一炊の夢

覚めて枕の上の眠(ねぶ)りを思へば、わづか午炊一黄粱の間を過ぎざりけり。客、ここに、人間百年の楽しみも、枕頭片時の夢なることを悟りて(太平記)、 を、 楊亀山が日月を謝する詩に曰く、 少年より学に勧(つと)めて志須(すべか)らく張(ちょう)すべし、 得失由来一夢長し、 試みに問ふ邯鄲枕を欹(そばだ)つる客、 人間幾度(いくたび)か黄粱を熟する(「勉謝自明」)、 これを、…

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