月のあきらかなるに、丫鬟(あかん)の童女一人あり、双頭の牡丹灯を肩にかかげて先に行けば、後に窈窕(ようじょう)たる美女一人従つて、西に行く(奇異雑談集)、
にある、
丫鬟、
は、
丫環、
とも当て(https://kokugo.jitenon.jp/word/p60790)、
丫頭(アトウ)、
丫髻(アケイ)、
鴉鬟(アカン)、
ともいい(字源)、
頭髪を両脇にまとめた少女の髪型、転じて、少女をいうことがある、
とある(高田衛編・校注『江戸怪談集』)。「丫」は、
あげまき(総角・揚巻)、
の意とあり、転じて、
頭をあげまきにした幼女、
また、
年少の侍女、
腰元、
婢、
とある(精選版日本国語大辞典)。中国語では、清末から中華人民共和国成立以前のいわゆる旧社会の言葉で、
小間使い、
侍女、
の意で、
腰元、
の意の、
小鬟、
と同義とある(中日辞典)。
「あげまき」については、「みずら」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/484777081.html)で触れたが、
上代の幼童の髪の結い方の名。髪を中央から左右に分け、両耳の上に巻いて輪をつくり、角のように突き出したもの。成人男子の「みずら」と似ているが、「みずら」は耳のあたりに垂らしたもの。中国の髪形「総角(そうかく)」がとり入れられたものか、
とある(日本国語大辞典)。
(「みずら」 デジタル大辞泉より)
(「揚巻」 デジタル大辞泉より)
「丫鬟」の「丫」は、
また(叉)、
の意で、
物の先の分かれて上に出るもの、
の意である(字源)。
きのまた(歧枝)、
の意の、
草木の枝のごときものに喩えて、
つのがみ(角髪)、
あげまき(総角・揚巻)、
にも言う(仝上)。
「丫」(ア)については、
象形。木の枝分れを象る、
とある(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%B8%AB)。
(「鬟」 説文解字・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E9%AC%9Fより)
「鬟」(漢音カン、呉音ゲン)は、
会意兼形声。下部の字(カン)は、まるい、取り巻くの意を含む。鬟は、それを音符と四、髟(髪の毛)を加えた字、
で(漢字源)、みずらの意である、
参考文献;
簡野道明『字源』(角川書店)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95