いら

「いら」は、 刺(広辞苑・大言海・デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典)、 莿(岩波古語辞典・精選版日本国語大辞典)、 などと当てる、 とげ、 の意と、 苛、 と当て、 苛立つ、 いらいら、 いらつく、 等々と使う、 かどのあるさま、 いらいらするたま、 甚だしいさま、 の意とがある(広辞苑)。この「いら(苛)」は、 …

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いらか

莿、 刺、 と当てる「いら」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/484621462.html?1638302620)で触れたように、それに由来する「苛」は、 形容詞、または、その語幹や派生語の上に付いて、角張ったさま、また、はなはだしいさま、 を表わし、 いらくさし、 いらひどい、 いらたか、 等々とつかわれ(精選版日…

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かわら

「かわら」は、 瓦、 と当てる。 粘土を一定の形に固めて焼いたもの、 で、 屋根を葺くのに用いる、 ものである(広辞苑)。 日本で使われてきた瓦葺きの屋根葺きの形式には、 本瓦葺き、 と、 桟瓦葺き、 とがあり、本瓦葺きは、 平瓦と丸瓦を交互に並べて葺く形式、 で、飛鳥時代崇峻天皇元年(588)に百済からその技術が伝えられ…

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いらう(答・應)

「綺ふ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/484547997.html?1637870959)で触れたように、「いらふ」に当てる漢字には、 綺ふ、 色ふ、 弄ふ、 借ふ、 等々があるが、ここでは、 答ふ(う)、 応ふ(う)、 とあてる「いらふ」である。 答える、 返答する、 意である。 いらへ(え)る…

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色代

「色代」は、 色体、 式体、 とも当て、 しきだい、 と訓むが、 しきたい、 とも訓ませる。 力なく面々に暇を請ひ、色代して、科の浜より引き分けて(太平記)、 と、 あいさつ、 会釈、 の意である。 色代かひがひしく、この節(ふし)違(たが)はぬを賞(め)で感ず(梁塵秘抄口伝集)、 を、 深く頭を下げて挨拶する…

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たをやか

「たを(お)やか」は、 嫋やか、 と当てる(広辞苑)。 萩、いと色ふかう枝たをやかに咲きたるが(枕草子) と、 重みでしなっているさま、 たわんでいるさま、 の意で(岩波古語辞典)、そこから、それをメタファに、 衣(きぬ)のこちたく厚ければたをやかなるけもなし(栄花物語)、 この女の舞ふすがた、たをやかにして(中華若木詩抄)、 などと、 …

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北ぐ

「北(に)ぐ」は、 北(に)げる、 だが、「北」を当てる時は、 越の兵、勝(かつ)に乗って、北(に)ぐるを追ふこと十余里(太平記)、 と、 敗北する、 敗走する、 後退する、 意で用いる(広辞苑)。これは、「北」(ホク)の字が、 会意。左と右の両人が、背を向けて背いたさまを示すもので、背を向けてそむくの意。また、背を向けて逃げる、背を向ける寒い方…

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出世

「出世」は、今日、もっぱら、 立身出世、 というように、 世の中に出て立派な地位・身分になる、 意で使うが、元来は、仏教用語で、 第九の減劫、人寿二万歳の時、迦葉世尊西天に出世した給ふ時(太平記)、 というように、 諸仏が衆生済度のため世界に出現する、 意(広辞苑)であり、例えば、 弥勒、 は、 慈尊(弥勒菩薩)の出生を五十六…

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三会

「三会」は、 さんゑ、 と訓むが、連声して、 さんね、 とも訓ます(広辞苑)。 仏が、成道(道すなわち悟りを完成する意、悟りを開いて仏と成る意の成仏と同義)の後、衆生済度のために行う三度の大法会、 の意で、 竜華(りゅうげ)三会、 が知られる(仝上)。「竜華三会」は、 釈迦の入滅後、彌勒菩薩(弥勒菩薩)が五六億七千万年後に兜率天(兜率天)…

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推参

「推参」は、 定澄令申云。得業已上法師等卅余人許留、推参如何者(御堂関白記・寛弘三年(1006)七月一四日)、 遊者は、人の召に随ひてこそ参れ、左右なく、推参するやうやある(平家物語)、 などと、 招かれもしないのに自分からおしかけていくこと、 の意で、あるいは、 人を訪問することを謙遜(けんそん)していう、 場合にも使う(広辞苑・精選版日本国語大辞典)…

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九原

総大将の被御覧御目の前にて、討死仕りて候はむこそ、後まで名も、九原の骨に留まり候はんずれ(太平記)、 獄門にかくるまでもなくて、九原の苔に埋れにけり(仝上)、 などとある、 「九原(きゅうげん)」とは、 墓地、 の意である。 春秋時代に晋の卿大夫の墳墓のあった地名にもとづく、 とある(広辞苑)。それをメタファに、 千載九原如何作、香盟応与遠持期(蕉…

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みずら

「みずら(みづら)」は、 角髪、 角子、 鬟、 髻、 などと当て(広辞苑)、 美豆羅、 美豆良、 とも書く(日本大百科全書)、 大和時代に始まる男子の髪型、 である(ブリタニカ国際大百科事典)。 男子の成人に達したもの、 が結った(岩波古語辞典)。和名類聚抄(平安中期)に、 鬟、美豆良、屈髪也、 とある。 (「みず…

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機分

「きぶん」は、 気分、 と当てる他に、 機分、 とも当てる。「気分」は、 人の気分を離れて多くの年を経たり(今昔物語)、 と、 気持、 心持ち、 の意味と、 長老の気分強情(がんじゃう)なり(奇異雑談集)、 と、 気質、 気性、 の意があり、「機分」は、 其の子、獅子の機分あれば、教へざるに、中より身を翻して飛…

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屈強

「屈強(くっきょう)」は、 強情で、人に屈しないこと、 であるが、 倔強、 とも当てる。 きわめて力が強いこと、 頑丈なさま、 の意である(デジタル大辞泉)。漢書・匈奴伝に、 楊信、為人剛直屈強、 とあり、 剛直の貌、 従順ならざる貌、 とあり(字源)、 檜曰、此老倔強猶昔(宋史)、 と、 倔強、 とも、…

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轍魚

「轍魚(てつぎょ)」は、 轍にたまった水の中で苦しんでいる魚、 の意で、 義貞が恩顧の軍勢等、病雀花を喰うて飛揚の翅(つばさ)を展(の)べ、轍魚の雨を得て噞喁(げんぐう 魚が水面に口を出して呼吸すること)の唇を湿(うるお)しぬと(太平記)、 と、 困窮に迫られているものの喩え、 に言う(広辞苑)。 轍鮒(てつぷ)、 とも言う。 轍鮒之急、…

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南枕

「南枕」は、 頭を南に、足を北へ向けて寝る、 つまり、 「北枕」の、 頭を北へ、足を南へ向けて寝る、 の真逆であるが、 河野備後守、搦手より攻め入る敵を支えて、半時ばかり戦ひけるが、精力尽きて深手あまた所負ひければ、攻め(口)を一足も引き退(しりぞ)かず、三十二人腹を切って、南枕にぞ臥したりける(太平記)、 と使われ、 北枕の反対で、成仏を拒む…

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玄鳥

「玄鳥」は、 つばめの異称、 である。禮記に、 仲春之月、玄鳥至、 とある(字源・大言海)。 (つばめ https://www.wbsj.org/activity/conservation/research-study/tsubame/whatis/より) 「玄」(漢音ケン、呉音ゲン)は、 会意。「糸+一印」。幺(細い糸)の先端がわずかにのぞいてよく…

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鷸蚌之争

「鷸蚌之争」(いっぽうのあらそい)は、 鷸蚌相挿む、 とも言い(日本大百科全書)、 鷸蚌相挟んで、烏その弊(つい)えに乗る(太平記)、 名越尾張守高家(鎌倉幕府の総大将)、戦場に於て命を墜(お)としし後、(尊氏は)始めて義卒(官軍)に与して、丹州に軍(いくさ)す。天誅命を革(あらた)むるの日、兀(たちまち)鷸蚌の弊えに乗じて、快く狼狽が行を為す(仝上)、 と、 …

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アインシュタイン方程式を読む

深川峻太郎『アインシュタイン方程式を読んだら「宇宙」が見えた―ガチンコ相対性理論』を読む。 俺だって数式が読めるかっこいい男になりたい! 分不相応な野望を抱いたド文系オヤジが、数式世界の最高峰ともいえるアインシュタイン方程式を読み解く旅に出た。「さがさないでください」という一通の書置きをのこして。はたして彼は、この数式に何が書かれているかを読むことができるのか? 予定調和なしの…

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天知る

ただ二人して言ふ事だに、「天知る、地知る、汝知る、吾知る」と云へり。況や、これ程の大勢が集まって、云ひ囁く事なれば、なじかは隠れあるべき(太平記)、 というように、 誰も知るまいと思っても天地の神は照覧し、自分も知り、それをしかけるあなたも知っていることだ。隠し事というものはいつか必ず露顕するものだ、 の意で、悪事の隠蔽をいさめる例言などとして用いられる(精選版日本国語大辞…

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