「しま」は、
島、
のほか、
嶋、
嶌、
とも当てるが、
周囲を水で囲まれた陸地、
をいい、分布の状態から、
諸島、
列島、
孤島、
などと、また、成因から、
陸島(りくとう)、
洋島(ようとう)、
に区別され、洋島には、
火山島、
珊瑚島、
などがある(広辞苑)とされる。「陸島」は、
大陸棚上に位置する島、
をいい、
大陸島、
ともいう。「陸島」に対するのが、
洋島、
で、
大洋底からそそり立っている島、
をいい、
海洋島、
ともいう(日本大百科全書)。
(「三宅島」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%B6より)
この「しま」の語源には、
四面、局(かぎ)られて、狭(せま)、又は、縞(しま)の義、梵語にも四摩と云ふとぞ、朝鮮語に、しむ(大言海)、
朝鮮語siem(島)と同源(岩波古語辞典)、
セマ・セバ(狭)の義(日本釈名・箋注和名抄)、
シマ(締)の義(日本声母伝・類聚名物考・名言通・本朝辞源=宇田甘冥・国語の語根とその分類=大島正健)、
水中にスムベキ(居可)所の意で、スミの転語(東雅・言葉の根しらべの=鈴木潔子)、
シはス(洲)の転で、マはムラ(村)の反(日本釈名)、
スマ(洲間)の義(和語私臆鈔・言元梯)、
シホウ(四方)から見えるヤマ(山)の義(和句解)、
本来は邑落(ゆうらく)を意味する語(島の人生=柳田國男)、
本来は宮廷領を意味する語(万葉びとの生活=折口信夫)、
シマ(独立した所)の意(日本語源広辞典)、
等々様々な説があるが、
「しま」の「ま」は、「浜」「沼」「隈」「まま(崖)」など、ある地勢・地形を表す語の第二音節に共通し、それは地名「有馬・入間・笠間・勝間・群馬・相馬・志摩・但馬・筑摩・野間・播磨・三間」などにも多く認められるところから、地形を表す形態素、
とみる説がある(日本語源大辞典)。この方が説得力がある気がする。
れ
simaが水と陸の境を意味していた、
とする説(http://www.jojikanehira.com/archives/15258565.html)も、その流れでみると意味深い。
「島」には、
島物の略、
として、
織柄の一種、二種以上の色糸を用いて、たて・よこに種々の筋をあらわした模様、織物、
の意があるか、これは、
戦国末期から安土桃山時代に、ポルトガル等から伝わり、「南蛮諸島のもの」と呼ばれた、
ことからくるもの(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E3%81%97%E3%81%BE)で、近世前期までは、
縞、
ではなく、
島、
と書いた(岩波古語辞典)による。いまひとつ、
(美濃では)民居の集合、……部落または大字のことらしい(島の人生)、
と、柳田國男が言っているのは、折口信夫の、
本来は宮廷領を意味する語、
とする説とも関わる気がするが、はっきりしない。「しま」の意味に、
このしまはよその者には渡せない
此のしま初めての祝儀とて先づ嚊が手元へ二両投げければ(浮世草子「諸艶大鑑」)、
などと、
ある限られた地域、
をいい、それが、
やくざの縄張り、
などをいう「しま」と繋がっているのかもしれない。また、
取り付く島もない、
というように(「けんもほろろ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/420594101.html)で触れた)、「しま」には、
頼りや助けとなる物事。よすが、
の意があり、
航海に出たものの、近くに立ち寄れるような島はなく、休息すら取れない、
といった状況を指し、
困り果てる様子にたとえていっている。なお、
律令制時代の8世紀から9世紀にかけて、国(令制国)と同格の行政機関として「島(嶋)」が置かれていた。長を「島司」、役所を「島府」と言い、国分寺に相当する「島分寺」が建立された。島司は国司に相当する官職であり、中央から派遣された官吏である、
とあり(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%B6)、701年制定の大宝律令では、
壹伎島・対馬島・多褹島、
の3島が置かれていた(仝上)という。
(「島」 説文解字・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%B3%B6より)
「嶋」(トウ)は、
会意兼形声。「山+音符鳥(チョウ)」で、渡り鳥が休む海の小さい山、
のこと、
とある(漢字源)。元の形は、
㠀、
で、まさに、
渡り鳥が止まる場所の意から、波のあいだにうかぶ山、
となる(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%B3%B6・角川新字源)。
なお、「島」は「島台の略」という意もあるが、「島台」については「すはま」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/473834956.html)、「蓬莱」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/488165402.html)で触れた。
参考文献;
柳田國男「海南小記(柳田国男全集1)」(ちくま文庫)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95