、冒頭で、四つの設問をし、本書全体への問題意識としている。 第一は、絵画や写真は客体的表現と主体的表現という対立した二つの表現の切り離すことのできない統一体としてあるが、言語はこの二種類の表現はどういう形をとって現れているか。 第二は、絵画で表現するのに、写生的な立場と地図的な立場(鳥瞰)とがあるが、言語ではこのような立場の…

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一筆

「一筆」は、 一筆啓上、火の用心、お仙泣かすな、馬肥やせ(本多作左衛門重次)、 のそれでも、 一筆書き、 のそれでもなく、 一筆認めます、 のそれでもなく、 一区切りの田畑・宅地、 の意の、「一筆」である。 いっぴつ、 とも ひとふで、 とも訓ますが、どうも歴史的には、 イッピツ(ippitsu)、 らしく(歴史民俗…

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常陸坊海尊

「常陸坊海尊」は、 海存、 と当てたり(日本伝奇伝説大辞典)、 快賢、 荒尊、 とするものもある(世界大百科事典)。秋元松代の戯曲『常陸坊海尊』でも知られる、源義経の家臣である。 (常陸坊海尊(源義経公東下り絵巻) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B8%E9%99%B8%E5%9D%8A%E6%B5%B7%E5%B…

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うどんげ

大村由己の「惟任退治記」のラストに、 偈に曰く 四十九の夢一場、威名什麽(なんま)の存亡とか説かん 請ふ看よ火裡(かり)烏曇鉢(うどんばち)、吹作(すいさく)す梅花遍界香(こうば)し、 とある。「烏曇鉢(うどんばち)」とあるのは、 優曇鉢、 のことで、 梵語のउडुम्बर(ウドゥンバラ uumbara)音写で、 優曇婆羅、 烏曇跋羅、 優曇鉢華、…

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素っ破抜く

秘密や醜聞、不祥事などを突き止め、暴露するスクープ、 の意の、 「すっぱ抜く」の由来を、 すっぱ(忍び)が、思いがけないところに立ち入り、情報を掴むことに由来する、 と、あった(平山優『戦国のしのび』)。「すっぱぬく」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/435604474.html)で触れたように、それは俗説と思われるのだが、れっ…

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参宮松

「参宮松」というのは、 人間に代わって伊勢参りをした、 と伝えられる松の木をいう(日本伝奇伝説大辞典)らしい。 「参宮」は、 神社に参詣すること、 だが、 特に伊勢神宮に参拝すること、 を指す(広辞苑)。「伊勢参り」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/482469437.html)については触れた。 (…

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猿蟹合戦

「猿蟹合戦」は、 昔噺のひとつ、 で、成立は、 室町末期、 とされる(広辞苑)。基本の筋は、 猿の柿の種と自分の握り飯とを交換した蟹は柿の種をまく。柿の木に実を結ぶと猿は親切ごかしに樹上に登って熟したものは自分で食べ、青く固い柿を投げて蟹を殺す。蟹の子は臼、杵、栗、蜂、牛糞の助けで仇を討つ、 と(https://ja.wikipedia.org/wiki/…

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ひこ

「ひこ」は、 彦、 と当てる(広辞苑)が、 比古、 日子、 毘古、 等々とも当て(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E3%81%B2%E3%81%93)、 姫(ひめ)、 の対である(岩波古語辞典)。 名は天邇岐志国邇岐志(あめにぎしくににぎし)天津彦(あまつひこ)彦番能邇邇芸命(ひこほのににぎのみこと)そ。此の子を降…

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ひめ

「ひめ」は、 姫、 媛、 と当てる(広辞苑)が、 日女、 比売、 とも当て(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E3%81%B2%E3%82%81)、 「め」は女性を表す。「ひ」は後代の「御」に相当する、敬意を表す接頭辞、 であり(仝上)、 ひこ(彦)の対、 とある(仝上・広辞苑)。 「ヒメ」の古形は「ヒミ…

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ひと

「ひと」は、 人 と当てるが、 生物としての人間。社会的に一人前の人物として認められている人間。また、特に自分が深い関心や愛情を抱いている人物。また、社会的に無視できない人物をいう、 とある(岩波古語辞典)。 わくらばにひととはあるを人並に吾(あれ)も作(なれ)るを綿もなき布肩衣(ぬのかたぎぬ)の海松(みる)のごとわわけさがれるかかふのみ肩にうち掛け(山上憶良)…

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